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キャンプ、ハイキング、テント泊登山、トレイルランニング。
自然の中のどのようなシュチュエーションにも、必要不可欠な装備がヘッドライトです。
日帰り山行でも必ず用意すべき道具ですが、もしかしたら、マウンテンシティメディアの読者さんの中にもヘッドライトを怠り、怖い思いをした人がいるかもしれません。
近年は他の山道具と同様にヘッドライトも多様化し、各社から魅力的な商品が多数販売されています。初心者にとって、何をどう選ぶべきか、かえって難しい状況といえるでしょう。
そこで、この記事ではヘッドライトの購入を考える人のために、ヘッドライト選びで注目したい4つのポイントについて解説します。
さらに、日本のLEDライトメーカー「ジェントス」から、キャンプやハイキングにおすすめのヘッドライトを厳選しました。ぜひヘッドライト選びの参考にしてください。
ジェントス(GENTOS)とは
株式会社ジェントスは、1978年に創業した日本のLEDライトメーカーです。東京都台東区に本社を構え、2001年、当時開発されたばかりの白色LEDを懐中電灯やヘッドライトにいち早く搭載したことで知られています。
実は、ジェントスは懐中電灯メーカーとして誕生したわけではありません。創業当初はライターの製造・販売を手がけていたのです。時代の流れとともに、時計、電卓、ライトと主軸商品を変遷し、現在のLEDライト専業メーカーへと至りました。
ジェントスのLEDライトはその高い品質が認められ、建設現場や警察、消防などのプロフェッショナルからのニーズを獲得しています。ジェントスの品質へのこだわりは、ヘッドライトのフラッグシップシリーズ「Gシリーズ」の開発秘話からうかがえます。
ユーザーと真摯に向き合う製品開発
「中国で最終開発をしていたんですが、日本で手袋を大量に買い込んで持っていきました。いろんな手袋で試しましたよ。これではだめだ! って何回言ったか……」
引用:新電気 2018年1月号 開発秘話 ジェントスヘッドライト 『Gシリーズ』
現場のプロの使用に耐える製品を作るにあたり、ライトそのものの性能向上や、耐久性の確保に試行錯誤するのは当然のことでしょう。ジェントスではその先を見据え、ユーザーと真摯に向き合っています。「グローブをはめた手でいかに快適に使えるか」まで想像力をふくらませ、ありとあらゆるグローブを試しながら徹底した製品作りを追求したのです。
もちろん、グローブの逸話はジェントスの製品開発のほんの一部にすぎません。ジェントスでは「世界一のフラッシュライトブランドになる」ことを目標とし、これからも成長を続けていくことでしょう。
ヘッドライト選びの4つのポイント
ヘッドライト選びに注目すべきポイントは、照射距離、明るさ、バッテリー性能、防水性能の4点です。それぞれ詳しくご説明しましょう。
1.照射距離
ヘッドライトの種類はLEDの性能により分類されます。LEDの性能のひとつが照射距離です。
照射距離の定義には各社差がありますが、おおむね「満月の夜の月明かりと同程度(正確には0.25ルクス)以上に照らせる距離」を目安としています。
照射距離によりヘッドライトは大きく3つの種類に分類されます。
- 近距離を広く照らすもの(テント場での調理や山小屋内)
- より遠くまで照らせるもの(夜間活動用)
- 遠近両用のもの
近距離用:室内やテント場利用
近距離用モデルは小型LEDを搭載し、広い範囲をやわらかい光で均一に照らせるのが特徴です。そのため、テント内での読書や調理、山小屋内での利用に適しています。消費電力が少なく、バッテリーが長持ちするのも利点です。
遠距離用:夜間活動用
遠距離用モデルには大型LEDが搭載されており、スポットライトのように遠くまで照らせることが特徴です。そのため、ナイトハイクや夜明け前の行動など、夜間活動に適しています。近距離用に比べて光量が増えるため、バッテリー寿命が短くなる傾向があります。購入前に点灯時間を確認しておきましょう。
遠近両用
遠近両用は、大小のLEDと複数の照射モードを搭載し、用途に応じて使い分けができるタイプです。以前は本体も大きく高価でしたが、近年は小型軽量化が進み、遠近両用タイプの製品も増えてきました。
2.明るさの単位「ルーメン」とは
LEDのもうひとつの性能、明るさにも注目しましょう。ヘッドライトの明るさは「ルーメン:lm」で表記されています。
ルーメンとは「1カンデラの点光源から立体角1ステラジアン内に発せられる光束」のことですが、ようするに光の量の単位であり、数値が大きいほど明るくなります。
