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近年、田舎での暮らしについての書籍も多く見られ、都会を離れ、山での暮らしに興味を持つ人が増えてきています。人口減少という深刻な問題を抱える多くの地方自治体では、新たな移住者への行政によるサポートも手厚く、移住する人にとって家賃が安く済むなどのメリットも。しかし、良い点ばかりに目を向けていると田舎での暮らしは失敗しかねません。移住したあと後悔しない為に知っておくべきポイントをご紹介したいと思います。
ひと言で田舎と言っても土地柄や地域性はさまざま
山での暮らしに成功して、楽しく充実した生活を送っている人がよく「地元のおじいちゃんや、おばあちゃんにとても可愛がってもらってます」ということが聞かれます。不慣れな畑仕事に悪戦苦闘しているところに手を貸して教えてくれたり、農作物や手作りのおかずなどをお裾分けしてもらったり。このような話を聞くと、人と人との繋がり、田舎ならではの人の温かさが伝わってきます。しかし、田舎であれば日本全国どこでも親切にしてくれる人がいるとは限りません。それぞれの田舎にはそれぞれの地域柄というものがあり、移住者は言ってみれば基本的に「よそ者」です。面倒見が良い地域柄の田舎もあれば、よそ者をやすやすと受入れない排他的な地域柄の田舎もあります。この地域柄についての問題は、地方自治体がどれだけ移住者の支援に力を入れているかという事はそれほど目安になりません。
立地や環境を十分に下見しておこう
山での暮らしの楽しみの一つは自分で栽培した野菜を食べられることです。自分で無農薬栽培した野菜はこんなにも美味しいものなのか!と思います。自治体による行政のサポートが手厚い場所であっても、家族で下見に来た結果、移住が決まらないことも実際多いようです。移住用に地方自治体が用意する空き家は田舎の中では比較的「町」にある事が多く、畑が家の近くにないということがあります。自分の手で農作業がしてみたいと思っている人には見合わない点です。また古い家具や建具がそのまま残っている空き家が多く、使わない物の処分に想定外の費用がかかる為に移住を諦める人も多くいます。
その土地の気候の特徴についてよく調べておこう
山暮らしの計画で盲点となるのがその地域の気候。特に冬期の積雪量には注意が必要です。
ネットを使って物件を探す事もあると思いますが、あえて凄い雪が積もっている写真を載せたりはしないでしょう。積雪量が多い地域では早朝に除雪車よる除雪が行われますが、除雪車は主要幹線道路には入れますが、自宅の前の道路は自力で雪かきをすることになります。民家が少ないところなど、場合によっては相当な距離の雪かきが必要となります。
家のすぐ側に川が流れ風情のある田舎の風景と思われますが、家のそばに川があると結露で家中が湿気で大変な事になる場合もあります。家のそばに川があっても結露しない家は、そもそも隙間が多く、冬には隙間風でかなり寒い家と言えるでしょう。
山の暮らしでは虫との戦いは避けられません!
緑の多い山での暮らしは、当然ながら虫が沢山います。虫が苦手な人は山での暮らしはとても苦痛に感じるかもしれません。
外出する時だけ気を付ければ大丈夫と思われがちですが、田舎では家の中に虫はいくらでも出てきます。古い家や、山が近ければ間違いなくムカデが家の中に出てきます。そばに田んぼがあれば窓にはカエルが這い上がっていることも日常にあります。夏場はカエルの鳴き声凄くて、テレビの音も聞こえないほどになる時も。
山暮らしの農作業は野生の生物との戦い?
田舎の家で畑仕事をしながら、のんびりと山暮らし…と夢見たりします。山に近い場所では、朝、小鳥のさえずりで目覚め、夜には山の樹木で山の香りがして、幸せだなぁと思えるひとときでしょう。
しかし、家から山が近い事は、野生の生き物がすぐ側まで出没する危険性も考えられます。丹精込めて農作物を作っても収穫間際にイノシシや鹿や猿に荒らされてしまう事も。物件を下見に行ったなら、近くの畑に柵などの獣よけがされているかが、ある程度の判断の基準となります。
山での暮らしの中で畑仕事をするという事は、野生の生物との戦いとも言えます。行政が害獣の対策で助成してくれるのでは?と思われるかもしれませんが、まず期待されない方が無難です。
本当に自分に合った土地なのかをもう一度見直そう
思いつきで田舎に移住し、山暮らしをしたものの、すぐに後悔し三カ月も経たずに挫折をしてしまったというケースも多くあります。
定年後、夫婦で都会から移住してきたAさんは、はじめは日々の山暮らしがとても新鮮で楽しかったのですが、冬期の寒さと雪が予想以上に過酷であったこと、また近所の住民の方と馴染めなかったことが理由で約一年で都会に戻られました。
十分に下調べをし、自分に合った場所選びを心掛けましょう。上手に適応する事ができれば、とても快適な山暮らしをおくることができます。