クライミングトレーニング実践編!〜亮さんのクライミング教室〜

2020年東京オリンピックで初めて正式種目となった「スポーツクライミング」。興味のある方や、実際にジムへ行って体験してみた方、中にはどハマリして、マイシューズも購入して週〇日通っています!なんて方もいるのではないでしょうか。日本人クライマーのレベルは男女共世界的に見ても高く、ワールドカップの年間チャンピオンに輝く選手はもちろん、平山ユージさんや小山田大さんのような世界中から注目を浴びるレジェンドクライマーと呼ばれるような方も存在します。

またここ5年ほどでクライミング・ボルダリングジムがあちこちに増えブームの兆しをみせています。誰でも気軽に始められる環境が整っているため、競技人口も急増し、日本は世界屈指のクライミング大国となりつつあります。

さて、そんな流れの中でクライミングにハマり、「もっと上手く、強くなりたい!」と思わない方はいないはず。今回はクライミングを始めてばかりの人が取り組むべき、基礎的なトレーニングについて紹介したいと思います。

トレーニング① 「懸垂」で背中を鍛える

クライミングには様々なムーブ、技術が存在します。それらはクライミングを継続し、より高グレードな課題に挑戦していく中で身に付けていくものです。ムーブや技術を身に付けることで、より少ない力で課題をクリアすることも可能になります。ただし、基本的には・・・というより、グレードが上がるにつれ、最終的には「より少ない指で、より悪いホールドで、自重をどれだけ保持し、体を引き付けられるか」という点がやはり重要になります。そもそも決められたホールドで自分を保持し、体を引き付けられなければ、次のムーブに繋げられなくなってしまうこともあります。

さて、日常生活を送る中で、懸垂をしてトレーニングをしている方がどれだけいらっしゃるでしょうか。もちろん筆者もクライミングにどハマリするまで、懸垂どころか運動すら全くしておらず、29歳にして懸垂に挑んだところ、2回しかできませんでした・・・。

懸垂がすでに出来る方は、鉄棒のような「逆手」ではなく「順手」で保持し、体を上に持ち上げるというより、背中の筋肉を意識して胸をホールドに引き付けるようなイメージで行ってください。慣れてきたら回数を増やす・重りを背負うというのも手ですが、トレーニングボードやジムで空いているタイミングを見計らって壁のホールドを利用し、「指を減らす」「指を浅く引っかける」「スローパーなどの悪いホールドで行う」等、自分の苦手なホールドが克服できるよう工夫をしてみては如何でしょうか。悪いホールドを握ってぶら下がり続けることで、クライマーの特徴とも言える(?)前腕も鍛えられます。

懸垂ができない人は、鉄棒ができる環境であれば地面に足を付けて斜め懸垂をしてもいいのですが、なかなか難しいかと思います。となれば、ジムのトレーニングボードの下に台を置き、足がつく状態にしてから力を込め、できる範囲内で上記でご説明したような懸垂の動きをします。背中の筋肉を意識して胸をホールドに引き付けるようなイメージで・・・ということですね。もしくは、空いているタイミングでホールドを利用し、足がついている状態(ホールドに立ちこんでいる状態でも良い)で、背中の筋肉を意識し、胸から壁に引き付けるようなイメージで行ってください。もちろん、傾斜のある壁であるほど効果的です。懸垂のみでグレードアップというのは難しいですが、懸垂無くしてグレードを上げるには、余程の身体操作の才能を持っていない限り、すぐに限界が来ます。ジムに行ったら必ずやるような、ルーティンのひとつにしましょう。

トレーニング② 「体幹」を鍛える

体幹といっても関わる筋肉は様々ですが、特に腹筋(腹直筋、腹斜筋、腹横筋)や、腰回りのトレーニングは懸垂同様ルーティンに入れておきたいものです。クライミングは腕でぶら下がるだけではなく、あちこちに足を運び、無理やり足を引き上げ、時には体を日常ではあり得ないような方向にひねる・・・そんな動作が要求されます。そんな「ずっとこの体勢を続けているのはツラいぞ・・・」という体勢をとっている時に、体を支えバランスを保ってくれるのが、「体幹」です。これに関しては、単純な腹筋運動を繰り返すより、体をコントロールし、バランスを取り続ける運動をして負荷をかけていくことトレーニングが望ましいと思います。

