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「登山してみたいな~」と思いつつ、週末はネットサーフィンしながら家でゴロゴロ・・・。そんなときは、強制的に「勢い」をつけましょう!私自身が実際に読んで選んだ、「読んだら絶対山に行きたくなる」漫画や本を集めてみました。
映画化もされた話題漫画『岳/石塚真一』
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『岳』は、ボランティアの山岳救助隊員である「三歩」を主人公とした漫画です。経験豊富な救助員である三歩が、様々な事情を抱えて山に登る人々と出会い、救う物語がメインストーリーとなっています。
山岳救助隊という普段なかなかスポットが当てられない立場の人々について知ることができるのが本作の最大の魅力でしょう。また、山の美しさや登山の楽しさだけでなく、山の厳しい面もきっちり描いているのが好ポイント。そのため、少々ショッキングな絵面も登場しますし、人によってはバッドエンディングと取れる物語でもあるかもしれません。
それでも、読み終えたときには「山に行きたい!」という気持ちにあふれているのに気づくはず。山岳文学(漫画含む)の入門としてもうってつけです。
圧倒的な画力で描く『孤高の人/坂本眞一』
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新田次郎の小説『孤高の人』が原作の漫画です。主人公である森 文太郎は、小説の加藤文太郎がモデルと言われています。
過去のある事件から他人に対して心を閉ざしていた文太郎が、転校先の高校でルートクライミングに触れたことで人生が変わり始める・・・これだけ聞くと青春漫画かなと思うところですが、そうはいかないのがこの漫画の面白いところ。
山が好きすぎて変人レベルの登場人物たちとその壮絶な物語が、漫画家・坂本眞一の圧倒的画力で描かれます。正直に言って、物語はところどころ破たんしており、しかも伏線は回収されないまま終わります。が、そんな細かいことはどうでもいいんだよ!と思わせるほどの力強さがこの漫画にはあるのです!
読み終わった後、『孤高の人』の世界観から抜け出せずに苦労するというのはよく聞く話。衝撃的なストーリー展開と主人公の人生は、山岳物語という枠組みを超えて読者に影響を与え続けています。
日本山岳小説の最高峰『神々の山嶺/夢枕獏』
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漫画化、映画化もされている山岳小説の最高峰ともいえる『神々の山嶺』も外せません。漫画と映画にもそれぞれ良さがありますが、まずは小説を読んでいただきたいのが本作です。
登山家の羽生丈二が、未踏の地であるエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑戦する姿を描く本作。『孤高の人』同様、山に魅せられてしまった人々の生死を賭けたぎりぎりの挑戦は、読んでいて息もできないほどの苦しさと緊張感です。山の美しさや厳しさと、世俗の汚さや矮小さのコントラストも魅力の一つ。読み始めると最後、読み終わるまで本を置けない「徹夜小説」と呼ばれているのも納得です。
主人公の羽生は、実在した登山家・森田勝をモデルにしていると言われており、彼にフォーカスした「狼は帰らず―アルピニスト・森田勝の生と死」も同じくおすすめです。山に登らなければ生きていけない人々を通して、見たことのない世界を一緒に見ることができる、そんな気持ちにさせられます。
エベレスト登頂の裏が分かる『空へ/J・クラカワー』
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次は日本を超えて、全米ベストセラーになった本をご紹介します。『空へ』は、1995年に日本人女性含むエベレストでの大量遭難事故に居合わせたJ・クラカワーのノンフィクションです。J・クラカワーといえば、『イン・トゥ・ザ・ワイルド』という映画の原作である『荒野へ』のほうがなじみ深いかもしれません。
本書が数多ある山岳小説やノンフィクションと一線を画す理由は、ジャーナリストでもあるクラカワーによる極めて冷静かつ詳細な語り口でしょう。
遭難の直接的な原因は天候の急激な悪化であるものの、公募登山隊システムの経済的・政治的問題や映画撮影等のために登頂していたチームなどによる渋滞など、複数の要因が複雑に絡み合っていることが分かってくるのも本書の読みどころのひとつ。
ありがちな「根性系」山岳文学とは違い、山に登るという行為を多角的に見るきっかけを与えてくれること間違いなしです。
初心者でも上級者でも|入門的定番登山雑誌
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最後に、実用的な書籍として2つの雑誌をご紹介しましょう。山に関する雑誌は、登山ブームや山ガールブームの影響を受け飛躍的に増えてきています。
まずは山と渓谷社が発行している「山と渓谷」です。初心者から上級者まで、だれが読んでも楽しめる堅実な紙面づくりが魅力です。月刊誌ならではの季節感のある特集は毎回読み応え十分で、定期購読する読者を後悔させません。写真の美しさにも定評があり、雑誌を読んでいるだけで「現地に行って実物を見に行きたいな」という気持ちが湧いてきます。
二つ目にご紹介するのが「PEAKS」です。もともとはフリーマガジンの「フィールドライフ」から派生しており、初心者でも読みやすい間口の広さに、雑誌としての実用的な側面が盛り込まれたバランスの良さが売りでしょう。山ガール、野外フェス、富士登山などの山ブームが到来した2009年に創刊した「PEAKS」は、「山と渓谷」に比べるとライトな読み応えと言えます。
いかがでしたか?全部読み終えたときには、山に行きたくてたまらなくなっているはず!勢いそのままに、ぜひ登山デビューしてみてください。何も知らないで登山するより、読み終えた後の登山のほうがきっと感慨深いですよ。
もちろん、事前準備は怠らず!山をなめてはいけないことは、紹介した本を読めば分かりすぎるほど分かっているはずですが・・・。あなたも山に魅せられて、物語の主人公になっちゃうかも?