ヒマラヤ山脈の高峰への初登頂が目指された時代。バックパック開発に、いち早く人間工学を取り入れたメーカーがありました。
それは、イギリスを代表するアウトドアブランド『カリマー(karrimor)』です。
カリマーは誕生以来、優れた機能を創出し、バックパックの基礎を築いた人気メーカーです。
この記事では、カリマーのバックパックをお探しの人のために、人気製品を容量や目的に合わせてピックアップしました。用途に応じた「適切な容量の選び方」についても解説していますので、ぜひバックパック選びの参考にしてください。
カリマー(karrimor)とは
カリマーは、イギリスのアウトドア用バックパック・アパレルを製造・販売するメーカーです。1946年、イギリス北西部のランカシャーで誕生しました。
当時、創業者のチャールズ・パーソンとメアリー・パーソン夫妻は、自転車用のバッグ製作を手がけていました。その品質はクライマーにも注目され、1957年に登山用バックパックの分野へ進出します。ちなみに、社名のkarrimorは、「carry more(もっと運べ)」を掛け合わせて誕生しました。
カリマーのバックパックは、体にフィットすること、荷重を分散すること、実用に徹することをモットーに、登山用バックパックを革新していきます。
カリマーが誕生した時代は、ヒマラヤ山脈の高峰群の初登頂や、困難なルートへの初登攀が目指されていました。
その時代に、創業者の息子「マイク・パーソン」は、ランカシャー大学の研究室と交流しながら、人間工学に基づいたバックシステム(ショルダーハーネス、ヒップベルト、フレームなど)の設計に、いちはやく取り組んだのです。
マイクは今日のバックパックの標準となる機能を創出していきました。
カリマー(Karrimor)は時代が求める数々の名品を生み出した
1974年に、荷重を肩だけでなく腰に分散する大型ヒップベルトを装備した『ジャガー』を発表し、83年にはジャガーをアップデートし、『セルフアジャストシステム』を搭載しました。セルフアジャストシステムは、現在の大型バックパックに搭載される、背面長の調整機能の先駆けです。
カリマーは、現在の登山用バックパックを設計する上で大切な土台を築き上げました。登山用バックパックの基礎は30年以上前に築かれ、カリマーはその先駆者なのです。
参考:ワンダーフォーゲル2016年6月号
初心者はどの容量を選べばいい?
これからバックパックを選ぶ人にとって、最大の問題は「どのくらいの容量を選ぶべきか」ということでしょう。すなわち、どれだけの荷物を収納できるかです。そこで、タウンユースやアウトドア用途の目安となる容量と考え方をまとめました。
<タウンユース>
- 20L前後のモデルがおすすめ
- PCやタブレットなどのガジェット類、A4サイズの書類などを無理なく収納できる
<アウトドアユース>
- 30Lクラスのバックパックがひとつあれば便利
- 日帰りハイキングから2~3泊の小屋利用登山まで幅広く利用できる
- 日帰り用途のみなら20L
以下に詳しくご紹介します。
タウン(通勤・通学)ユース:15~20L
通勤・通学に日々必要なのは概ね以下の持ち物でしょう。
- PC
- スマホ・タブレット
- モバイルバッテリー
- Bluetoothイヤホン
- A4書類
- 参考書
- 筆記用具
- 電子辞書
- 貴重品など
タウンユースに必要なバックパックの条件は、これらの小物を整理して収納できることです。特に、PCやガジェット類の収納スペースは必須といえるでしょう。
これらを無理なく収納できる容量は、15L~20L程度です。出張では25L程度のバックパックが使いやすいかもしれません。
ちなみに、筆者は25Lのバックパックを3泊程度の海外旅行に使用しており、工夫すれば1週間以内の旅行も、このクラスで対応可能です。
日帰りハイキング:20L
日帰りハイキングに必要な装備をあげてみましょう。
- レインウエア
- 防寒着
- 飲食料品
- ヘッドランプ
- ナビゲーションツール(GPSや地図など)
- 救急用品
- 貴重品
- 着替え、風呂セット
これらの装備をバランスよく収納するには、20L程度のバックパックが適しているでしょう。それより少ない容量では、秋冬の防寒着やお風呂セットの収納が厳しい印象です。より荷物を厳選しなければならないので、10L~15Lのバックパックは経験者向けといえます。
ただし、登山初心者でも「ゆくゆくは高山を目指したい」「小屋泊まり登山を楽しみたい」といった目標があれば、30L以上のバックパックをおすすめします。
山小屋利用登山:30L~
