湿度の高くなる季節の登山ではヒルに要注意
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6月の梅雨が始まる湿度が高くなる時期が近づいてくると登山中に注意したいのが「ヒル」です。都市部の生活で目にする事は殆どなく、登山経験者の方でも被害に遭われた方の話を聞く方が多いのではないでしょうか。1匹のヒルに吸血された位ではそうでもないですが、大量のヒルに襲われた場合にはショック状態に陥る事もありますので注意が必要です。時々大量発生の報告もありますので、事前に対処法を勉強しておくと役立ちます。
ヒルの分布は日本の広範囲に渡ります
ヒルの分布域は大きく言うと岩手や秋田県から南、本州から四国、九州と言われており、北海道などの寒い地域を除けば日本全国に生息している事になります。
普段は森の湿気の多い木の葉の下などに潜んでいますが、動物が近くを通り掛かると表に出て草や木に登って、伸縮する身体を振り回して吸血の対象に取り付きます。このヒルが身体を振り回している姿を蛇になぞらえて、鎌首を持ち上げていると表現することが多いです。
またヒルが吸血対象を感知するのは、二酸化炭素の排出や振動、熱と言われていますがはっきりした事は分かっていないのが現状です。
移動スピードの速さには驚かされます
ヒルは体長が約3センチほどの小さな生き物ですが、身体が自由に伸び縮みする弾力性に富んでいて引っ張ってもちぎれず、踏みつけても潰れないと言われている程です。
身体の前後に吸盤を持っていて、移動する際には尺取虫のように伸び縮みしながら進みますが、移動するスピードは思っている以上に早く人間の足元に張り付いてから首元まで移動するのに1分程度、靴の中に潜り込んで吸血するまで30秒程度と言った報告もある位です。
なるべくヒルに取り付かれない様に対策をしておく事が大切です。
咬まれたあとは出血を止める事を優先に手当を
登山の途中でヒルから咬まれて病気や感染症になったりと言う事は報告されてありませんが、大量のヒルに襲われた場合にはヒルを引き剝がした後でも出血が止まらずショック状態になる事もあります。
ヒルの吸血自体は2~3ml程度で少ないですが、咬まれた痕からの出血がなかなか止まらないので出血量はもう少し増えます。ヒルの唾液にはヒルジンという成分が含まれており、この成分が血液の凝固を阻害していることで出血がいつまでも続いてしまい、咬まれたままの状態で放置すると約2時間程度、少しづつ出血すると言われています。
ヒルを引き剥がした後には、必ず咬まれた部分からヒルジンを吸出し消毒をして出血を早く止める事が大切になります。
ヒルからの吸血被害への対応策について
もし登山の途中でヒルに咬まれてしまった場合に、ヒルを引き剥がす方法と取り付かれないための対応策がありますのでご紹介します。
【ヒルに咬まれて引き剥がす時】
①:消毒用アルコールを塗布する。
消毒用アルコールを塗布すると簡単にヒルが剝げ落ちていく動画も公開されていますので効果は抜群です。
②:塩か塩分濃度の高い液体を塗布する。
ヒルは乾燥に弱い生き物なので、塩などを塗布すると浸透圧の効果で水分が抜けてしまうため効果があります。
③:火を近づける。
ヒルも生き物ですから火を近づけると引き剥がせると言いますが、自分も火傷をする危険がありますのでおすすめ出来ませんが効果はあるとされています。
【ヒルに咬まれないための事前対策】
①:ヒル撃退用の忌避スプレーを塗布しておく。
ヒル対策用のスプレーは、さまざまな種類が販売されています。ネーミングも面白い物も多く「ヒル下がりのジョニー」や「ヤマビルファイター」「ヒルノック」などありますので登山前に必ず塗布して下さい。
②:20%食塩水を塗布する。
食塩濃度を20%程度にした食塩水を登山前に登山靴やズボンの裾にスプレーして塗布しておくとヒルが寄り付き難くなります。
ヒルに咬まれない様に事前の準備が大切になります。
登山前の情報収集は非常に大切なことです
ヒルの活動時期は4月から11月と折角の登山シーズンと重なってしまいますが、特に注意が必要な時期が6月から9月の雨が降り高温多湿になる時期です。 これだけヒルに咬まれないように準備をしていても、物凄い数のヒルに襲われてしまえば折角の登山を断念して下山することも出て来ます。最近ではインターネットのWEBサイトでヒルの目撃情報から、実際に襲撃されて登山を断念した情報など、どこの山や登山道が危ないと言った詳細な情報を頻繁に更新してくれています。これらの貴重な情報を参考にしてヒルが大量発生しているような山や登山道には近づかないように、登山計画を事前に変更して被害に遭わないように自己防衛しておく事も非常に大切な事です。
ヒルに咬まれないような安全な登山にするためには
雨の良く降る6月から9月の季節の登山では、どうしても湿気を好むヒルの習性上、活動が活発化して襲撃を受ける可能性はあります。さまざまな対策を講じていても効果が切れるとその隙間をついて咬まれたりと、登山者とヒルのいたちごっこになりますが、楽しみにしている登山で不快な思いをしないようにしっかりと準備をする事をおすすめします。また下山後にはザックなどにヒルが付いている可能性もありますので、帰宅し自宅に入る前にもう一度確認をすることも必要です。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。