山林処分したい!売却や相続放棄、寄付など6つの方法をわかりやすく説明

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2021.06.27

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山林を所有していると固定資産税といった税金がかかる他、山林の維持や管理、整備と負担が発生します。

つまり山林を相続し、所有するに至った人は「山林を持っていること」自体が負担となるケースがあるのです。金銭的にも労力的にも、大きなマイナスになる可能性はあります。

山林の所有が負担になっている場合は、「山林を手放したい」「負担をなくしたい」と思うのではないでしょうか。

そこでこの記事では、山林処分について「処分方法やメリット・デメリット」を分かりやすく説明します。

山林を処分する方法には売却のほか6つの選択肢がある

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山林処分には次の6つの方法があります。

  • 所有している山林を他の山林所有者に売却する
  • 森林組合に処分や斡旋について相談する
  • 不動産会社やマッチングサイトを利用して処分する
  • 事業で山や木材を使う会社に売ることで処分する
  • 自治体や団体に山林を寄付することで処分する
  • 相続のときに相続放棄して山林処分する

どの方法を使っても山林処分できる可能性はあるのですが、6つの方法にはメリット・デメリットがあるため注意が必要です。また相続放棄は相続時にしか使えないため、合わせて注意しなくてはなりません。

処分方法を知るだけではなく、自分にとってメリットが大きく、デメリットの小さい方法を選ぶことが重要です。ひとつの方法による処分が難しい場合には処分方法を併用し、処分するための対策も総合的に考えましょう。

山林処分の方法①山林所有者に山を売却する

山林を売却する方法になりますが、ただ売却するのではなく同じ山林所有者に売却する方法になります。

同じ山林所有者の中には「山を利用するから」「山の管理に慣れているから」といった理由から、山林の買い取りに積極的な人も多いです。知り合いの山林所有者や周辺の山林所有者に声をかけて、山林所有者の中で「山を買ってもいい」という人がいないか探します。

山を常日頃から利用している(管理している)場合、個人的に行う山の管理や整備にも慣れていることでしょう。

いきなり相続で山林を所有することになった人は、維持管理に困るというケースも少なくありません。また維持管理を業者に委託するため、過大な負担が発生するというケースもあります。山林の扱いに慣れている山林所有者に任せられれば、一番安心ですよね。

自分や親族で管理できるという場合は、労力的な負担は確かに発生します。しかし業者の手を借りなくてもある程度自分たちでできるため、機器や燃料代を負担するくらいで済んでいるケースもあるでしょう。

山の固定資産税も3,000坪くらいで2,000円ほどが税金額の相場です。山を増やしても税金や労力、費用面でさほど負担が増すわけではなく、むしろ山菜といった山の恵みの方が大きいと感じられることも。そのような山林所有者であれば、声かけに応じて山を買ってくれる可能性があります。

山林所有者へ売却するメリットはスムーズさや安心感など

山林所有者に売却するメリットは、山関係の手続きや実務に慣れているためスムーズに譲渡(処分)できるという点です。

所有者が相続で山林の所有者になった場合、山林処分はしたくても山を粗末に扱いたいわけではないでしょう。

山林所有者への処分であれば、山の適切な管理を期待できます。

  • 山を有効活用してもらえる
  • 適切に管理してもらえる
  • 何より大切にしてもらえる

譲渡後も安心できるというメリットがあります。

山林所有者へ売却するデメリットはトラブルや買主探しの困難さなど

山林所有者へ売却するデメリットは、「探すのが大変」「トラブルになる可能性がある」という点です。

例えば山林所有者へ売却処分するときに、個人のネットワークで買い手を探すとトラブルに発展する可能性があります。売却価格や山の土地の境界、売買について意見の相違です。

個人的に声をかけて処分先を探す場合、トラブル防止のために専門家を頼ってください。弁護士や山林について知見のある不動産会社、司法書士、税理士にサポートやアドバイスを受けた方が安心です。知り合いからの紹介なら、その知り合いが信頼できるかどうか情報源や紹介者についても良く考えてみましょう。

また個人的に山林所有者へ声をかけても、山林を買いたい人が見つかるとは限りません。山林所有者の中で買ってくれる人がいないか個人的に探す場合は、余裕を持って対応に当たりましょう。マッチングサイトを利用して処分先を探す方法と併用するのもおすすめです。

山林処分の方法②森林組合に相談/斡旋などをお願いする

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森林組合とは、森林所有者たちの組合です。

日本は国土の7割が森林という、山や森の多い国になっています。日本の山や森を守るために森林所有者たちの組合を作り、山林の保護や整備、山林に関する知識や技術の相談・アドバイスを行っているわけです。

森林組合には山林の所有や管理のことで困ったことがあれば相談できる他、山林売買の斡旋相談にも対応しています。

山林処分の際に森林組合の処分の斡旋を受ける場合は、まずは所有山林の最寄りにある山林組合に事情を話して相談してみてください。森林組合のアドバイスや斡旋により山林を処分できる可能性があります。

