【山ガール入門】季節別コーデやNGファッション〜おすすめ漫画まで
目次
「山スカート?山で足を出すなんて、ありえない」一昔前まではそう考えるのが普通でした。しかし、可愛らしいウェアに身を包んだ山ガールのファッションは一大ブームとなり、山の常識を覆して今や山登りのスタイルの1つとして認知されるまでになりました。あれから10年、「今さらだけど山ガールを始めたい!」そんな入門者に向けて、山ガールファッションの選び方から季節別コーデにおすすめ漫画まで、山ガールを丸ごと解説します。
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山ガールとは?
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山ガールとは、山の中でも女性らしい、おしゃれなファッションで登山やトレッキングを楽しむ女性たちのことです。
スポーツをしているときだって、女性はいつも美しくありたいもの。しかし、ほんの十数年前まで、男性が中心だった山岳界において、女性のウェアは男性ものをただ小さくしただけの不格好なものでした。後から写真を見返しても、写っているのが男性か女性か見分けがつかないくらいに…。それゆえに登山は「ダサい」「オジサンの趣味」というレッテルを張られ、若い女性たちから長く敬遠されていたのです。
ところが10年ほど前「山スカート」が開発されてから、スカートや色柄物のトップスなど、華やかで可愛らしい服装で山を歩く女性が現れました。それが「山ガール」の始まりです。山ガールのファッションスタイルは一大ブームとなり、女性の登山者が大幅に増えるきっかけになりました。これに応じて各アウトドアブランドも女性に好まれるおしゃれで可愛らしいウェアを次々と開発するようになり、今や山ガールは、一つの山のスタイルとして定着するまでになっています。
山ガール初心者も安心!服装の選び方
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可愛く山デビューしたい!おしゃれにトレッキングを楽しみたい!という女性のために、山ガールファッションの選び方について、できるだけ分かりやすく解説します。山のウェアには機能性も重要ですが、ポイントさえ押さえれば、山でもちゃんとファッションを楽しめますよ♪
山の基本はレイヤリング
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軽いハイキングやトレッキングから高山での本格的な縦走まで、どんな山登りも山のファッションの基本は重ね着です。その日の天候に合わせた服装をするのはもちろんなのですが、山では登り始めから下山まで同じ服装で歩くわけではなく、薄手の衣服を何枚も重ねられるようにして、状況に応じて途中で脱いだり着たりするのです。これをちょっぴり専門的な用語で「レイヤリング」と呼んでいます。薄い層(レイヤー)を重ねるから「レイヤリング」。簡単ですね!
「いちいち脱いだり着たり、なせそんな面倒なことをしなければならないの?」「せっかく可愛いアウターを買ったんだから、それをずっと着ていたい!」そんなふうに思う人もいるでしょう。しかし残念ながら、山では脱ぎ着が不可欠なんです。なぜなら山登りがとても発熱する運動であるのと同時に、自然の中は状況によって温度変化が激しいからです。
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運動による発熱と汗冷え
たとえば、登山口付近では肌寒いのでフリースなどを羽織っていることもありますが、15分も登れば体は発熱して冬でも汗をかいてきます。そのまま衣服を調整せずに上り続けたら、1時間後には汗がしたたり落ちるほど汗だくになってしまいます。暖かい季節なら、熱中症になる恐れがあります。さらにそのまま登り続けていって稜線に出ると、登山道を覆っていた樹木がなくなり、強風にさらされます。それまでかいてきた汗でウェアはびしょびしょなので、ちょっとした風でも寒く感じるでしょう。これは「汗冷え」といって、山で体調を崩してしまう原因の一つです。
標高による温度変化
標高による温度変化もあります。標高が100m上がると、ただそれだけで気温は約0.6℃下がります。手軽な山として知られる高尾山でさえ平地と山頂の温度差は3℃以上、標高3,700mを超える富士山などでは20℃以上の温度差があるのです。山頂などで長時間休憩した場合には、体の発熱が止まって冷えるのでさらに寒くなります。厚手の上着を着こみたくなるはずですし、最悪の場合、夏でも寒さで動けなくなることも。そんな状態にならないためには、天候や風の強さや運動による体温の上がり具合などに応じて衣服を脱ぎ着して、温度を調整する必要があるのです。
レイヤリングは、大まかにベースレイヤー・ミドルレイヤー・アウターレイヤーの3層を重ねる方法(3レイヤリング)から、さらにそれぞれの層を細かく分け、最大で6層のレイヤーを重ねる方法(5レイヤリング+1)まであります。それぞれの層がになう役割と選び方については、このあと詳しく説明していきます。
ベースレイヤー(アンダーウェア)
