登山のためのサングラスの必要性、冬や春の登山には必要不可欠
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引用:pexels
サングラスをして登山?他の登山道具に比べると、サングラスは必要不可欠な道具という位置付けではありませんが、どんな時も登山にはサングラスの持参をおすすめします。
特に、雪山や残雪のある春の登山においてはサングラスは必要不可欠です。
登山=サングラスというイメージはあまりありませんが、こちらでは登山とサングラスというテーマについて解説いたします。
日本の登山にサングラスは必要か?
エベレストなど海外の標高の高い山に登るのであれば、登山にサングラスは必需品というイメージもありますが、日本の国内の山に登るのに果たしてサングラスは必要なのか?……そんな疑問を持つ方もおられると思います。
実際に一昔前の国内登山において、サングラスをかけている方は、ほとんど見かけませんでした。
確かに、日頃からメガネをかけていない方にとって、サングラスは邪魔な存在となりますし、サングラスがなくてもアルプスクラスの山に登るのに何ら支障はありません。実際、多くの方がサングラスなしで北・南アルプスそして富士山に登っています。
しかし、サングラスをかけての登山が推奨されるのには、ちゃんとした理由があるのです。
行動の支障が生じる雪目防止のためのサングラス
引用:ぱくたそ
標高の高い山では、街に比べると紫外線が多いのはご存知の通り。日焼けを発生させる紫外線ですが、目に紫外線が当たると「雪目」となります。「雪目」というのは、紫外線によって目の角膜表面がただれて痛みのために目を開くことができなくなる病気であり、一旦かかると行動に著しい支障が生じます。
夏山の場合は、上から降り注ぐ太陽光に目が直接当たることが少なく、雪目となりにくいのですが、問題は雪山及び春山登山です。白い雪に反射した太陽光は、屈折した結果、直接人間の目に紫外線を当てることになります。雪山登山で晴れわたった白銀の世界は、大きな魅力のひとつですが、白銀の世界=紫外線を直接目に浴びる世界、ということにほかなりません。
よって、特に雪山登山、また雪の残る春山登山を行う場合、サングラスは必要不可欠となります。
スキーやスノーボードでは必ずゴーグルやサングラスをかけます。あれは雪の中で斜面を見やすいようにするという観点もありますが、紫外線による雪目防止という意味合いも含まれています。
同様に、雪山登山や春山登山といった、雪に囲まれた登山をするのであれば、サングラスは必要不可欠です。
それ以外の季節では、必要不可欠とまでは言いませんが、それでも標高の高い山で浴びる紫外線の量は街中に比べればはるかに多いため、できるだけサングラスの持参がすすめられています。
サングラスのレンズの種類、調光レンズと偏光レンズ
引用:写真AC
登山に利用するサングラスのレンズには、主に調光レンズと偏光レンズの2種類が存在しています。
(1)調光レンズ
調光レンズは、紫外線などの量によってレンズの色が変化する特殊なレンズです。その色の濃さにかかわらず、紫外線をほぼ100%カットできる優れものです。また、日陰や曇りではレンズの色が薄くなり、日差しが強い場所では濃くなるという性質を持っているため、調光レンズ1つで登山のレンズの用途をすべて済ますことができます。
ただし、調光機能は経年劣化するため、数年に1度のペースで買い替えが必要となります。
(2)偏光レンズ
偏光レンズは、レンズとレンズの間に偏光膜を挟むことで、過度な紫外線をカットする機能を有しています。調光レンズに比べるとレンズへの映り込みが少ないという特徴を持ち、目が疲れにくく視界をハッキリと確保できるというメリットがあります。足場が不安定な場所も多い登山では、紫外線を浴びる量を気にすることも大切ですが、視界を確保することも大切となります。
ただし、偏光レンズは、レンズとレンズの間に偏光膜を挟んでいるという構造上、取り扱いに注意が必要となります。偏光膜は水分に弱いため、水分は厳禁です。よって、雨の日の利用は避けるべきですし、汗でサングラスをベタベタにすることも避けるようにします。
サングラス=白人、というイメージには訳がある
引用:写真AC
サングラス=白人、というイメージがありますが、それには理由があります。
目の瞳の部分=虹彩は、色が薄いほど瞳に入る光の量が多くなります。白人の瞳は青色などキレイな色ですが、黒や茶色といった色に比べると瞳の色が薄いため、瞳に入る光の量が多くなります。瞳に入った光は雪目や白内障といった病気を引き起こす可能性があるため、白人の場合は日差しが強い地域ではサングラスが必要不可欠となります。
このような事情が、白人=サングラスというイメージの形成につながっているのです。
まとめ~冬山や雪の残る春山登山にサングラスは必須
夏山においても、長く山中にいると目がチカチカすることがあります。それは、紫外線を浴びた瞳のSOSとも言えます。夏山などの雪のない季節の登山の場合は、よほど期間の長い登山以外はサングラスがなくても問題ありませんが、瞳の紫外線対策=雪目対策として、雪山や残雪のある春山においてはサングラスの存在は必要不可欠と言えます。
登山道具としては必要不可欠とまではされていないサングラスですが、特に雪のある山に登る際は必要不可欠と言えますし、標高の高い山では夏でも降り注ぐ紫外線量は平地と比べると格段に多くなります。
サングラスは、雪山や残雪のある春山は必需品として、夏や秋の山でも可能であれば持参して、万全の体制で登山に臨みたいものですね。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。