緊急時や災害時に役立つ【徒歩で運べる】防災アウトドアグッズまとめ
2019年10月、本州に上陸した台風19号は、関東・東北の広い範囲に甚大な被害をもたらしました。
2017年の九州北部豪雨、2018年の西日本豪雨に続き、国の想定を超える水害などが発生しています。その原因が近年の気候変動にある以上、災害の頻発は避けがたい問題なのかもしれません。
国や地方自治体が異常気象を前提とした防災計画の見直しを迫られるなか、「自分の命は自分で守る」という意識を持ち、個人でも日頃から備えることが大切といえるでしょう。
幸いにも、読者の皆さんが愛用しているアウトドアグッズは災害時にも活躍します。
ここでは、防災ブック「東京防災」を参考にしつつ、改めて災害時に役立つアウトドアグッズをまとめてみました。
内閣府防災担当が呼びかける「原則徒歩避難」をふまえ、バックパックで背負えるものばかりです。ぜひ参考にしてください。
無料の防災ブック「東京防災」とは
東京防災は、東京都総務局 総合防災部 防災管理課がまとめた防災ブックです。東京防災は完全東京仕様の防災ブックという位置づけですが、もちろん他の都市部にも応用できる内容です。豊富なイラストと平易な文章で構成されており、1時間もあれば読み切れるでしょう。
東京防災は紙の書籍のほか、キンドルストアで電子書籍を無料で入手できます。東京防災ホームページでも閲覧できますので、ぜひご一読ください。東京防災
災害時のNG行動のひとつ:避難に車は使わない
台風19号をめぐる報道の中で、「車中死」という言葉を幾度も耳にしました。増水した川に車ごと転落したり、冠水した道路で車両ごと流されたりして、多数の人が犠牲となったのです。
実は、発災後の避難に車を使うことはNGとされています。
東京防災では、発災時のNG行動のひとつとして「避難に車は使わないこと」を掲げ、内閣府防災担当も、災害時の避難は「原則的に徒歩」と呼びかけています。
避難に車を使うなの意味 渋滞で実感 : 防災情報のページ – 内閣府
その理由は以下のとおりです。
- 家屋の倒壊や落下物により、自動車では円滑に避難できない
- 渋滞や交通事故が発生する恐れがある
- 緊急車両の通行の妨げになる
実際に、西日本豪雨や東日本大震災でも車中死が相次ぎました。東日本大震災では、高台や内陸に逃げようとした人たちの車が、渋滞中に津波に襲われたのです。
車による避難は、一見、徒歩避難より安全そうに思えます。しかし、日本自動車連盟(JAF)によると、一般的な乗用車は水深30センチ程度で車内に水が達し、エンジンが停止する可能性があると注意を呼びかけています。
災害への備えは、「最悪の場合、徒歩での避難が必要になる」ことを前提に考える必要があるといえるでしょう。
ただし、地域によっては避難場所まで距離があり、徒歩での避難が困難なこともあります。内閣府では、地域の実情に応じた避難方法をとる必要がある、としています。
徒歩で運べる防災アウトドアグッズまとめ
以上のことから、防災用品としてのアウトドアグッズは、ファミリーキャンプなどで使う大型なものより、登山やハイキングで使う軽量かつコンパクトなものが適しているといえるでしょう。
特に、自宅が損傷したり焼失したりした場合は、命を守ることを最優先に、最低限の物を持って家庭外に避難することになります。
最低限の物をバックパックに背負って避難することを前提に、「東京防災」の非常用持ち物リストを参考に装備を厳選しました。
正しい情報を得るための道具
FacebookやTwitterは貴重な情報源のひとつですが、不正確なうわさや情報が流布されることもあります。
2016年の熊本地震では「動物園からライオンが放たれた」、2018年の西日本豪雨では「レスキューの服を着た泥棒が大量にいる」とのデマが拡散しました。東京防災では「ラジオや行政のサイトから正しい情報を得ることが大切」としています。
手回し充電ラジオ:東芝 ラジオ TY-JKR5
