山林相続の手続きとは?よくある問題点や相続税評価などを初心者向けに解説

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山林を所有している父母が亡くなると、子供や相続人が山林を相続することになります。

家屋敷の相続手続きも難しそうな印象があるのに、山林相続となるとますます「相続手続きが難しそう」「どのような手続きをしていいのかわからない」と困ってしまうのではないでしょうか。

この記事では山林相続の手続きを初心者でもわかりやすく解説します。「まず何をすればいい?」と困っている山林相続人はぜひ参考にしてください。

山林相続の手続きの他に山林の相続税評価や相続でよくある問題点など知っておきたいポイントをまとめて説明します。

山林相続の手続き方法は登記・届出・相続税の3つ

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山林を相続したときにしなければならない手続きは次の3つです。

  • 法務局での山林相続登記
  • 自治体への山林相続の届出
  • 相続税の申告と支払い

相続は突然ですから、いきなり山林相続をして戸惑うこともあるはずです。

わからないことがあれば一人で解決しようとせず、登記のことは司法書士や法務局の窓口、山林相続の届出については自治体の担当窓口に問い合わせをしましょう。難しいと感じたら専門家や窓口に相談することがポイントです。

中には期間が定められている手続きもあります。山林相続手続きの際は手続き期間にも注意してください。

山林相続の登記は法務局でする

山林相続の際は法務局で相続登記の手続きをします。

相続登記とは、山林などの不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する手続きです。

山林相続登記を含め、相続手続きには期限がありません。

ただ相続登記により相続人に名義変更しておかないと、不動産を売却できなかったり、次の相続人が相続手続きの際に苦労したりするデメリットがあります。相続後は忘れないうちに手続きをしましょう。

山林相続で必要な書類と税金

山林相続の登記には、以下のような書類が必要になります。

  • 山林相続登記の申請書(相続による名義変更の申請書)
  • 被相続人の戸籍謄本および住民票の除票
  • 相続人の戸籍謄本、山林相続人の住民票
  • 固定資産税評価証明書
  • 遺言書や遺産分割協議書

相続ケースにより必要書類が変わる可能性があるため、十分に注意してください。

必要書類や山林相続登記の手続きがわからない場合は、司法書士に代理してもらうことも可能です。司法書士に依頼すれば必要な書類なども集めてもらえます。

また山林相続登記のときは、登録免許税という税金を払わなければいけません。

登録免許税とは登記の手数料のようなものです。山林相続登記の際にかかる登録免許税は固定資産税評価額の0.4%になります。登録免許税は印紙などで納める流れです。

自治体の窓口に山林相続の届出をする

平成24年4月以降に森林相続した場合は市町村長に相続した旨を届出しなければいけません。

自治体の担当窓口に届出しなければならないのは、地域森林計画の対象になっている山林を相続したケースです。対象になる山林かどうかは自治体の担当窓口に確認してください。

必要書類を自治体の担当窓口に提出すれば、市町村長への届出は完了します。届出に使う書式は林野庁(りんやちょう)のホームページなどからダウンロード可能です。

また山林相続の届出は相続発生後90日以内という期限が定められていますので、期限に十分注意してください。遺産分割協議などが終了していなくても、相続人の共有というかたちで届出をする必要があります。

届出をしないケースや虚偽の届出をしたケースは10万円以下の過料に処される可能性があるため、重ねて注意が必要です。

自治体へ山林相続を届け出る際の必要書類

山林相続を自治体に届出する際の必要書類は以下の通りです。

  • 山林相続の届出書
  • 山林の位置を示す地図
  • 登記事項証明書や遺産分割協議書

山林相続の登記が終わっていなければ、登記事項証明書は添付できません。

相続手続きがどの程度進んでいるかによっても必要書類が変わってくるため、山林相続の届出をする際はまず自治体の担当窓口に手続きや必要なものを確認しておくと良いでしょう。その方が手続きに無駄がありません。

税務署に山林相続の相続税申告をする

相続があれば必ず相続税を課税されるわけではありません。税務署「平成30年分の相続税の申告状況について」によると、相続税の課税割合は6.7%になっています。

大多数の相続ケースでは、相続税の課税・申告・支払いは必要ないということです。相続税の支払いが必要ない場合は相続税申告の手続きも不要になります。

しかし相続税の支払いが必要になるかどうかは、相続した山林以外の要素も関わってくるのです。例えば預金や有価証券(株式など)、不動産、動産といった他の遺産も計算してみなければ分かりません。