ヘッドライト市場には20ルーメンから1000ルーメンを超えるものまでありますが、テント場や山小屋内での使用には50ルーメン程度あれば十分です。夜間行動には、100ルーメン以上欲しいところ。明るければ明るいほど快適です。
3.バッテリー性能
バッテリー性能もヘッドライトライト選びの大切な要素です。より長時間使用できるほうが望ましいですが、カタログ数値には注意が必要。
今回ご紹介するジェントスは、点灯時間のカタログ数値が「ハイモード:高出力時」のものですが、メーカーによっては低出力時の最大点灯時間を表示している場合もあります。(特にネット通販など注意)
購入前には、どの照射モードでどのぐらいの時間使用できるかを確認しておきましょう。
さて、以前はヘッドライトのバッテリーは乾電池が主流でしたが、リチウムイオンバッテリーの進化によりヘッドライトも充電式のモデルが主流になりつつあります。
乾電池式のメリットは、単三または単四乾電池を使用し、山小屋でもどこでも入手しやすい点が挙げられます。充電の手間もありません。そのかわり、電池の残量がわかりにくく、使い捨てのため経済的にもよくありません。
一方、充電式のメリットは、乾電池式より経済的でモバイルバッテリーからも充電できることです。今やアウトドアの必須装備となったスマートフォンと電源を共有でき、荷物の削減にも役立ちます。充電が切れた時のために乾電池も使用できる、ハイブリッドモデルも存在します。
乾電池式、充電池式のどちらを選ぶかは、使用目的や予備バッテリーとの相談ですが、これから新しくヘッドライトを選ぶ場合は、汎用性の高いハイブリッドモデルをおすすめします。
4.防水性能
アウトドアでの使用が前提である以上、ヘッドライトに防水性能は必須です。ヘッドライトの防水性能はIEC(国際電気標準会議)やJIS(日本工業規格)により規定された防水等級に準じ、最低でも『IP X4』以上の性能が必要です。
IP X4は、「いかなる方向からの水の飛沫(ひまつ)によっても悪影響を受けない」とされています。防水等級は以下のように規定され、IP X6以上が完全防水です。
- IP X5 いかなる方向からの水の直接噴射による悪影響を受けない
- IP X6 いかなる方向からの水の強い直接噴射による悪影響を受けない
- IP X7 規定の圧力、時間、水中に浸しても浸水しない
- IP X8 水面下での使用が可能
ちなみに、IP Xの「X」にも数字が当てはめられ「IP 64」などと表記される場合もあります。この場合、6の数字は「防塵等級」を表しており、6は完全な防塵構造であることを示します。
ヘッドライトのカタログやパッケージには防水等級が記載されていますから、必ず確認しておきましょう。
ジェントスの目的別おすすめヘッドランプ
ジェントスのおすすめヘッドライトを、目的別にご紹介します。
キャンプ地や山小屋内での使用
NR-003S
使用電池:単4形アルカリ電池×2本
点灯時間(約):7時間(チップタイプLED)/ 6時間(COB LED)/ 3時間(全点灯)
照射距離(約):54m(最大時)
保護等級:耐塵・防滴仕様(IP64準拠)
面発光LEDを搭載し、広範囲を照射するモデルです。通常のLEDは、光源の数だけ影が発生する多重影が発生します。しかし、面発光LEDは多重影を抑え、照射範囲を均等に照らせるのが特徴です。点灯時間がやや短めのため、予備電池を用意しましょう。
CP-095D
使用電池:単3形アルカリ電池×1本
点灯時間(約):7.5時間(Highモード)/ 20時間(Ecoモード)/ 65時間(RED LEDモード)
照射距離(約):55m(最大時)
保護等級:耐塵・防滴仕様(IP64準拠)
電池重量を含めた重量が65gと、軽量・コンパクトなヘッドライトです。赤色のサブLEDを搭載し、メインLEDでは眩しすぎる場面(例えば消灯時間後の山小屋やテント場など)に便利です。
VA-04D
使用電池:単4形アルカリ電池×2本
点灯時間(約):3.5時間(Highモード)/ 10時間(Midモード)/ 35時間(Ecoモード)/ 74時間(サブ暖色LED)
照射距離(約):62m(最大時)
オーバルビームレンズを採用し、広範囲照射を可能にしたモデルです。暖色のサブLEDを搭載することで、メインLEDほどの光量が必要ない場面にも便利です。また、スイッチロック機構を備え、バックパックの中での誤点灯も防げます。
ナイトハイク、早朝・夜間活動など
GH-001RG
使用電池:専用リチウムポリマー充電池 3.8V 1,900mAh または 単4形アルカリ電池×4本
点灯時間(約):【ヘッド部】6時間(Highモード)/ 13時間(Midモード)/ 54時間(Ecoモード)、【後部認識灯】190時間(点灯)/ 190時間(点滅)
照射距離(約):78m(最大時)
保護等級:耐塵・耐水仕様(IP66準拠)
