キャンプ女子Kajoが行く!〜初めての北アルプス④日本一遠い温泉、高天原を目指して編〜

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2020.01.19

みなさんこんにちは、ライターのKajoです。

突然ですが「日本一遠いところにある温泉」ってどこだかわかりますか?よほどの温泉マニアのあなたなら、ご存知かも知れません。

 

標高2100メートル、硫黄の匂い立ち込める河原沿いに石が積まれ確保された入浴スペース。岩を越えて橋を渡れば、今まで見たことのないワイルドな様の野天風呂、その名を高天原(たかまがはら)温泉といいます。

折立登山口からの参考コースタイムは、片道なんと12時間。

この段階で私、頭を抱えました。
でもこの高天原は、私の初めての北アルプス編、この旅の最終目的地でもあるのです。

今回お届けするのはこの、旅のクライマックスとも言える高天原までのコースのレポート。太郎平小屋を出発して薬師沢小屋を経由し大東新道を通って、高天原小屋に到着するまでの道のりです。

この温泉に行くには、登山に慣れた人は1泊2日、初心者ならば3泊4日が必要と言われています。

アレアレなんだか、ハードモードの予感・・・それでも、それでも行きたい高天原。

では参りましょう。初めての北アルプス編④、高天原温泉編の始まりです!


おはようございます、気持ちの良い北アルプスの朝です。

この日は宿泊先の太郎平小屋で、朝の恒例であるラジオ体操(6:30AM)を済ませた後、割とゆっくりスタートを切りました。

小屋を背に、小屋前の分岐を右手にある太郎山方面へ。100メートルも進めば二つに分岐があるのですが、左側の道が薬師沢方面になります(右側の道は、黒部五郎岳方面)。
まずは第一目的地である薬師沢小屋を目指します。

分岐の先はしばらく湿原の風景が広がっており、その向こうには雲の平や水晶岳を眺めることができますよ。安定の木道で、歩きやすさ満点です。

 


ここからは薬師沢の谷底までひたすら下りの道。こういう時に考えてしまうのが帰りのことですよね、考えたくないけれど絶対にしんどいことが見込まれます、現場からは以上です。

にしても見晴らしが抜群!時折足を止めながら、景色に見惚れます。


登山道はといえばよく手入れがされており、坂部分では路肩が土留めされていたり、道の両側がネットで保護されていたりしていました。安心感が違う。

太郎坂が登り一辺倒だったとすれば、この薬師沢までの道のりは、下り一辺倒!ニッコウキスゲの群生地などもあって、目はずっと楽しい。

30分ほど降りると、最初の沢に出会います。おそらくここが谷底だろう、と思う中俣という沢を渡って、トンボの歓迎を受けながら緩やかな起伏を進んで行きます。

 

あとは沢沿いに東へ、東へ。太郎平から薬師沢までのルート上には、いくつかのベンチが用意されていて、これがまた随所風景が可愛らしくてですね・・・花々の揺れる様を見ながら休憩が取れます(ゆっくりしすぎに注意!)

 

薬師出合まで木道を歩き、幾つもの小さく細い沢を越え、樹林帯と湿原の花畑に癒されていると、カベッケヵ原に到着します。黒部の山賊で、読んだぞ〜!

カベッケとは河童のこと。漢字では「河化」。姿形も河童によく似ており、ただここのカベッケ(河童)はいわゆる一般的な河童のイメージとは異なります。

文中では、山中で人間を迷わすため、「おーい、おーい」と声を掛けてくる、とあるのです。ちなみにこの声にうっかりと声を返してしまったり、その声の方向に向かってしまったりすると、そのまま行方不明になってしまうんだとか。今もほら、どこかから私たちを見ているかも知れない。

そんなことを考えながら歩いていたらあっという間!

沢が見下ろせる、細い尾根を少し降りればもう薬師沢小屋に到着です。


恐ろしいくらいに、水が透き通っている!!

小屋の目の前では黒部川と薬師沢が合流しているのですが、透明度の高い沢のその色にこの目は釘付け。

ちなみに携帯電話の電波は全く届きません。薬師沢小屋で働くイラストレーター、やまとけいこさんが描く「黒部源流山小屋暮らし」という本を読んで、この場所への期待に胸を膨らませてきたのですが、著者のご本人も、いらっしゃった〜!(しかもめっちゃ気さくof気さく)

「イワナが時々跳ねるから、見てみてね」

高天原に向かうことを告げると、そうお声がけをいただきました。

イワナって、伊豆は天城で釣れる・・・?いやそれはアマゴか。という浅い知識しかない私でしたが、この辺りは釣りの方達にも大変人気のエリアだそう。黒部川の最上流部でイワナ釣りができるんですね(要リリース)。ちなみに薬師沢のご飯も、手が込んでいて美味しいと評判です。

全体的に傾いた小屋もなんだかスリリング。小屋内にはウッドデッキもあり、清流を眺めて時間を過ごすのも贅沢の極み、次回はここにも泊まってみたいな。

 

太郎平から薬師沢までは約2時間半、ここでお昼も兼ねた小休憩を取ります。

ここからは、赤いインクでマークがされた道順を高天原までノンストップ!

