山林は売却できる?売る方法・手続きの流れ・注意点をわかりやすく解説
目次
相続した不動産の中に、山林がある場合にどうすればいいか悩むことがあります。
- 使う予定がなく、維持管理にも困っている。
- すでに山林を所有しているが扱いに困っている。手放したい。
山林の扱いに困っている場合や手放したい場合、最も代表的な対処法として「売却」があります。
とはいえ山林は売却できるのでしょうか。この記事では山林売却の可否や売却の方法、売るときの流れや手続きについて分かりやすく解説します。もし山林を売却で手放したい場合は、ぜひ参考にしてください。
【結論】山林の売却は可能!事前に押さえておきたい注意点について
結論として、山林は売却できます。
ただし手続きや流れ、注意点をおさえておかないと山林売却はスムーズに進みません。なぜなら山林は戸建てや宅地といった一般的によく売却されている不動産ではないからです。戸建てや宅地などより販路や欲しがる人も限られます。
山林自体は売却できますが、いざ売却しようとして「売れない」「スムーズに手続きが進まない」となる可能性が高いです。そうならないように、売却方法や手続きの流れについて押さえておきましょう。
山林を売る4つの方法|不動産会社・サイト・森林組合
山林を売却する方法は4つあります。
- 不動産会社の仲介や買取で山林を売却する
- 山林売却サイト(査定サイトやマッチングサイト)を使って売却する
- 森林組合に売却(斡旋)の相談をする
- 山林関係の会社に連絡して売却する
どの方法も最終的に売却することに変わりはありません。ただし売却の手法が異なるため、注意が必要です。
方法ごとに詳しく説明します。
山林を扱う不動産会社に相談する
山林は不動産ですから、不動産会社に相談して仲介や買取による売却が可能です。
仲介とは不動産会社に入ってもらって第三者へ売却する方法で、買取とは不動産会社が山林を直接買取る(買主になる)方法になります。手法としては戸建てや宅地を売却するときと同じです。
ただし山林は、戸建てや宅地と異なり販路がある程度限られます。戸建てを手放したいときや宅地を売りたいときなら、多くの不動産会社の情報がヒットするはずです。
対して山林売却の場合は扱っている不動産会社が限られてくるため、戸建てや宅地のように相談できる不動産会社が豊富にあるというわけではありません。(不動産の仲介や買取をやっていても、山林はお断りという不動産会社は意外といます)なぜこのようなことが起きるのかと言うと、山林売却に特有の知識やノウハウを要するからです。
不動産会社を通じて売却する場合は、山林にも対応している不動産会社を探すことが第一になります。
山林売却の査定サイトやマッチングサイトを利用する
山林売却のための査定サイトや、マッチングサイトを利用するという方法もあります。
この「山林売却査定サイト」とは、複数の会社を比較できるサイトのことです。最初にご紹介した方法がひとつの会社に相談して買取や仲介の査定をして売却する方法なら、こちらは複数の会社を比較検討して売却を進める方法になります。
山林売却の際は、査定サイトの他にマッチングサイトを利用することも可能です。
マッチングサイトとは売却したい不動産の情報を登録し売却先(買い手)を探すサイトになります。売りたい人と買いたい人のマッチングをするサイトです。山林にもマッチングタイプのサイトがありますので、情報を登録した売却先を探して売るという方法が使えます。
森林組合に山林売却の相談をする
森林組合とは森林所有者たちの組合です。農業組合の森林版のように考えると分かりやすいかもしれません。
この森林組合は日本の山や森の保護などを活動内容にしており、山林所有者のお悩み相談も受けています。
そして森林組合に相談できるのは、山林の管理や処分についてです。森林組合に売却の斡旋も相談できる可能性がありますので、最寄りの森林組合に「売却など処分の相談は可能か」「売却の斡旋なども相談できるか」を確認してみるといいでしょう。
なお森林組合に相談したからといって、即座に売却できるわけではありません。ただ山林の知識豊富なプロ組織ですから、売却の参考になる情報を教えてもらえることもあります。
売却の参考にするためにもぜひ最寄りの森林組合に相談してみてください。
山林関係の会社に売却する