税金の専門家は税理士なので、細かい部分に関しては税理士に相談してアドバイスを受けると安心です。相続税が課税されそうなケースや課税されるだろうとわかっているケース、税金のことがよくわからず不安な場合はすぐに相談しましょう。

税理士に相続税の課税の有無を判断してもらい、仮に課税されるのであれば相続税申告を進めるという流れになります。

※相続税の手続きは「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」という期限があるので注意してください。

そして期限内に相続税の支払いに充てる資金や提出すべき書類の準備を整え、税務署で手続きをする必要があります。

山林相続の相続税評価は山林の種類によって違う

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相続税の計算をするときは、相続した財産に合わせて評価(価値を金銭に引き直し)します。そのうえで計算方法に従い、税金の額を算出する流れです。

想像してみてください。100万円という預金や現金は、相続税評価するまでもなく「100万円」です。

しかし絵画などの美術品や宝飾品、不動産はどうでしょう。財産それぞれに誰もが納得する価値の値札はついていません。また不動産の中でも、人の手で作られた建築物は経年と共に劣化します。要するに価値が落ちる傾向にあるわけです。

現金や預金のように価値がわかる財物以外は、相続時にどれだけの価値を持っているか金銭評価(相続税評価)が必要です。そのうえで税金の計算に使うという流れになります。これは山林相続でも同じです。

山林相続では山林を3つの種類に分けて評価する

山林相続では山林を3つの種類にわけて、山林の種類ごとに違った方法で相続税評価をします。

  • 純山林
  • 市街地山林
  • 中間山林

純山林は宅地から離れたところにある山林です。相続税評価においては周囲の宅地の影響を受けません。

市街地山林は市街地にある山林で、相続税評価も市街地・宅地の影響を受けます。純山林とは違った相続税評価をするわけです。

そして中間山林は、純山林と市街地山林の中間を指します。市街地ではないものの、評価は純山林よりも高いです。

山林相続では、どの種類の山林を相続したかによって相続税評価がかなり違ってきます

相続税評価や相続税の算出には極めて専門的な知識を要するため、税理士に相談することをおすすめします。

山林相続で相続人によくある問題点やお悩み

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いざ山林を相続してみると、相続人が山林の扱いに困るケースがあります。中には相続手続き中に、山林相続人が困るような問題点が発見されるケースもあるのです。

山林相続後、そして山林相続手続き中によくある相続人の問題点やお悩みについても知っておきましょう。この項目では山林相続人が抱えがちなお悩みや問題点を説明し、それぞれの対処法についても説明します。

山林相続したが相続人が山林を売却できず困る

山林を相続しても所有することに負担を感じるケースがあります。

例えば山林のような不動産を所有している限り、固定資産税は払わなければいけません。山林の管理にも費用や労力がかかりますから、相続人の中には山林相続後に「山林を売却したい(手放したい)」と思う人もいるかもしれません。

相続した山林の売却は可能です。具体的には、次のような方法で売却できます。

  • 地元の人や周囲の山林所有者に売却する
  • 山林を扱う不動産会社に相談して売却する
  • 山林組合に売却について相談する
  • 山林バンクやネットの山林売買サイトなどを活用する
  • 自治体に相談して山林を引き取ってもらう
  • 山林の運用を検討している人に売却する

このように山林相続後の売却方法はいろいろあります。

ただ山林相続後の売却方法自体はいろいろあっても、実際に山林を売却できるかどうかは別問題です。

山林を売却しようと手を尽くしてもなかなか売却が成立しなかったり、買主が見つからなかったりするケースがあります。なぜなら山林売買は、一般的な宅地と比較して次のような事情を抱えているからです。

  • 山林を買っても管理が大変
  • 運用が難しい
  • 土地の境界線が曖昧である

山林は市街地の宅地と異なり、運用できる人や管理できる人がある程度決まってきます。そのため売却しようとしても買主がなかなか見つからないことや、販路が見つからないことがあるのです。また山林の問題点として、境界線が曖昧という点があります。

未登記や所有者不明といった問題もあり、山林は不動産として扱いが難しいケースも少なくありません。売却したいときは山林に知見のある組合の窓口や会社などを頼るといいでしょう。

山林相続したが維持管理が大変で困っている

相続してみたものの、山林は想像以上に維持管理が難しく相続人が困ってしまうケースがあります。

山林は宅地のように開けた場所にないケースもあるため、手入れをするのも一苦労です。また山や木の管理方法を知らないために、山林相続をしても「何をすればいいのか分からない」というケースもあります。山林相続後に山林の管理で困ってしまったらどうすればいいのでしょうか。