引用:Amazon
お腹の正面に位置し、縦方向の動きをコントロールしてくれる筋肉が、腹直筋です。これは平均1000円程度で販売されているハンドル付きローラー(通称コロコロ?)で大いに鍛えることが可能なのでオススメですが、無くても可能です。腕立て伏せの体勢から両肘~前腕部を床につけ、手は軽く握ります。肩から肘が地面と垂直になるよう気を付け、徐々に腰が下がらないようしっかり腹筋を意識し、つま先まで一直線になるよう体勢をキープしましょう。これを数十秒×数セット、自分の筋肉に適切に負荷がかかるよう決めて行います。

Wolfyok 腹筋ローラー
Wolfyok 腹筋ローラー
ローラー幅が広く、安定した使用が可能です。膝への負担を減らすマットが付属しているので初心者や女性の方でも安心して使えます。

次に腹斜筋・腹横筋です。これらは腹直筋の鍛え方を、横に開いたような体勢で行います。まずは右肘から前腕を床につけ、肩から地面が極力一直線になるよう意識してください。足を横向きで伸ばし、足から横の腹筋のラインを意識し、腰を持ち上げます。慣れないとなかなか厳しいですが、数十秒×数セット、左右交互に行ってください。筆者の感覚ですが、腹直筋を鍛えた事でデッドやランジ等をして足が切れた際の「縦の振られ」が抑えられるようになりました。(気がします)。
また腹斜筋・腹横筋を鍛えたことで、足を切って高い位置へヒールを引き上げる等、強度の求められるムーブがスムーズに行えるようになりました。(気がします)。

トレーニング③ 限界があることを知ろう!

登っているだけでも限界はあるし、トレーニングだけでも限界がある・・・ということを知ろう!

懸垂も上級者になればマッスルアップや片手懸垂等、より高度なトレーニングに発展します。体幹トレーニングもバランスボールやヨガポールを使用し、さらなる高みを目指すことができます。どちらも世界的なクライマーは積極的に行っていますが、クライミングはグレードが上がるにつれて非常に複雑なバランス、技術、体のコントロール性が求められるスポーツです。単純なトレーニングだけでそれらを身に付けることはできませんし、クライミングはクライミングをして上手くなるのが一番の近道です。基礎的なトレーニングも大切な反面、そればかりに夢中になると、どこかでバランスが崩れ、怪我やスランプに陥ることもあります。得意苦手はそれぞれありますが、スラブ~ルーフ等、様々な壁の課題にバランスよく打ち込み、ルーティンとしてのトレーニングにも様々な変化・工夫を加え、クライマー同士でガンバ!と励ましあいながら切磋琢磨していきましょう。

トレーニング④ ついでに・・・「栄養・休息」も大事なんです

引用:pixabay
意外と見過ごされてしまうこともありますが、クライミングはあくまで「自分の身体」で壁や岩に立ち向かうスポーツです。シューズとチョークは、あくまでその手助けです(世の中には、裸足にノーチョークで段の課題を登るツワモノもいます・・・)。なので、日頃から自分の身体をどう作り上げ、付き合っていくかが重要になるのです。

クライミングの特性として、必要な筋肉は鍛え、その他は無駄に鍛えすぎず、身軽であることが大切とされています。よって、厳しくここで断言してしまいますが、まず「体脂肪」は大きな敵になります。体脂肪を気にしつつ、必要な栄養をしっかり摂り、筋肉の回復と成長を促すためにしっかり寝る、これが怪我をせず順調にクライミングを上達するには欠かせない要素です。
では、クライミングをするにあたって必要な栄養について、簡単にご説明したいと思います。

一番大切なのは、やっぱりタンパク質!

タンパク質は筋肉を作る元です。タンパク質は体内で細かい様々な種類のアミノ酸に分解され、それぞれが関連しあいながらも別々の働きをしてくれます。簡単な目安として、スポーツをしない人でも1日「体重(kg)×1g」分のタンパク質を、クライミング等スポーツをする人は「体重(kg)×1,5~2g」のタンパク質を毎日摂取しましょう。
※ここで言うタンパク質は、あくまで栄養素そのものなので、お肉を体重×1~2g食べればいいということではありませんので注意を!
お肉・お魚が苦手な人や、量が食べられない人、暇が無い人、一緒に摂取してしまう脂質によるカロリーが気になる人は、ここでプロテインのお世話になることになるかと思います。

ビタミン類も大切!