 


スリル満点の橋を渡って、次の旅路に着きますよ。気さく集団の薬師沢小屋の皆さん、また来年泊まりにきます!


え〜っと、これは?と思ったハシゴが早速待ち構えていました。

看板にあるように、川の水量が多い時にはハシゴを使って上の部分から、水量が通常時は下の河原を通っていけるというもの。この日は平水時コースでまいりました。

沢の横の岩場をひたすら越え(途中、足元が滑りやすかったです)、時折ハシゴを上がり。

ちなみに急坂にはロープが設置してあり、アドベンチャーな感じでした(語彙力)!もっと起伏の少ないルート、雲の平経由でも行けるのですが、私はなぜかこの大東新道のアドベンチャールートで行ったんですよね。(絶対こっちで行きたいという確信があった)

 

さすがに私も、なりふり構わない感じで歩きます。荷物重いんだわ・・・。

沢沿いに歩いて行くとB沢に到達して、やがて斜面を横切り、C沢を越えます。

樹林帯の中をひたすら進んで行くと現れるD沢、ついでE沢。この道は、古くは高天原温泉付近にあったモリブデンを含む輝水鉛鉱を採掘・のちに黒部川沿いに薬師沢出合まで運ぶための道だったんですよね。

小屋開け前に整備はされるものの、やはり相手は自然、多くの沢を渡って行くこのルートは、その時期の雨量などで危険度が変わるので、事前に確認をして対策を練ってから行ってください。

 


岩登りが大好きな私としては、この河原沿いの岩場ゾーンがるんるん気分で楽しかった・・・。

この時天候に比較的恵まれていたため、危険な箇所は少なめだった気がします。

 

ただ、私の核心は他にあったのです。それは、

 

カエル!!!!!

 

鮫の100匹入った水槽、カエルの100匹入った水槽、どちらかに飛び込まないといけない、命をかけた決死の状況に置かれた場合どうするかという比較を何度も頭の中でシュミレートして、どれほど・なぜカエルが嫌いかということを何度も考えてきたほどに(無駄な時間でしょう、そうでしょう)嫌い。ちなみに私、鮫の水槽に飛び込む。

B沢を越えたあたりから、おかしいなと思ってはいたのですが、本当にカエルが舞ってるんですよ、舞うんですよ。少し湿った土の道の上、両側の草はらから、彼ら、舞うんです。

幼児のように泣きながら(人に出会わなくてよかった)、なんとか残った理性でロープを握りしめながら、唇を噛み締めながら、E沢あたりまでを越えました。

そう、なので写真がない記憶もない大変申し訳ありません

 


気づいたら沢の数々を越えており、いつしか高天原峠へ・・・。

途中、上記のような細く小さな川も渡りました。

峠の下りを歩いているとすれ違う、温泉帰りの方々・・・聞けば、少し離れたキャンプ場に泊まっているとのこと。(調べてみたら少し、どころか片道1時間以上かけて温泉に来てる猛者たちでした。)

硫黄の匂いがうっすらとしてくるような・・・?


高天原温泉の看板を越えてまた木道へと戻り、岩苔小谷の沢を過ぎたら歩きやすい道が現れ、胸を撫で下ろしていると、突如湿原が広がりました。

咲いている白い花は、「ワタスゲ」。

私最初、天国に着いちゃったと思いました。

それほどまでに美しい。

荷物の重さでクタクタの腰とか、足とか。そういうのが全て吹っ飛ぶほどの純粋なワタスゲの白さ。さらには水晶岳が目の前に、巨壁のように鎮座するのが見えるのです。


そしてついに。
薬師岳をバックに、木々の隙間に見えるのが目的地の高天原小屋。

到着した〜〜〜!

太郎平から約7時間、ゆっくりのペースでしたがなんとか高天原小屋に到着しました。
途中記憶を手放したので、あまりしんどい!と思うタイミングを逃したままのゴールでしたね・・・。

さて、この後は温泉が待っている〜!

今日のところは、ここまで。
次回は番外編として、高天原温泉と周辺のおすすめ探索スポットをお届けしたいと思います。

それではみなさん、また次回!

 

文章・写真:Kajo

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。

ABOUT ME
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Kajo
静岡県・伊豆出身。重度の放浪癖有り、海外経験は延べ25カ国に及ぶ。食中毒に4回当たるもめげぬ真性マゾの精神力と、「アルゼンチンは近い」と言い切るフットワークの軽さが売り。直感と好奇心をもとに、純粋に観察し大胆に発信をする。最近は岩場に住んでいる。