キャンプ女子Kajoが行く、”ワイルドすぎるキャンプ場”「大瀬崎テント村」〜vol.1〜

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2018.02.02

はじめまして。ライターのKajo(カホ)です。
静岡県・伊豆出身、重度の放浪癖があり、「アルゼンチンは近い」と言い切るフットワークの軽さが売りです。これからよろしくお願いします!

 

早速ですが、今日は静岡県沼津市の大瀬崎にある「大瀬崎テント村」に来ています。

40年ぶりと言われる大寒波が過ぎたばかりの本日。最高気温は8度、最低気温はマイナス4度。思い出す昨夜、一瞬の葛藤。寒いけど行きたいけど寒いけど・・・行くなあ。ということで、冬・ソロ・女子キャンプ、開始です!


大瀬崎の展望台から撮影

道中、雪化粧をまとった富士山にうっとりしながらテント村への看板を追って行くと、ヘアピンカーブが待ち受ける入り口が。毎回、訪問の度に私の車のハンドルは汗でびしょびしょになります。道幅が狭く前が見えない、ひねりもある、入り口時点ですでに試練。
昨今、車がキャンプサイトに入れる“オートキャンプ”や、AC電源も利用出来る快適キャンプが主流ですが、この大瀬崎テント村は時代に逆行しています。


手に汗握る一瞬を越えてたどり着いたのは、森。森の斜面です。
キャンプというより、野営と言った方がしっくりきますね。
このテント村には区画がなく、空いているスペースを見つけて自分の好きな場所にテントを張っていきます。棚田のような段々畑のようなキャンプサイトとなっており、階段の上り下りが必須です。到着後ルンルンでサイト探しにうろつくも、本日は他に利用者がおらず貸切でしたので好きな場所を選び放題!


テント村内にある設備は、トイレ・炊事場・かまどのミニマムスタイル。外灯は少なく、夜になると真っ暗。ガスランタンの使用をお勧めします。
シャワーやお風呂は、キャンプ場(森)を2分ほど下った先にある、海の家や民宿で利用する事ができます。ちなみに私は毎回、“湯冷めして風邪を引く説”に怯え、キャンプ後に近くの温泉町に寄る事にしています。

 


ちょっとはしゃいで走り回ったら息が切れました。駐車場から少し森側、小さな坂を登り入り込んだこのスペース。地面が比較的平らで、駐車場との移動距離が少ないここを本日のベースとします。オープンタープの持参も考えましたが、木々のおかげでパーソナルスペースがすでに保たれていて、日差しはこもれび程度、通路の確保を優先してタープは不要と判断しました。
日の入りが早い冬のキャンプなので、真っ先にテントを設営します。


一昨年のクリスマスに神保町で出会って以来、沢山の時間を共有して来たNemoのテントです。軽量・耐風性◎・設営の簡単さ、どれをとっても良い。女性のソロキャンプでも設営楽々。
テント内にはインナーマット・ラグ・地表からの冷気を遮断するためのコット・屋内用ガスヒーターをセッティング。寝袋にはインナーシートも仕込み、NANGAオーロラシリーズ450DX(最低使用温度-11度)で今夜は挑みます。結露予防のため、コットと寝袋は真ん中に置きます。毛布も何枚か持参し、寒波の余波に備えました。
テントの設営が終わったらしばしの休憩、おやつタイムに入ります。テント周辺をさらにうろつき、美味しいカフェオレを飲みサンドイッチをかじれそうな場所を探します。

ありました。
テントからおよそ10歩ほどでしょうか、快適に腰を降ろせる倒木がすぐそこに。さて、お腹が減ってはこの野営、乗り切れない!直火式エスプレッソメーカーのマキネッタでエスプレッソを淹れて、サンドイッチを頬張ります。
改めて振り返ると圧倒的孤独感のあるシチュエーションです。耳をすませば、コーヒーが湧いてくる音と鳥たちの鳴き声。
この雰囲気と共にじっくり優雅なティータイムを味わいたいところですが、これは単純にエネルギー補給を目的としていたので、5分ほどで平らげました。
これからキャンプ場周辺の散策に行くため、帰ってきてすぐご飯の支度が出来るようにテーブルと焚き火台を設置します。

日の入りは大体17時頃と想定しているので、この時点で2時間弱の余裕があります。先ほどの階段を下へ下へとくだって行くと、環境省認定「快水浴場100選」にも選ばれる大瀬崎海水浴場があります。海中生物が約700種類生息しているといわれるダイビングのメッカ!この日も、寒さを物ともせずビーチにダイバーたちが集まっていました。
堤防で釣りをしている人たちもちらほら。旬のメジナ(刺身が美味しい白身魚)やカサゴ(どんな調理法でも美味しい。ヒレのトゲに注意)が釣れていました。次回は釣り×キャンプもいいかもしれない!

更に歩くと、海の守護神を祀る大瀬神社や、国の天然記念物であるビャクシンの自然群生林、伊豆七不思議の一つである神池(海から間近にあるのに、淡水池なんです)があります。さっきまで森の中にいたのに、少し歩いただけでたくさんの見どころに出会えるのが、この大瀬崎の魅力の一つ。


海水浴場は内海ですが、反対側の外海に出れば、雄大な富士山を望む事ができます。
夕日を目一杯に浴び、体も程よくほぐれたところでそろそろベースに戻って夕食作りに入ります。戻る道すがら流木や枯れ枝を両手いっぱいに拾い、まずは火起こし。
ここで、ガスバーナーの調子が悪いというアクシデントに見舞われましたが、火付けの際に大活躍の松ぼっくりや木の皮がすぐに調達できたので難を逃れました。マッチがあれば簡単に火が付けられます!

