目次
以前はサブバーナーとしての位置付けだったアルコールバーナーが、近年注目を浴びています。
軽量かつシンプルな操作性や、たき火のように揺らめく炎の雰囲気が人気で、アルコールバーナーの魅力が見直されました。
中でも、トランギアのアルコールバーナーはレトロで雰囲気のある外観からも注目している人は多いことでしょう。
ただし、気になる点は実用性です。アルコールバーナーは初心者でも扱いやすいのでしょうか?
ここでは、トランギアのアルコールバーナーについて知りたい人のために、アルコールバーナーの特徴や魅力を詳しくご紹介します。
trangia(トランギア)とは?
トランギア社は、スウェーデンのアウトドア用クッカーを生産する会社です。1925年、John E.Jonsson(ジョン・E・ジョンソン)によって設立されました。
当時は家庭用の調理器具を生産する会社でしたが、1930年代にキャンプ用品の需要が高まったため、これを機にキャンプ用調理器具の開発を主軸に据えます。
1951年にはストームクッカー(アルコールバーナー)の最初のプロトタイプが開発されました。ストームクッカーは改良を加えられつつも、ほとんど変わらぬデザインで、半世紀以上販売されているトランギアの主軸商品です。
現在では、スウェーデンはもちろん世界中に愛用者を獲得し、アウトドア市場の中でも有名ブランドとして認識されているのです。
アルコールバーナーはこんな人におすすめ!
結論からいえば、アルコールバーナーはアウトドア経験者向けのバーナーでしょう。なぜなら、火力が弱いうえ火力調整がほぼできず、熱を逃さない工夫が必要不可欠だからです。
そのため、冒頭で述べたようにアルコールバーナーは長らく予備バーナーとして位置付けされていました。
ただし、それらの欠点を補ってなお余りあるメリットである、軽量・コンパクトな点は見逃せません。
装備をなるべく軽くしたい人や本格的な調理をしない人、湯沸かしに徹する人に特におすすめできます。
主に低山〜森林限界(標高2500m)を超えないハイキング用途をはじめ、運べる荷物に制限のある自転車、バイクツーリングキャンプなどにもおすすめでしょう。
アルコールバーナーを選ぶ前に、あなたがどのような用途に使うのかを明確にしたいですね。詳細を次項から順にご説明しましょう。
アウトドア用バーナーの種類
アウトドアで使うバーナーにはどのような種類があるのでしょうか。
アルコールバーナー
アルコールバーナーは、アルコールを燃料とするバーナーでさまざまな形状、材質のものが存在します。火力は弱いものの、軽量、コンパクトである点が一番の特徴であり、チタン製のバーナーは重さ30g程度のものも存在します。
ガスバーナー
もっともオーソドックスなアウトドア用バーナーと言えるでしょう。家庭用カセットコンロと近い感覚で扱え、初心者でも容易に使えます。十分な火力かつ火力調整が効きやすいことから、さまざまな用途におすすめできます。
ガソリンバーナー
自動車用のガソリンや、精製されたホワイトガソリンを燃料にするバーナーです。点火前にプレヒートが必要などやや扱いが難しい反面、高火力で耐久性も高く、マイナス20度の極寒地帯でも安定して燃焼します。世界中で燃料が手に入るのもポイントですね。
固形燃料バーナー
エスビットに代表される固形燃料バーナーは、アルコールバーナー以上に軽量コンパクトであることが最大の特徴です。ただし、風に弱く火力も湯沸かしができる程度。他の燃料に比べてランニングコストがやや高いのも難点です。
アルコールバーナーを選ぶメリット
アウトドア用バーナーの主な種類は4つ。この中からアルコールバーナーを選ぶ理由を考えてみましょう。
軽量であること
最大のメリットは、ガスバーナーやガソリンバーナーと比べ軽量であることです。
例えば、ガスバーナーの代表的存在、プリムス153ウルトラバーナーの本体重量は116gですが、トランギアTR-B25アルコールバーナーは110gです。
「なんだ6gしか変わらないじゃないか!」
と思われたかもしれませんね。
確かに本体重量の差はわずかですが、ガスバーナーに不可欠なカートリッジの重量は約380g(250G缶)であり、ガスの残量が見えない分、予備の燃料を持っていくことが多いのです。
対して、燃料用アルコールは100mlあたり約80g。コーヒーやスープ一杯分の200mlのお湯を沸かすのに必要な燃料は約15mlです。
燃料を500mlも用意すれば、計算上では約6.6Lの湯沸かしが可能になります。
- 153ウルトラバーナー+250Gカートリッジ2本=約876g
- TR-B25アルコールバーナー+アルコール500ml=約510g
一回の食事に必要なお湯の量を400mlとすれば、6.6Lのお湯は、優に4~5日分の食事を賄える量です。
このように、湯沸かしなどシンプルな調理に徹し、燃料計算が的確にできるようになれば、軽量であるメリットを最大限に享受できるでしょう。
燃料の入手が簡単で安い!