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ベースレイヤーとは、一番肌に近いところに着るウェアのことです。3レイヤリングでは、ブラやタンクトップなどの下着(アンダーウェア)とその上に着るカットソーなどのトップスのことを指します。しかし女性の場合はほとんどの方がブラやブラタンクを着用しますし、それを表に見せて歩くことはできません。ブラとカットソーでは役割もまるで違いますので、アンダーウェアは下着、ベースレイヤーはその上に着るトップスと分けて、別の2つの層であると考え方が分かりやすいでしょう。
アンダーウェア
女性の場合、胸の周りは最も汗のたまりやすいデリケートな部分です。男性に比べ冷えに弱い体質の人も多いので、汗冷え対策となる下着の存在は欠かせません。山ガールのコーディネイトを考える場合、アンダーウェアが最も重要なポイントとなります。綿など乾きにくい素材は、汗冷えの原因となるので避けましょう。濡れた下着が肌と摩擦を起こすことで、かぶれなど肌トラブルの原因になることもあります。
登山の下着の基本は、吸湿速乾性のスポーツブラ。ザックと干渉しないよう、肩紐の平たい形状で、金具などのパーツがないものがおすすめです。登山は激しく胸の揺れる運動ではないので、ブラタンクでも問題ありません。しかし吸湿速乾素材であっても一瞬にして乾くわけではないので、汗をかきやすい体質の人には、それだけでは不十分。気温の低いシーズンや標高の高い山などでは、休憩時にかなりの冷えを感じるでしょう。
吸湿速乾性のアンダーウェアで冷えを感じてしまう場合は、撥水性または疎水性のメッシュ状アンダーウェアがおすすめです。かいた汗はメッシュの穴からその上に重ねているベースレイヤーに吸収されるので、汗で濡れたウェアが体に接触せず、体を冷やしにくいという優れもの。ファイントラック、ミレー、ザ・ノースフェイスなどから発売されていて、汗冷えの対策としてはかなり効果的です。
引用:pixabay
ベースレイヤー
ベースレイヤーは、人に見せて歩くことのできる一番下のウェア。カットソーやTシャツ、ボタンシャツなどです。これもアンダーウェアと同様に、綿などの乾きにくい素材は汗冷えの原因となるので避けてください。登山用のベースレイヤーの素材は大きく分けて、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維に加工を施した吸湿速乾性のものと、ウール製のものがあります。
吸湿速乾性のウェアはポリエステルやナイロンなどの化学繊維でできていますが、実は化学繊維ならよいというわけでもないんです。暑い季節に安価な化学繊維の服を着ていると、服の中で汗が流れたり、蒸れや暑さを感じたりませんか?それは、ポリエステルやナイロンが本来、あまり水分を吸わない素材だからです。快適な山登りのためには、単に「速乾性」なだけでなく、「吸湿性」も備わっていることが重要。アウトドアブランドのTシャツが高価なのは、化学繊維に「吸湿性」を持たせるための加工がしてあるからです。
ウールは乾きの早くない素材ですが、濡れた状態でも冷たくならず体温を奪わないので、汗冷え対策として効果があります。また天然の抗菌防臭効果もあるので、下山後のお風呂や富士登山など泊りで山に行く際、着替えを持って行かなくても汗臭くなりにくい!女性にとって大変ありがたい素材なんです。「ウールって素肌に着たらチクチクするでしょ?」と思われがちですが、メリノ種という羊からとったメリノウールは、チクチク感が驚くほど少ないので素肌に着用出来ます。肌が敏感で心配な方は、店頭で試着してから購入するとよいでしょう。
ただしウールの場合は、撥水性や疎水性のアンダーウェアと相性がよくありません。撥水性や疎水性のアンダーウェアを使用する場合は、吸湿速乾性のベースレイヤーをおすすめします。
ミドルレイヤー
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ミドルレイヤーは、ベースとアウターの間に着る保温着です。ミドルレイヤーを一枚で済ませることもできますが、行動中のミドルレイヤーと、休憩時に着るミドルレイヤーを分けてしまった方が快適性は上がります。
行動中のミドルレイヤー
フリース素材で、脱ぎ着のしやすいフルジップのジャケットを使うのが一般的です。歩行中、ベースレイヤーだけでは寒いときに着用します。動くと暑くなってくるので、汗をかかないよう、通気性の良い生地で、あまり厚手にしすぎないのがコツです。休憩中の保温着と兼用する場合は、逆に厚手のフリースにする必要があります。脱いだ時にかさばるので、ザックの大きさにも余裕が必要です。
休憩中のミドルレイヤー
休憩時に着る保温着は、ダウンやポリエステル綿など軽くて暖かく、コンパクトにつぶして持ち歩けるものがおすすめです。ただしダウンは湿気に弱く、汗をかいてしまうとロフト(厚み)がへたって保温性が下がります。表面の生地も薄くて破れやすいので、行動中の保温着には向いていません。少し高価ですが、表面生地だけでなく、中のダウンにまで撥水加工を施してある「撥水ダウン」もあります。破れやすいのは変わりませんが、上からアウターを重ねれば、撥水ダウンなら行動中も使用可能です。
アウターレイヤー
アウターレイヤーは、重ね着の一番外側に着るウェアです。3レイヤリングの場合は、レインウェアがそれに当たります。細かく分ける場合は、風をよけるためだけに使うウィンドシェルやソフトシェルと、雨を避けるために使うレインウェアを別にします。レインウェアは防水透湿性という蒸れにくい素材で作られていますが、通気性がないので、全く蒸れないわけではありません。晴れていて風だけを避けたいときには、通気性のあるウィンドシェルやソフトシェルがあると快適です。