山小屋利用の登山では、日帰り装備に加えてより沢山の装備が必要になります。具体的には、日数分の飲食料に加え、着替えや本格的な防寒着が必要になります。
それらの装備は、30L程度のバックパックが収納しやすいでしょう。また、30Lクラスのバックパックは日帰り用途でも大きすぎることがなく、幅広く利用できる容量です。初心者が最初に選ぶバックパックは、30L程度の容量がおすすめです。
テント泊登山:50L~
登山の上級編であるテント泊は、日帰り装備に加えてテント、シュラフ、マット、クッカーなどの重装備が必要となります。そのため、50L以上の大型バックパックが必要になります。
大型バックパックには、15~20kg程度の荷物を快適に背負える機能が盛り込まれています。フィッティングを調整する「背面の調節機能」もそのひとつです。
では、「ゆくゆくはテント泊登山を楽しみたい人」は、初めから大型バックパックを購入すべきでしょうか? 実は、容量が大きければ万能に使えるかというと、そうとも言えないのです。
大は小を兼ねるとは限らない
『大は小を兼ねる』と言われますが、バックパック選びにこの言葉は当てはまりません。用途にそぐわない大きすぎるバックパックは、非常に使いにくいものです。
例えば、パッキングの基本は重心を背中の上部に置くことです。ですが、バックパックの容量より荷物が少なすぎると荷物が下部に偏ってしまい、バランスが悪くなります。
当然のことながら容量が増えればバックパックの重量も増し、日帰りハイキングの装備(約4~5kg)に対して、本体重量2kgのバックパックは重たすぎるでしょう。容量が大きいと、余計な荷物まで詰め込みがちです。
とはいえ、すでに述べた通り小さすぎるバックパックは荷物を厳選する必要があり、経験が必要になります。自身の用途に応じた、適切な容量を選ぶことが大切なのです。
カリマーのおすすめバックパック12選
カリマーのおすすめバックパックを、容量と目的別にご紹介します。
20リットル
sector18(セクター18)
女性におすすめの小型バックパックです。安定性のよいフォルムや通気性のよい背面パネルを備え、ハイキングからタウンユースまで活躍します。
utility20(ユーティリティー20)
アウトドアフィールドからタウンユースまで幅広く使えるバックパックです。広い開口部により、書類やウエア類の出し入れが用意できるのが特徴です。
25リットル:日帰りハイキング
sector25(セクター25)
利便性の高い2気室仕様のバックパックです。安定性のよいフォルムも相まって、パッキングの苦手な人でも荷物をバランス良く収納できるでしょう。日帰りのアウトドア用途におすすめです。
eclipse27(イクリプス27)
PCスリーブを配し、A4種類の出し入れが容易な広い開口部を備え、タウンユースにもおすすめのモデルです。日帰りハイキングや、旅行、出張にも活躍することでしょう。
30リットル:日帰り~小屋利用登山
ridge30(リッジ30)
カリマーの定番中型バックパックです。ポールキャリア、ハイドレーション対応、レインカバーなどを備え、さまざまな登山スタイルに対応できるでしょう。初めてアウトドア用バックパックを選ぶなら、こちらの用途がおすすめです。
ultimate35(アルティメイト35)
アルパインクライミングも視野に入れた、クライミング用のバックパックです。アイスアックスホルダーやギアラックを備え、クライミングに必要な機能や背負い心地を追求しています。
40リットル:小屋利用登山
ridge40(リッジ40)
リッジ30と同じく、幅広い登山スタイルに対応できるバックパックです。山小屋利用の登山におすすめです。
cougar45-60(クーガー45-60)
テント泊登山や縦走登山に対応した大型バックパックです。背面に「サイズアジャストシステム」を備え、フィッティングで大切な背面長を無段階で調整できます。
ビジネス
tribute(トリビュート)
15インチのPCまで対応できるPCスリーブを設けたモデルです。25Lモデルは通勤や通学、出張などに。40Lは長期の旅行におすすめのモデルです。
キッズ
step12(ステップ12)
キッズ用モデルですが、搭載されている機能は大人用モデルに引けを取りません。小柄な女性にもおすすめです。ちょっとしたハイキングやお出かけに便利なバックパックです。
cadet20(カデット20)
キッズや女性におすすめのモデルです。小型モデルながら、アウトドアに便利な機能を取り入れた実用的なモデルです。
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