日が落ちるとぐっと気温が下がる冬のキャンプでは、手先が思うように動かないので、家である程度の下処理を済ませ、容器に小分けして持参しました。

キャンプの楽しみ方は人それぞれ。私の場合、野外で食べるアウトドアご飯に重きをおいています。ソロキャンプにしては量が多いのでは?!というご指摘があるかもしれませんが、通常運転です。
食べる事が一番の楽しみと言っても過言ではありません。

【1日目夕食メニュー】

・前菜盛り合わせ(チョコレート・オリーブ・レーズンとロングココナッツ・ピスタチオ・パイナップルと生ハムのピンチョス)
※ピンチョスは時期のフルーツ×生ハム×クリームチーズにオリーブオイルと黒胡椒を散らすと大抵オシャレで美味しい前菜になります。友人とのおうちごはんにもおすすめ。
適当に並べただけで贅沢な気持ちになる訳ですが、ちょっとした工夫で楽しみを生み出せる万能プレートです。これを摘みながらメインを作ります。


・ボルシチ
冬キャンプの定番メニューです。スライスしたにんにく、角切りにした玉ねぎ・人参・じゃがいも、牛肉スライスを炒め、少しの水とビーツ缶を汁ごと全て入れ、塩胡椒をしてコトコト煮込むだけ。コンソメなど使用しなくともコクのある優しい味わいになります。バケットを浸しながらハフハフ頬張る、寒い時期ならではのとっておきの一杯です。


・焼き牡蠣、ミニトマトのロースト
ボルシチを焼いている間に、串に刺したミニトマトを炙り牡蠣を焼きました。(貝殻は持ち帰りましょう)
牡蠣には醤油をひと垂らし、ミニトマトは口の中を火傷しないように注意してくださいね。


・スモア
寒い時期のスモアの作り方にはコツがあります。
通常、クラッカーでチョコ+炙ったマシュマロをサンドするのですが、冬は気温のせいかチョコが溶けないんです。しかもクラッカーを出したりチョコをセッティングしたり、同時作業が出来ず、とろとろのマシュマロを持て余してしまう事に悩んでいました。
今回解決策として提案したいのが、チョコクリームがすでにサンドされているクラッカーを使用する事。事前にぱかっと開いて置いておけば、熾火で炙った百点満点の状態のマシュマロをそこに置いて挟むだけ!という大変効率の良い方法となります。クラッカーの塩気と相性抜群、自分のタイミングで出来立てのスモアを頬張って下さい。ハッピースモアライフ!(スモアが大好きです)

割愛しますが、実は上記に加え豚汁とインスタントラーメンも食べました。
以上で1日目の夕食が終了です。食後は延々と火を見つめる事4時間。焚き火にはリラックス効果があると言いますが、往生際〜と思いつつ「あと一本、この薪が灰になったら」の連続で、飽きもせずずっと炎と向き合って過ごします。拾って来た枯れ木を継いだので、だいぶ煙が出て燻されました。
熾火になる直前まで焚き火と向き合い、チャチャっと寝支度を済ませテント内へ。時折聞こえる野生動物の鳴き声と、木々から葉が落ちる音、海岸から聞こえる波の音を聴きながら、この日は熟睡です。
夏にはテント横を野生動物が通る際の足音を聞き、秋には繁殖期を迎える鹿たちの鳴き声が聴けるのですが、その声の近さに最初は怯えたほど。すぐそばに息づく自然を感じる事ができます。

朝7時の目覚め、とびっきり気持ちの良い朝です。寝袋の中で丸まりながらうとうとしていると騒がしいほどの鳥たちのさえずりが。慌ててテントを飛び出しブーツを履き、外に出てさえずりに耳を澄ませると、自分がいま、森の一部になっているかのような錯覚に陥ります。


【2日目朝食メニュー】
・シナモンロール、自家製キウイジャムとバケット、ベーコンエッグ、コーヒー
朝食は簡単に済ませ、ゆっくりと時間をかけ珈琲を味わい、今回のソロキャンプは終了です。片付けをしながら、帰りに寄る温泉に目星を付けます。伊豆エリアには豊かな温泉の町が多数あり、日帰りで利用できる施設が沢山あるのがありがたいです。

帰りたくない気持ちでいっぱいですが、木の実や小枝など、スワッグ(花や植物を合わせ束ねる壁飾り)用の材料を採集しながら駐車場に戻ります。鳥たちのさえずりを思い出しながらのスワッグ作り、帰ってからもまだ楽し!

シティーボーイ・シティーガールなあなたを一夜でワイルドに変えてしまう、ワイルド過ぎるキャンプ場「大瀬崎テント村」は都心から約2時間弱。富士の絶景と賑やかな野生動物たちが、今日もだれかの訪問を待っています。

大瀬崎テント村URL:http://www.osetent.net

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。

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Kajo
静岡県・伊豆出身。重度の放浪癖有り、海外経験は延べ25カ国に及ぶ。食中毒に4回当たるもめげぬ真性マゾの精神力と、「アルゼンチンは近い」と言い切るフットワークの軽さが売り。直感と好奇心をもとに、純粋に観察し大胆に発信をする。最近は岩場に住んでいる。