木材や木製品の製造を手掛ける会社は、事業のために山や木を必要とします。そのため会社ホームページに、山林や樹木を買取る旨を掲載していることがあります。山林を売却する際は山林関係の事業を手掛ける会社にあたってみて、売却することも方法のひとつです。
なお山林関係の会社に売却するときは、売却の対象になる物をよく確認してください。会社の中には山林ではなく、樹木の売買について掲載している会社もあります。山林そのものを買ってくれるのか、それとも立木の買取なのか、手続きの際は忘れずに確認して失敗しないよう注意が必要です。
立木と山林どちらも買っている会社の場合は、売却したいのは立木だけではなく「山林そのものである」旨を念押ししておきましょう。
山林売却の手続きと流れ|相談先探しから引き渡しまで
山林売却は相談先によって売却する相手探しは異なるものの、売却までの流れは基本的にほぼ同じです。売却手続きの流れは次のようになっています。
1.相談先探し
2.売却相談
3.売却方法の決定や査定
4.売却先(買主)探し
5.売買契約の締結
6.山林の引き渡しと決済
なお山林を不動産会社に買取してもらう場合と、山林事業の会社に買ってもらう場合は手続きが一部異なります。
不動産会社に買い取ってもらう場合や山林事業の会社に売る場合は、買主を探す必要はありません。なぜなら相談先の不動産会社や山林事業会社が買うからです。
したがって不動産会社・山林事業の会社に売却する場合、手続きの中の「4.売却先(買主)探し」は必要ありません。仲介で山林売却するときは買主探しが必要になります。
まずは山林売却の相談先を探す
山林を売るときはまず相談先を決めます。すでにお話ししたように売却方法は4つあり、方法によって相談先が異なります。
不動産会社の仲介や買取を利用するときは、山林を扱っている不動産会社の中から相談する会社を決めなければいけません。サイトを使う場合も同様で、どのサイトを利用するか決めなければ情報入力や相談ができないはずです。
まずは不動産会社やサイトなどを見て回り、良さそうな相談先をリストアップしておきましょう。
相談先に山林売却について相談する
相談先を決めたら山林売却について相談します。相談しながら不動産会社やサイト運営会社、山林事業会社の中から売却先、あるいは売却をサポートしてもらう先を絞ることも可能です。
実際に相談してみると「サイトと印象が違うな」「こちらの会社の方が信頼して任せられそうだ」と、感想も出てくることでしょう。ニーズに合った信頼できる会社を選びましょう。
売却方法について迷っている場合は不動産会社やマッチングサイト、森林組合とルートを組み合わせてみましょう。方法の異なる複数のサイトや会社、団体に相談するのは非常におすすめです。自分に合った方法が見えてきます。
山林の売却方法を決めて査定してもらう
山林の売却方法には「公簿売買」と「実測売買」があります。
公簿売買とは登記簿に載っている面積や、各種情報をもとにして山林売却する方法です。
登記簿上の情報が必ず正しいとは限りません。特に面積は実際の面積とズレているケースもあります。しかし広大な山を測量すると莫大な測量費用がかかるため、売却にかかる費用を削減するために「ズレているかもしれないが登記簿上の情報で売却しよう」という方法が公簿売買です。山林売却ではよく使われる方法になります。
実測売買とは、実際に山林を測量して売却する方法です。
山林売却の際はどちらの方法で手続きを進めるかなどを話し合い、決めておく必要があります。
山林の売却先(買主)探しをする
山林売却について基本的な方針や計画を決めたら、次は買主探しを行います。
方法としては山林情報をマッチングサイトに登録したり、不動産会社のサイトで公開したりと多くの手段があります。不動産会社などにあらかじめ相談し、近隣の山林所有者に声掛けなどをしてもいいでしょう。
山林の売買契約を締結する
山林の買主が見つかったら売買契約です。売買契約の前に買主から価格や条件の交渉を求められるケースもあります。最終的に売却条件に売主と買主が双方納得したら、契約内容をしっかり確認し売買契約を締結するという流れです。
山林売買にローンを使うときもあるため、支払い方法の確認や支払い準備を進める必要もあります。
山林を買主に引き渡し売主は代金を受け取る
山林売買の契約を結んだら、売却対象の山林を買主に引き渡します。
しかし山林は物理的に買主に渡すことはできませんから、引き渡しは権利移転によって行うのが基本です。(山林の名義を買主に書き換え)