ひとつは山林の管理について相談する方法があります。

それぞれの地域には森林組合(林業をしている人たちの組合)がありますので、わからないことや困ったことがあれば、まずは森林組合に相談するといいでしょう。

この他に、山林の管理や経営をしてくれる会社もあります。自分で山林相続後の管理が難しければ、山林管理・経営会社にお願いするという方法も考えてみてはいかがでしょう。

山林相続したが活用方法が難しい!どのような方法があるのか

山林相続の後に「せっかく相続したのだから山林を活用しよう」と思っても、山林を初めて運用する人は難しさを感じてしまうようです。

中には宅地や市街からも近く、運用しやすい山林もあります。しかし多くの山林は人里離れたところにあるため、相続人が山林を有効活用しようとしても運用・活用の方法で迷ってしまうのです。

山林相続後の山林運用や活用には、次のような方法があります。

  • 山菜やキノコなどを栽培する
  • ソーラー発電の設備を設置する
  • キャンプ場やゴルフ場といった施設にする

山林の運用や活用にはキャンプ場の運営や山菜の栽培が当てはまる一方で、他の知識も必要になります。現状、山林の運用や活用をさらに難しくしているのが「他の知識やノウハウを必要とする」という点です。

そして山林の活用方法には、山林の材木を使う方法もあります。具体的には山林の材木を伐採し、売却する方法です。この場合も材木を搬出する際にかかる費用面の知識や材木伐採・売却のノウハウも必要になるため、新しく始めるには難しさがあります。材木を育てるため山林の整備・管理も必要になることでしょう。

本気で山林の運用や活用を考えるなら、組合や山林の管理・経営を代行している会社や業者に相談してみてはいかがでしょう。

山林相続したが登記されていなかった

山林を相続しても、前の相続人が山林の相続登記をしていないケースもあります。いざ山林相続登記をしようとすると、名義が先々代やさらに昔の親族(先祖)の名前になっているのです。

もし山林を相続しても山林を売却する必要がなければ、特にお金をかけて山林相続登記をしなくても良いケースがあります。家屋敷の相続手続きを優先し、相続費用を節約するため山林の相続手続きを放置しているケースもあるのです。

実は相続登記を放置している場合、いきなり現在の相続人へと名義を変更することは難しいと言われています。なぜなら山林相続を含め相続登記は、基本的に相続した順(名義が移った順)に登記しなければならないからです(一部例外もあります)。

そのため山林相続の際に山林の名義が祖父や曾祖父など先祖の名前になっていると、まずは相続人を探しそれぞれの相続人の同意を取り付けることになります。非常に困難な作業です。

山林相続の際に名義が被相続人ではなく先祖、あるいは別人になっていたら、まずは司法書士に相談してください。通常の山林相続より相続関係や手続きが難しくなりますので、ミスがないように専門家へお願いすることをおすすめします。

なお自分が相続したときに「面倒だから山林相続登記は放置しよう」と手続きをしない場合、次の相続人がさらに苦労するでしょう。手続き費用もより多くなる傾向にあるため、山林相続登記は相続ごと忘れずに済ませることが重要です。

山林相続したくないときは相続放棄も使える

山林相続したくない。山林を相続しても管理できない。このような事情がある場合は、裁判所の「相続放棄」という手続きを検討してはいかがでしょう。

相続放棄とは「遺産をすべて相続しない」手続きです。被相続人の借金が多く、負債の相続を回避したいケースによく使われます。

この相続放棄が認められると最初から相続人ではなかったことになりますから、プラスもマイナスも合わせて遺産の一切を相続することはありません。もちろん山林も相続せずに済みます。

ただ相続放棄をする際は注意が必要です。

一切を相続しないということは、被相続人の預金や有価証券、利用価値の高い不動産も相続できなくなります。都合よく山林だけ相続放棄することはできませんので注意してください。

山林相続の手続きまとめ

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山林を相続するときの手続きは名義変更の登記自治体への届出相続税の課税がある場合は相続税申告と支払いが必要です。

相続税と自治体への届出には期限がありますので、忘れないように注意してください。

また山林相続の手続きをしても、山林を所持する限り管理の負担が生じます。

山林相続の際は「相続後に山林をどうするか」まで考え、売却なら山林を扱う不動産会社などに相談しましょう。活用なら山林運用・経営の会社や組合に相談し、早めに山林の今後のことを考えるのもポイントです。

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