手回しで充電ができ、アウトドアや災害時に適したラジオです。最大の特徴は、従来のニッケル水素充電電池から、長期保管に強い電気二重層コンデンサ(キャパシタ)に変更していることです。
防災用品は、長期間点検せずに放置してしまうことも、ままあるでしょう。長期保管に適した電池を採用することで、長期保管による劣化の心配が少なくなりました。USB端子も搭載し、携帯電話やスマートフォンにも充電できます。
ソーラー充電器:バイオライト(BioLite)ソーラーパネル 5
高出力のソーラーパネルを採用した、薄型ソーラーパネルです。発電した電気は内蔵のリチウムイオンバッテリーに蓄え、USBポート経由でスマートフォンやPCを充電できます。
十分な容量と性能を備えながら、軽量かつスリムなデザインを取り入れ、収納や持ち運びに便利です。ソーラーパネルと一緒に、充電ケーブルの用意もお忘れなく。
ガス・電気・水道の代替品
災害時にはライフラインが寸断されることも。ライフラインの代替え品を備えておきましょう。
カセットコンロ:ソト(SOTO)レギュレーターストーブ ST-310
アウトドア用コンロにはOD(アウトドア)缶仕様と、CB(カセットボンベ)缶仕様があります。その中でも、災害時の備えとしてはボンベを入手しやすいCB缶仕様がおすすめ。
ソトのレギュレーターストーブはマイクロレギュレーターを搭載し、外気温25℃~5℃の環境下でも、常に一定の火力を発揮できるのが特徴です。
クッカー:スノーピーク(snow peak) アルミパーソナルクッカーセット
野外での調理をひととおりこなせるクッカーセットです。素材に、軽く熱伝導率がよいアルミを採用し、湯沸かしや調理に最適です。食器としても使えますので、ひとセット用意しておくとよいでしょう。
ヘッドライト:ジェントス(GENTOS)LED ヘッドライトCP-095D
ヘッドライトは夜間だけではなく、地下街や地下鉄内など外出時での被災時にも必要です。そのため、常に持ち歩くカバンに常備しておきたい道具のひとつです。
CP-095Dは単3形アルカリ電池1本で稼働し、明るさも95ルーメンと、ナイトハイキングにも使えるほどの明るさを備えています。予備電池と一緒に用意しておきましょう。
浄水器:SAWYER ソーヤー ミニ
アウトドア用浄水器の定番モデルです。
腎臓のろ過機能を応用して開発された高機能フィルターを備えているため、フィルター交換を必要としません。また、動力も必要ないので、災害時の浄水器として適しているでしょう。
有害な病原菌を99.99999%除去できる世界最高レベルの製品で、ソーヤーミニでのろ過と、煮沸消毒を行えば、飲み水を確保できます。
水筒:プラティパス ソフトボトル2L
アウトドアファンにはお馴染みのソフトボトルです。2Lの容量がありながら、使用しない時は小さく丸めて収納できるのが特徴。素材は、安全で臭いが付きにくいBPAフリーの素材を使用しています。さらに、軽くて耐久性も十分です。収納に場所をとらないため、複数本用意しておくとよいでしょう。
食料品
発災後、国や自治体の支援が始まるまでの間、食料は各自の備蓄でまかなわなければなりません。最低限、3日分の食料品を用意しておきたいところです。
フリーズドライ食品:尾西食品アルファ米
尾西食品アルファ米は、アウトドア愛好家に広く利用されるフリーズドライ食品です。その一方で、日本災害食学会が導入した「日本災害食認証」を取得しました。
お湯で約15分、水で約60分で調理でき、ご飯やお粥ができあがります。5年間常温保存が可能。スプーンも付属しており、災害時にも適した食料です。
保存用ビスケット:江崎グリコ ビスコ保存缶
ビスコは1933年発売のロングセラー食品です。老若男女問わず比較的食べやすく、備蓄食としては数少ない甘味系の食品です。調理の必要がなく、開封すればすぐに食べられます。発災直後の備蓄食料におすすめといえるでしょう。
保存用ようかん:井村屋 5年間長期保存 えいようかん