売主は決済により山林の売却代金を受け取ります。
山林売却の際は固定資産税の清算も行われるのが基本です。固定資産税は毎年1月1日時点での不動産所有者に課税されます。山林売買が年度の途中に行われた場合、固定資産税の課税が不平等な結果になるはずです。
だからこそ山林売買の際に売主と買主の間で固定資産税の負担を計算し、払い過ぎている分があれば買主と売主の間で清算します。
山林売却の注意点は必要費用や価格左右の要因3つ
山林売却の際は注意したいポイントが3つあります。そのポイントは山林売却にかかる費用や山林の価格左右の要因、売却ターゲットです。売却の際は3つの注意点を留意し、後悔のないようにしましょう。
注意点①山林売却の必要費用を知っておく
山林売却には基本的に費用がかかります。売却する側である売主は、一方的に売却金を受け取れるという印象があるかもしれません。
しかし実際は違います。
山林売却のために必要な測量や手続きの費用が発生するのです。費用の負担は売主と買主で話し合うべき部分になるでしょう。山林売却しても一方的に売却金だけ受け取れるわけではない点は、注意しなくてはなりません。
山林売却のために必要なのは以下のような費用です。
■測量費用
山林を測量するためにかかる費用です。
実測売却するときは、山林の測量をしなければいけません。山林の状況や面積により測量費用が変わってくるため、金額についてはケースバイケースになります。
■仲介手数料
不動産会社に山林の仲介をお願いする場合は、仲介手数料が発生します。仲介手数料の金額は上限が法律によって定められており、上限を超える仲介手数料を請求することはできません。
仲介手数料は山林の不動産価格により変わってきます。
■登記費用や売買契約の印紙代
山林の名義変更(権利移転)の登記には、登録免許税がかかります。売買契約をする際は契約書に印紙を貼りますので、印紙代や登録免許税の費用を売却時に考えなければいけません。
名義変更を司法書士に依頼する場合、別途司法書士への報酬も必要です。
■山林売却の税金
山林を売却して利益が出ると、利益に対して税金がかかります。
売却時の利益への課税は、売却方法によって山林所得や譲渡所得に分かれます。山林そのものを売却する場合は基本的に譲渡所得による課税となり、山林の所有年数などにより税金が変わってくるのです。
注意点②山林売買の売却価格を左右する要因を知っておく
山林売却では、山林の種類により価格設定が変わってきます。
- 林業本場林地 / 林業に使われる山林
- 山村奥地林地 / 道が整備されていない市街から離れた山林
- 農村林地 / 農村付近にある山林、里山
- 都市近隣林地 / 市街地の近隣、郊外にある山林
売りたい山林が上記の分類によって変われば、価格設定も変わります。4つの山林の種類の中では、市街の近隣にある都市近隣林地が最も売却価格の高い傾向です。
注意点③山林売却のターゲットも重要
山林を売るときは売却のターゲットを定め、ターゲットに合わせた売却計画を立てる必要があります。
山林を欲しがるのは「自分でキャンプや別荘に使いたい人」「自分で事業に使いたい人」「会社の事業に使いたい」といった方々です。一言で事業といっても樹木の伐採からレジャー、自然エネルギー関連までさまざまな事業があるでしょう。
スムーズに売却するため、「誰をターゲットにするか」を考えた上で、ターゲットに合わせた価格設定や売り込みをすることが重要になります。
売却時は「誰に売りたいか」も考えて計画を立てましょう。
山林売却のまとめ
山林の売却は可能です。方法としては不動産会社を利用する方法や、森林組合を利用する方法、山林関係の事業をしている会社に話して売却を進める方法があります。
ただ売却の際には注意点もありますので、費用や条件といったポイントを留意して自分なりに納得できる売却を目指すことが重要です。
山林の状況やニーズに合わせて自分に合った方法はどれかよく検討してみてください。
また弊社運営のタナちゃんねるブログでは、山林の売却(買取)も積極的に行っています。
全国各地で山林を売りたい方の相談を受け付けておりますので、是非お気軽にお問い合わせください。
山林売却(買い取ります)使わない山林(土地)古屋/古民家を買います。キャンプ場も可
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。