森林組合に相談するメリットは総合的なアドバイスを受けられること

森林組合には山や森にまつわる技術や知識、情報が集まります。組合には山林管理について熟達の技術を持つ人も在籍しているため、アドバイスも受けられる可能性があるのです。

山林を処分するといっても、森林組合に相談して即座に処分とはいきません。処分に困ったときの打開策が見つかるとしても、実際の処分とはタイムラグがあるはずです。

処分までの間に山林をどのように管理したらいいのか、処分までの間に何をしておくべきなのか。山林に通じた人から適切なアドバイスが受けられるのは、所有者にとってメリットになることでしょう。

また山林に通じているからこそ、処分以外のアドバイスも受けられます。処分する場合、処分したいと思うに至った事情があるはずです。事情に応じて処分以外の方法も教えてもらえます。処分を迷っている所有者は再考の良い機会になることでしょう。

森林組合に相談するデメリットは即座に処分できない可能性があること

森林組合に相談するデメリットは、相談しても即座に山林を処分できない可能性があることです。

もちろん森林組合は不動産会社ではありません。斡旋の相談自体は可能ですが、処分や売却のための組織ではないため、不動産会社のような対応を期待することはできないのです。斡旋が難しい場合や、相談しても処分にはつながらないケースもあります。

山林を急いで処分したいという場合は、森林組合に相談しても難しい可能性があります。

山林処分の方法③不動産会社やサイトを通じて売却する

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山林処分の代表的な方法が売却です。売却の中でも不動産会社を通して山林を処分することは、多くの人が想像する方法ではないでしょうか。ただ宅地や家なら不動産会社の仲介や買取で売却できても、「山林もできるのか」と疑問に思うのではないでしょうか。

山林は不動産会社の仲介や買取で処分することも可能です。山林も不動産の一種だからです。

ただし山林は宅地と異なり、販路が限られ売却時のノウハウも異なります。つまりすべての不動産会社が仲介や買取に対応しているわけではありません。不動産会社に売却を依頼する場合は、その不動産会社が山林の仲介や買取を行っているか確認してから相談する必要があります。

不動産会社の仲介や買取による売却処分以外では、マッチングサイトを通して処分するのもひとつの方法です。

山林のマッチングサイトとは、山林を処分したい人と譲り受けたい人をつなぐサイトになります。情報を登録することで、山を譲って欲しいという人や会社が現れるかもしれません。山が欲しいという申し出があれば、マッチングサイトのサポートを受けて譲渡を進めるという流れです。

不動産会社やサイトのメリットは譲渡先が見つかりやすいこと

マッチングサイトや不動産会社を通じて山林処分するメリットは、買ってくれる人が見つかりやすいという点です。

不動産会社は山林を含めた不動産の売買といった、専門的なサービスを提供しています。そのため不動産会社に相談する人や情報をチェックする人は、売買のニーズを持っている人がほとんどです。だからこそ「欲しい」という人の目に留まりやすく、譲渡先が見つかりやすいというメリットがあります。

マッチングサイトについても同じです。山林のマッチングサイトをチェックする人は、山林を譲りたい、欲しいといったニーズを持っているのが基本になります。譲って欲しいというニーズを持っている人がマッチングサイトを多くチェックするからこそ、譲渡先が見つかりやすいわけです。

不動産会社やサイトのデメリットは絶対に処分できるとは限らないこと

不動産会社やマッチングサイトを利用しても必ず山林を処分できるとは限りません。

買主は山林の状態やアクセス、運用の価値があるかを総合的にチェックします。山林の売買も通常の買物と同じで、「必要だ」「欲しい」「価値がある」と感じれば購入するでしょう。しかしお金を出して買う必要はない(いらない)と感じれば買いません。不動産会社やマッチングサイトを利用しても、処分できないケースは存在します。

マッチングサイトの中には、他の方法と併用できるサイトもあります。いくつかの方法を併用し、処分のために工夫することが重要です。

山林処分の方法④山を欲しがっている会社に売る

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山林の買取と言われると、不動産会社を想像する人もいるのではないでしょうか。

しかし山林のような不動産を買取しているのは、不動産会社だけではありません。山林に関する事業を営んでいる会社の中に、山や森の買取をしている会社があります。不要な山林を譲ってもらい、事業に使うのです。

山林処分先として考えられるのは、木材の加工会社や木の加工品を制作している会社、木材チップの製造販売の会社、木材の卸売りの会社が該当します。

会社によってはホームページに買取について記載していますので、参考にするといいでしょう。

山を欲しがっている会社に売るメリットは有効活用してもらえるなど

山や森を欲しがっている会社に売ることで、不要な山林を有効活用できるというメリットがあります。

たとえば相続により、山林を所有することになった状態をイメージしてください。山林を活用するつもりもなく、維持管理や税金の負担に困っていました。このまま山林を放置すると「不要な山林」になってしまいます。しかし山林を事業として活用している会社に売却すれば、会社の方で有効活用してもらえるのです。不要な山林が「必要な山林」「誰かの生活に役立つ山林」になります