手軽にカロリーを補給できる、食べきりサイズのミニようかんです。井村屋の製造技術を活かして、5年間の長期保存を可能にしました。1本あたり171kcal(ご飯一杯分)のエネルギー補給ができます。
日用品
生活に欠かせない日用品をまとめました。
救急用品:ドイター ファーストエイドキット
救急用品は、緊急時に迷わず素早く取り出せるよう、ひと目でそれと分かる外観が大切です。そのため、ファーストエイドキット専用のポーチを選びましょう。
あらかじめ救急用品がセットされた市販品もありますが、個人により必要なものが異なるため、各自で備えることが大切です。
- 衛生手袋
- 包帯
- 三角巾
- テーピング
- バンドエイド
- ガーゼ
- 常備薬
- 医療用はさみ
- 爪切り
- とげ抜き
- 予備のコンタクトレンズ など
上記はファーストエイドキットの一例です。これらを参考に、各自が必要な救急用品を考えてみてください。
携帯トイレ:モンベル(mont-bell)OD トイレキット
災害時に最も困るもののひとつがトイレで、発災後、4時間以内に便意を催すといわれています。万が一のために、携帯トイレも非常持ち出し袋に用意しておきましょう。
モンベルのトイレキットは、アウトドアフィールドや災害時の使用に適した軽量コンパクトさが特徴。付属の吸水ポリマーで尿や便が約1分で凝固し、防臭袋で確実に臭いを閉じこめられます。
トイレ用スコップ:モンベル(mont-bell)ハンディスコップ
トイレ用スコップも用意しておくと安心です。丈夫なステンレス製で、軽く持ち運びにも便利です。
エマージェンシーブランケット:SOLエマージェンシーブランケット
エマージェンシーブランケットは、体温の低下を防ぐためのシートです。ポリエチレン素材にアルミ蒸着加工を施し、体が放射する体熱の90%を反射できます。
悪条件がそろえば夏場でも低体温におちいる危険があるため、冷えや寒さには細心の注意が必要。しなやかで繰り返しの使用が可能であり、しかも安価なものです。家族人数分を用意しておきましょう。
シュラフ(寝袋):モンベル(mont-bell)ダウンハガー650 #5
睡眠は体力を回復させる大切な時間です。そのための毛布も備えのひとつですが、コンパクトで高性能なシュラフがあればより安心でしょう。
ダウンハガー650は使用限界温度が6度と、保温力と価格のバランスが良いモデルです。先に紹介したエマージェンシーブランケットや防寒着と組み合わせることで、冬場の被災にも対応できることでしょう。
マット:サーマレスト(THERMAREST)Zライトソル
快適な睡眠のために毛布やシュラフは大切ですが、その下に敷くマットはさらに大切です。マットで地面や床からの冷気を遮断することで、毛布やシュラフの保温力を最大限に活かせるからです。
災害時の備えとして考えた場合、故障のないクローズドセルマットがおすすめといえるでしょう。クローズドセルマットはエアーマットのように膨らませる必要がなく、広げればすぐに使用できます。
ツェルト:アライテント スーパーライト・ツェルト1
重量わずか280gの軽量ツェルトです。別売りのポールや張り縄などを利用すればテントとしても使用できるほか、かぶるだけでも防寒着の代わりになります。トイレや着替えの際、プライバシー確保にも役立つでしょう。
防寒着:モンベル(mont-bell)EXライトダウンジャケット
すでに述べたとおり、寒さ対策は重要です。季節を問わず、コンパクトに収納できる防寒着を用意しておくと安心でしょう。
EXライトダウンジャケットは、高品質の900フィルパワー・EXグースダウンを超軽量シェル素材で包み込みこんだジャケットです。同等性能のダウンジャケットと比べて圧倒的な収納サイズと軽さを実現させ、災害時の備えとしても最適な製品です。
レインコート:モンベル(mont-bell)ドライテック レインウエア