重さ:145g
Gシリーズはジェントスのフラッグシップシリーズです。品質への自信の証に、Gシリーズには「5年間保証」が設けられています。
フォーカスコントロール機能を搭載し、照射範囲を場面に応じて変更でき、また、充電池と乾電池のハイブリッド使用により用途を選びません。アウトドア用としては145gとやや重量がありますが、それに見合った性能を有するモデルです。
GH-002DG
使用電池:単4形アルカリ電池×4本
点灯時間(約):【ヘッド部】4時間(Highモード)/ 9時間(Midモード)/ 45時間(Ecoモード)、【後部認識灯】130時間(点灯)/ 130時間(点滅)
照射距離(約):119m(最大時)
保護等級:耐塵・耐水仕様(IP66準拠)
広範囲を照らせるワイドビーム特性を備えながら、最大照射距離は119mを誇ります。明るさと照射範囲、距離、点灯時間のバランスの取れたモデルです。
GD-200R
使用電池:専用リチウムポリマー充電池 3.7V 1,000mAh
点灯時間(約):7.5時間(メインライト点灯)/ 11時間(エリアライト点灯)/ 5時間(全ライト点灯)
照射距離(約):84m(最大時)
保護等級:耐塵・耐水仕様(IP66準拠)
遠距離用のメインライトと、近距離用のエリアライトを搭載した遠近両用モデルです。複数の点灯モードを備え、これひとつで幅広い用途に活用できます。
コラム:日帰り予定でもヘッドライトが必要な理由
突然、右足の膝に鋭い痛みが走りました。
トレイルランニングで六甲山系の摩耶山を超えたあたりのことです。前に進もうと蹴り出した右足が痛みで言うことを聞かず、思わず体がよろめきます。
一体何が起きたのか筆者にも分かりませんが、このまま走り続けることができなくなったのは、間違いなさそうです。
その様子に気がついた仲間が駆け寄ってきました。
「どうした、大丈夫か!?」
「わかりません……。ただ、膝をやってしまったようです」
想定外の事故や怪我に遭うことがある
山を趣味にしていると、何年かに一度、冷や汗をかくことがあります。ジムニーで雪の林道を走行中にスタックさせて、途方に暮れたこともありました。トレイルランニング中の怪我が原因で、行動予定が大幅に遅れたこともあります。もしヘッドライトがなかったらと考えると――。
それは、ランニングサークルのメンバーと「六甲縦走キャノンボールラン」の試走に六甲山を訪れていた時のことです。
関西のトレイルランナーにとって「六甲縦走キャノンボールラン」ほどなじみの深い草レースはないでしょう。日本三百名山のひとつ、兵庫県の六甲山で開催されるそのレースは、西は瀬戸内海に面した須磨から始まり、東は歌劇で知られる宝塚へと続く、六甲全山縦走路で開催されます。
早朝に須磨を出発し、日が暮れる前には宝塚駅に到着する。交渉56kmに及ぶ道のりですが、参加メンバーの走力を考慮すれば無理のある計画ではありません。予定通りに進めばヘッドライトは必要ありませんが、それでも万が一に備えて装備に加えておいたことに救われました。
自力で下山できなくなった時点で遭難
足を故障し、メンバーと別れ、痛み止めを服用し、ベンチで応急処置を施しながら考えました。
「さて、どう下山したものか」
自力で下山できなくなった時点で遭難です。それだけは避けなければなりません。
真っ先に思いついたのはロープウェイの利用。
しかしその日に限って大勢の観光客が訪れており、ロープウェイの改札口には、さながら新型iPhone発売日のアップルストアのような長蛇の列ができあがっていました。時間は午後3時をまわり、日の入り時間が刻々と迫ります。
「いつロープウェイに乗れるか分からない。ゆっくり歩いて降りよう」
幸いしたのは、筆者が摩耶山周辺に数百回は訪れており、最短下山ルートを把握していたことと、応急手当のキットを持参していたこと。それに、ヘッドライトと予備の電池も備えていたことです。
秋の日の入り時刻は早く、木々に覆われた山中は急速に暗闇に包まれます。真っ暗闇の山中ほど薄気味悪く、怖いものはないかもしれません。
その時はまだ日が落ちきる前でしたが、ヘッドライトを装着し、いつでも点灯できるよう準備しました。落ちていた枯れ木を杖がわりに使いながらようやく下山したころには、すでに神戸の街のネオンがともり始めていました。
事前の準備を怠らない
まずこのような状況に陥ってはいけません。そうならないために、事前の準備を怠らないことが大切です。しかし、アウトドアでは不意のトラブルに合うことは珍しいことではありません。その為の備えのひとつがヘッドライトなのです。
マウンテンシティーではジェントスのアイテムを強化買取中です!
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