摂取した栄養をきちんと全身に代謝し、栄養素として働かせるにあたって、ビタミン類は必須です。特に水溶性で多少摂りすぎても害の少ないビタミンB類とCがスポーツをする体に与えてくれる恩恵は大きいものがあります。これに関しては、筆者はお手軽にサプリメントを飲んでいます。安価ですし、寝る前に飲むだけの日常にしてしまえばとっても楽です。

ミネラルは特に「亜鉛」に気を遣って!

日本人の食生活で摂取しにくく、体中の「細胞の代謝」を助けているのが、亜鉛です。つまり、髪や爪、もちろん筋肉も、男性に関しては精子に至るまで、あらゆる細胞の代謝に亜鉛が必要とされます。こちらもお手軽価格でどこでもサプリメントが手に入りますので、筆者おすすめです。

糖質の摂りすぎは注意を・・・

体脂肪の敵、それはズバリ、「糖質」です。糖質って美味しいですよね。ごはん、パン、パスタ、ラーメン、クッキーにケーキ、みんな米や小麦粉、砂糖があってのものです。しかし現代人は、糖質からカロリーを摂りすぎており、タンパク質やその他の栄養が足りていない・・・なんてことになりがちなのです。

「忙しいから、とりあえずコンビニでおにぎりかパンを・・・あ、カフェオレも飲もうかなぁ」、なんて朝食や昼食が珍しくないのではないでしょうか。でも、ちょっと待ってください!裏の成分表示を見てください。「炭水化物」の合計が、大変なことになっているんじゃないですか??特に白米や小麦粉、砂糖のような精製された炭水化物は、体の吸収がいいため、すぐエネルギーに変換されますが、使われなければあっという間に脂肪となって蓄えられてしまいます。なんて恐ろしい・・・。コンビニでおにぎり1個と菓子パンとカフェオレにするのなら、おにぎり1個とサラダチキンとお茶!このほうがタンパク質もしっかり摂れて、太りにくいということですね。ただし糖質は吸収のされやすさにより体への負担が違いますので、「GI値」というものを気にしてみてください。うどんよりもそば、白米より発芽玄米など、工夫をすることで日常的に糖質制限生活ができたりします。

コアなところにいくと、グルコサミン&コンドロイチン&MSM、クレアチンなんてものも・・・

ここからは徐々に(急に?)ディープな話になります。クライミングは身体を痛めることもありますが、クライミングで重症化する怪我といえば、いわゆる「パキり」!そう、関節の怪我が本当に多いスポーツなんです。結局病院に行っても「安静に・・・」と言われてしまい、そう言われても安静にできないクライマーの、まぁ多いこと!(筆者も完全にそれですが)。パキりは完全に防ぐことは難しいですが、予防のひとつとして、グルコサミン・コンドロイチン・MSMの3つの成分が入っているサプリメントをおすすめします。関節の合間にある軟骨成分等の修復に必要な存在ですので、週3以上のハードな、そして成長期のクライマーには気を遣って摂取していただきたい成分です。

また、最近有名になってきたクレアチンですが、こちらはタンパク質が分解されて作られる、アミノ酸の一種です。すごーく簡単な説明をすると、プロテインなんかは「筋肉を作る」働きをするのに対してクレアチンは「筋肉にエネルギーを送る」働きをします。なので、1週間の内、1日4回、5gずつ(つまり1日合計20g)飲んで体の中にクレアチンをため込んでおくと、ズバリ!ボルダリングのような瞬発力が求められる動きをする際に、エネルギーが多く筋肉に送られるため、単純に「ちょっと瞬発力が上がる」というような効果があります。コンペに参加される方はぜひ、1週間前からクレアチンを!ということですね。ただしクレアチンを飲む際は水分と多少の糖質も一緒に摂ることが大切なので、食後がおすすめです。筆者もクレアチンを使いましたが、確かにやや効果はあったかと思います。私はお腹が緩くなるようなので、本当に勝負をしかける時にしか飲みませんが・・・。

さて、今回は広く浅く大雑把にですが、クライミングのトレーニング、そして自分の身体に向き合うための栄養バランスについて筆者が気を付けていることを書かせていただきました。本当はもっと色んなトレーニングやサプリを使用していますが、今回はこんなところで。ご参考になれば幸いです。

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。

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