雨具は、両手をあけられ、防水性も高いレインウエアがおすすめです。たとえ雨にふられなくても、防寒着として代用できるでしょう。ドライテックレインウエアはモンベル独自の防水透湿素材を採用しました。リーズナブルな価格ながら、優れた性能と収納のコンパクトさを実現しています。
その他の小物
その他、あれば安心・便利な小物をご紹介します。
ホイッスル:A&F オリジナル IDホイッスル
信号用ホイッスルと、防水カプセルを組み合わせた製品です。万が一閉じ込められたり、身動きができなくなったりした場合は、大声を出しての体力の消耗をさけるため、ホイッスルが有効とされています。
防水カプセルの中には緊急メモを収納でき、医師や救急要員に必要な事項を伝えられます。
ヘルメット:TOYO 防災用折りたたみヘルメット ブルーム ホワイト No.100
落下物から身を守るためのヘルメットです。使わない時は折りたたんでコンパクトに収納でき、緊急時には紐をひくだけでヘルメットに変形します。
マルチツール :GERBER マルチプライヤー MP600
汎用性の高いプライヤーをメインに、ナイフやドライバーなどの工具を収納したツールです。これ1本で多種多様な用途に活躍しますので、ぜひ用意しておきたい道具です。
筆記具:オキナ プロジェクト耐水ノートB6
筆記具次第で、ほぼどのような環境でも書ける耐水ノートです。筆記具は雨の中でも書け、芯さえ出せば使える鉛筆がおすすめでしょう。
総重量約4.8kg! 30Lクラスのバックパックに収まる
ここまで紹介したアイテムの総重量は5kgを切ります。(ただし、食料品や救急キットの内容によって重量は変化する)この重さなら、普段からハイキングを楽しんでいる人や、通勤・通学でバックパックを背負っている人なら、無理なく背負える重さでしょう。
バックパックの容量は、紹介したアイテムに加え、着替えや貴重品、水の運搬などを考慮し、30L以上がおすすめです。
リストを参考に本当に必要なものを吟味して、玄関の近くや寝室、車の中、物置などに配置しておきましょう。そうすれば、家が倒壊しても持ち出せるからです。
ただし、非常持ち出し袋は各自が必要なものを考えることが大切です。リストを参考に防災用品を見直してみてください。
必要最低限の物は個人によって異なりますから、お仕着せの物ではなく、自分の頭を使って生きのびるために必要な物を用意することが大切なのです。引用:東京防災
まとめ
こうして防災用品をリストにしてみると、日常的にアウトドアを楽しむ人にとって、珍しい道具ではないことが分かります。
もともとライフラインが整備されていない自然の中で、居・食・住を楽しむのがアウトドア。発災後のライフラインが寸断された状況にも、アウトドア用品は大いに役立つことでしょう。
冒頭でも述べたように、巨大地震や台風など、日本はいつ災害に見舞われてもおかしくありません。災害を対岸の火事として見過ごさず、これを機に、改めて防災について考えてみてはいかがでしょうか。
おまけ:買い換えるときのこと
ほしい商品は見つかりましたか?
新しいものに買い換えたとき、今まで使っていたギアはどうしていますか?
「まだ使える…いつか使うかも…」と保管していたけれど、結局使わないままに経年劣化でボロボロになって、捨てるしかなくなる…なんてことは、残念なあるあるパターン。
かといって、まだ使えるものを捨てるのももったいないですよね。
そんなとき、いまどきの登山家・キャンパーは、アウトドア用品の買取専門店に売っています。
こういうお店も上手に利用して、エコ&おトクにアウトドアを楽しんでくださいね!
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。
日本オリエンテーリング協会 読図・ナヴィゲーションスキル検定:シルバーレベル|フルマラソンベスト:3時間29分|将来、狩猟にも挑戦すべく「第1種銃猟免許」と「わな猟免許」を2018年に取得したものの、都市住まいではなかなか活用できないのが悩みの種。 https://takashi-kawaguchi.com/