レインウェアは、登山で最初に揃えるべきアイテムの1つです。天候の変わりやすい山の中では、雨具を持たないという選択肢はありえません。たとえ天気予報が晴れでも、必ず持って行きましょう。山での雨具は、ジャケットとパンツが分かれている、防水透湿素材の上下を着用します。傘、レインポンチョ、レインコートなどは木の枝に引っかかったり、風にあおられたり、足元が見えなくなったりして危ないので、絶対にやめてください。
レインウェアで使われる防水透湿素材は、ゴア社の開発したゴアテックス®が最も有名。さまざまなアウトドアブランドから、ゴアテックス®を採用したレインウェアが発売されています。防水性(耐水圧)が高く、蒸れにくくて、寿命も長いのが特徴です。またゴアテックス®以外にも、さまざまなメーカーが開発したオリジナルの防水透湿素材もあります。
レインウェアを評価する基準は耐水圧(どの程度の水圧まで耐えられるか)、透湿性(蒸れにくさ)、軽さ、それにストレッチ性や柔らかさなどの着心地です。公表されているスペックだけでは推し量れない側面もあるので、オリジナル防水素材の製品を選ぶ際は特に、慎重に検討するようにしましょう。
ボトムス
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山ガールファッションといえば山スカート!見た目も可愛らしく、夏場は涼しくて動きやすいので、以前は女性登山者に大人気でした。しかし現在、山スカートは非常に影が薄くなり、山ガールファッションの主流はショートパンツとなっています。なぜならスカートだと、雨が降ってきたときレインパンツを重ね履きしにくいからです。
それでも、やっぱり可愛くスカートを履きたい!という場合は、巻きスカートやキュロットスカートという選択肢もあります。レインパンツを着用したら、巻きスカートの場合は取り外してザックに収納します。キュロットスカートの場合はスカート生地をどちらかの脚へ寄せてしまえば、少しモコモコしますが、レインパンツの重ね履きは可能です。
素肌が出ていると虫に食われたりケガをしたりするので、ショートパンツや山スカートの下にはタイツを着用しましょう。どちらも吸湿速乾性でストレッチが効いている、動きやすいものがよいです。テーピング効果で膝や関節の痛みを予防する「筋肉サポートタイツ」というものもあります。筋肉の動きを助けて疲労を軽減してくれるとともに、段階着圧になっていてリンパの流れを促します。下山後の膝の痛み、筋肉痛、脚のむくみに悩んでいる山ガールにおすすめです。
帽子・髪型・ザック・靴
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標高が高い場所は紫外線が強く、お肌の日焼けやお肌のトラブルをおこしがち。帽子は日差しを避けるためつばが広く、風に飛ばされないようにあごひもが付いているデザインのものがおすすめです。髪は帽子の邪魔にならない、少し低い位置で束ねておくとよいでしょう。
ザックと靴は、その人それぞれの体に合っていることが重要です。体に合っていないザックは肩や腰に負担を与えます。ザックは同じ容量でも、背面長といって腰から肩までの長さが違うものがあるので、自分の背面長に合ったものを選びましょう。また大きな容量のザックになると、体の負担を軽減するため、メンズとレディースで肩や腰の形状を変えてある商品もあります。実際に重りを入れた状態で試着し、肩や腰がフィットしているか確認して購入したほうがいいでしょう。
山で歩くには、登山靴やトレッキングシューズといった専用の靴が必要です。普通のスニーカーなどとは異なり、防水性で、滑りにくいソールになっています。足は人によって幅や甲の高さ、つま先の形状など個人差があり、自分の足に合っていない登山靴で歩くと疲労が激しいだけでなく、靴ずれや足の痛みの原因になります。山では下山ルートが長くなると、靴の中で足が前方に詰まってきてつま先を圧迫する、ハンマー爪という現象も起こります。ひどくなると爪がはがれることもあるので、購入の際は、指先の前に1㎝前後の余裕を持って選ぶようにしてください。メーカーによっても表示サイズと実寸が異なるケースがあるので、販売店で必ず試着してから購入することをおすすめします。
こんな服装は気をつけて!山ガールNGファッション。
山ガールの服装は動きやすく、体を冷やさないことがポイントとなります。重くて動きにくく、濡れたら乾きにくいジーンズなどは当然NGです。また前述のように、山の中では、状況によって細かな温度調整をする必要があります。厚手で重ね着しにくいような服装もNGです。
寒いシーズンや富士登山など標高が高い山登りになると、アンダーウェアやベースレイヤーにヒートテックを着用する人がいますが、実はこれもNGなんです。ヒートテックを含む同様の発熱素材は、素材に含まれる発熱成分が体から出てくる水分と結びつくことで発熱します。つまり、汗をかいている暑いときに発熱が促進され、より熱くなり、更なる汗をかく…。しかも製品に含まれる発熱成分には限りがあるので、満水になると発熱が止まります。いったん発熱成分と結びついた水分はなかなか乾かず、かえって体を冷やしてしまう原因となるのでやめましょう。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。