また山林に関する事業を営んでいる会社は管理に通じていますので、処分後も山林を適切に管理してもらえるというメリットがあるのです。

山を欲しがっている会社に売るデメリットは立木の売買と間違えやすいこと

山を欲しがっている会社に山林を処分するときは、必ず買ってもらえるわけではないという点に注意が必要です。

会社は山林を事業に活用するわけですから、事業に使えない山林は買ってもらえません。また山を欲しがっている会社の中には、山林そのものではなく立木を欲しがっている会社もあります。山林そのものを処分するつもりで話を進めたら、立木の売買だったというケースもあるのです。

山林そのものなのか、それとも立木のみの売却なのか。事前に会社のホームページや、話の内容をよく確認してください。誤解したまま話を進めると、山林処分ではなく立木処分になってしまいます。

山林処分の方法⑤自治体や団体などに寄付する

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山林は自治体や団体に寄付ができます。処分できるなら無償でも構わないという場合、自治体や団体に寄付、つまり山林をあげてしまうことも方法です。

不動産という財産の一種である山林は、受け取ってくれる自治体や団体があれば寄付できます。寄付する場合はあらかじめ自治体や団体に寄付を申し出て、双方が合意のうえで寄付を受けてもらうという流れです。

寄付による山林処分のメリットは有効活用してもらえることなど

寄付により山林売却のメリットは、有効活用してもらえることです。

不要な山林を所有していても放置するだけというケースは少なくありません。自治体やしかるべき団体に寄付することにより、世のため人のために有効活用してもらえるというメリットがあります。

寄付による山林処分のデメリットは売却金を受け取れないこと

山林処分のデメリットは売却金を受け取れないことや、拒否される可能性があることです。

あくまで寄付なので売却ではありません。売却金を受け取れないのは当然のことです。加えて寄付の場合は自治体や団体から寄付を拒否されるケースもあります。

たとえば経済的価値の乏しい山林を処分したくて、寄付を申し出た状態をイメージしてください。利用価値も経済的価値もない山林を「あげる」と言われても、自治体や団体だっていりません。維持管理の負担を負うだけだからです。

不要な山林の場合は処分のために寄付を申し出ても、「いりません」と拒否される可能性は考えておきたいものです。

山林処分の方法⑥山林を相続放棄で処分する

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山林を相続放棄で処分する方法とは、相続時の裁判所手続きのひとつを利用する方法になります。

相続時は遺産を必ず相続する必要はなく、裁判所で手続きすることによって「遺産を受け取らない」という選択をすることが可能です。

手続きをすると現金や預金、有価証券も含め遺産は一切受け取れません。山林を相続することもなくなります。つまり相続放棄をして受け取らないことにより、山林の処分を行う流れです。

相続放棄で山林処分するメリットは法的に山林との縁を切れること

相続放棄のメリットは、裁判所の法的な手続きで山林と縁切りできることです。

裁判所での手続きですから、債権者や周囲の山林所有者に山林のことを言われても「裁判所で手続きしましたので」とはっきり主張できます。

相続放棄の基本的な手続き期間は「被相続人が亡くなって3カ月」なので、処分したい山林と早期に縁切りできる点もメリットです。

相続放棄で山林処分するデメリットは山林との関係が続くこと

相続放棄をすると法的に山林との縁は切れますが、現実はそうとも限りません。相続人全員が相続放棄した場合、山林を放置しておくわけにはいきません。山林を次に管理する人が現れるまで、相続人は山林の管理をしなければならないのです。

実際は相続放棄をした後に相続財産管理人の選任を裁判所に申し立て、相続財産管理人が山林を管理するようになるまで、相続人は山林と縁切りできない結果になります。相続財産管理人の選任と管理には、100万円ほどの費用がかかる可能性も。相続放棄後に、さらに負担が発生することがあるのです。

また相続放棄は遺産を放棄することですから、山林だけ処分して預金だけ手に入れることはできません。すべて放棄するか、山林も相続するかどちらかです。よく考えて手続きを使いましょう。

山林処分のまとめ

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山林処分の方法は6つあります。

どの山林処分方法にもメリットとデメリットがあるため、選ぶときは具体的な内容だけではなくメリットとデメリットも比較して選ぶことがポイントです。

また方法自体は可能でも、中には実際に使うのが難しい方法もあります。とくに寄付は使うことが難しい方法の代表格ではないでしょうか。

処分が難しいと感じたらひとつの方法にこだわるのではなく、いくつかの方法を併用することも可能です。併用しつつ、具体的な処分について模索してみましょう。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。