登山中の疲れを軽減するための歩き方と装備は?
目次
登山初心者の方に注意して頂きたいのが、ペース配分が分からずに途中で体力を消耗し過ぎてしまうことです。無理な歩き方をすると、折角の楽しい登山も辛いものになってしまいますので、自分の思っているよりも遅いペースに抑え気味に歩くことをおすすめします。
登山での歩き方は、平地での歩き方と違い出来るだけオーバーアクションを避けて体重移動を意識する歩き方なので、少しだけですがご紹介して行きます。
登山を始める前に、しっかりとウォームアップを!
登山初心者の方に知って頂きたいのは、登山もスポーツの一種で長時間の有酸素運動だということです。
スポーツなので、しっかりとウォーミングアップを行い体を温めておくと、山中を歩く時に足を痛めにくくなります。また特に登山初心者の方に多く見られるのが、ペース配分が分からずに無茶な歩き方をして途中でバテてしまうパターンで、こうなってしまうと折角の眺望を楽しむ余裕も無くなり、楽しいはずの登山も苦痛でしかなくなります。
そこで、登山口に到着したらゆっくりと足を中心に、筋肉をほぐすようにストレッチをすることをおすすめします。
低山の日帰り登山でも、往復で3時間近く山中の足場の悪い道や舗装された道、階段などのさまざまな山道を歩くこともありますので、歩き方一つで疲れ方が変わります。ウォーミングアップが終わってから、登り始めの最初の30分は意識的にゆっくりと登ることが大切です。
最初の30分をゆっくりと登ることで、その日の自分の体調にあった登山のペースが掴めますので、是非実践してみて下さい。
疲れないための登り坂の基本的な歩き方
登山には登りと下りのそれぞれに疲れ難い歩き方があり、実践することで登山中の疲れ方に大きな違いが出て来ます。登山の途中で疲れて動けなくなってしまうと、登山者の多い山では誰かが助けてくれる可能性もありますが、登山者の少ない山道や山では、遭難の危険性もありますので、是非実践して頂きたい歩き方です。
①:体全体で体重移動を心掛ける
イメージ的には前方に倒れるような感じで、体全体の体重移動をさせることで、自然と足が前に出る感じなりますので、余計な筋肉への負担が少なくなります。
②:足裏全体で歩き、筋肉への負担を減らす
普段の生活では、かかとから着地しつま先に掛けて体重移動を行いますが、登山の際には足裏全体で身体を押し上げ、足裏全体で着地するような歩き方にすることを心掛けれると、太ももやふくらはぎの筋肉への負担が少なくなり、体力の消耗を抑えることが出来ます。
③:歩幅を小さくしバランスを取る
日常生活よりも歩幅を小さくする歩き方であれば、急な斜面でもバランスを崩し難くなるため体力の消耗が抑えられる歩き方です。
疲れないための下り坂の基本的な歩き方
無事に山頂に辿り着き、のんびりと休憩を取ったら帰路につきますが、下山時には山頂へ辿り着いた達成感から注意力が散漫になり怪我をし易くなります。特に膝や足首を痛めてしまう方も多く、下山時には登山時よりも注意が必要です。
①:上体を真っすぐ維持
下山時は、どうしても前のめりがちになってしまいますが、上体を出来るだけ真っすぐ維持し足全体に体重が掛かるようなイメージの歩き方を心掛けて下さい。前のめりになっていると、踏み出した足に全体重が掛かり易くなり、ちょっとしたことでバランスを崩し転倒してしまう可能性が高くなりますので、下山時の歩き方で一番大切なポイントです。
②:体重は後ろ足に残し体重移動
下り坂の場合には、前足に体重をかけると膝や足首への負担が大きくなり、怪我をしやすくなります。出来るだけ後ろ足に体重を残したままで、前足を出し足裏全体で着地してから徐々に体重移動をして行く歩き方であれば、体重が後ろ足に残りバランスを崩しても前の坂側ではなく山側に尻もちをつくようになり、転倒や滑落の心配がなくなり安全です。
③:歩幅は小さく
登山時と同じで、歩幅を普段よりも小さくしバランスを取りながら歩くことが大切で、登山時よりも下山時の方が足への負担が大きいので非常に効果的な歩き方になります。
階段になっている登山道の歩き方
登山中でも下山中でも、登山ルート上に必ずあるのが階段状になっている登山道で、舗装された道や丸太や木で出来た道だったりと、さまざまな形状の階段状の登山道は歩き易いのですが、長距離にわたって続いていると思った以上に体力を消耗してしまうのが登山道です。そんな階段状の登山道でも、歩き方次第で、体力の消耗を抑えることも出来ます。
①:段差の近くから登る
階段の端や丸太に足を乗せて登る歩き方だと、どうしても段差を登る歩幅が大きくなり、太ももの筋肉への負担が大きくなり途中で疲れてしまいます。出来るだけ段差の近くから、次の段の奥側へ登るようにすることで足裏全体で着地することもでき、歩幅を小さく維持することが出来ますので疲れ難くなります。
②:後ろ足に体重を掛ける
階段状の登山道を降りる時の注意点は、前足(階段に降りる足)に体重を載せてはいけないという事です。通常の下り坂と違い、段差がありますので前足に体重を掛けて降りてしまうと、ご自身の体重とザックなどの荷物の重量を片足で支えなくてはならず、膝を痛める可能性が高くなります。必ず後ろ足に体重を残して降りることが大切で、イメージ的には浴槽に入るときを想像して頂くと理解できると思います。
バランスの取り易いストックを使った歩き方
登山でのストックは、登りでも下りでも疲労を軽減させることの出来る非常におすすめのアイテムでもあります。登山で足だけに掛かる負担を、ストックを使うことで腕にも分散することが出来るので、ストックなしの場合と比べると登山後の疲れ方に、歴然とした差が出ます。
①:ストックの種類
ストックにはIグリップとTグリップの2種類があり、Iグリップは2本、Tグリップは1本とグリップの形状によって本数が異なります。Iグリップで2本のストックを使用しバランスを取りながらの歩き方の方が登山初心者にはおすすめです。身体の重心をポールの中心に合わせるイメージで使うと便利です。
②:登りは短く、下りは長く
最近のストックには長さ調整が出来る物が多くあり、状況によって調整が可能で使い勝手が良くなっています。登りの時には、体を持ち上げる際の補助として負荷が掛かりますので、短めに調整しておくと楽にストックを使うことが出来ます。逆に下りの時には、体が前のめりにならないように杖のような役目となりますので、長めに調整をすることをおすすめします。
登山での歩き方は、体重移動が基本
登山での歩き方をご紹介して来ましたが歩幅を小さく、足裏全体での着地を心掛け、体重移動を意識して歩くということが基本中の基本となります。出来るだけオーバーアクションをせずに、体力を温存しながら登ることが出来れば、それだけ安全な登山を楽しむことが出来ますので、是非、実践して頂くことをおすすめします。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。