さらに、同じく軽量コンパクトな固形燃料と比べてもランニングコストが格段に安い。
例えば、エスビット固形燃料スタンダードが80gで600円(税抜き)。燃料用アルコールは500mlが約300円程度で手に入ります。
200mlのお湯を沸かすのに必要な固形燃料は約5g。アルコール燃料は約15mlです。
- 固形燃料5g:約37.5円
- アルコール燃料15ml:約9円
しかも、燃料用アルコールは全国の薬局で手に入るのです。アウトドア用のガスカートリッジや固形燃料は、専門店でなければ手に入りにくいでしょう。
シンプルな構造で壊れにくい
他にも、構造がシンプルで故障リスクが極めて低いこともメリットの1つです。
ガスバーナーは着火装置の不具合が、ガソリンバーナーは燃料噴射ノズルの目詰まりなどが起こり得ます。万が一の落下も怖いですね。
それに比べて、アルコールストーブはアルミ缶から簡単に自作できるほど構造がシンプルで、そもそも壊れる要素がほとんどありません。
まとめると、
- 軽量なこと
- ランニングコストが安いこと
- 燃料が薬局で手に入ること
- 故障のリスクが低いこと
以上がアルコールストーブを選ぶ理由です。
アルコールバーナーの使いこなしにはコツがいる
アルコールバーナーには先述のようなメリットがありますが、やはりデメリットも存在します。
一番は火力が弱く、火力調整がほぼできないことでしょう。
そのため、ガスバーナーは400mlのお湯を3分で沸かせても、アルコールバーナーでは10分以上かかることも珍しくありません。
もともと弱い火力を生かすためには、風防やゴトク(クッカーを乗せる台)を工夫し、熱を逃さない仕組みを作ることが大切です。
アルコールバーナー本体はもちろん、それに適したクッカー、風防、ゴトクなど一式をシステムとして考えましょう。
そういった意味で、アルコールバーナーは経験者向けと言えます。
ただし、次項で紹介するストームクッカーは、アルコールバーナーの弱点を見事に解決したトランギアの銘品です。初心者にこそ使って欲しいですね。
初心者にもおすすめ!調理もできるトランギアのストームクッカー
先述のように、アルコールバーナーは基本的には経験者向けですが、システム化することで、デメリットをほぼ解決したのがトランギアのストームクッカーセットです。
ストームクッカーはバーナー本体に加え、ゴトク・風防・大小のソースパン・フライパンをセットしシステム化しました。
素材には熱伝導率が良いアルミを採用し、アルコールストーブの熱を逃がさない上に、ゴトクや風防はアルコールバーナーに最適化されています。
ゴトクの高さは、炎の熱量が高い位置に計算され、空気取り入れ穴から酸素が絶えず供給されることで、アルコールの燃焼効率をアップさせます。
アルコールバーナーの弱点は火力の弱さでしたが、ストームクッカーはシステム化することで弱点を克服しました。
これなら湯沸かしにとどまらず、調理もこなせるでしょう。
アルコールバーナー単体よりも格段に扱いやすく、初心者にこそおすすめしたい銘品です。
トランギアのアルコールバーナーのご紹介
トランギアの製品群の中から、特におすすめの商品をご紹介しましょう。
TR-B25 アルコールバーナー
- 使用燃料:エチルアルコール、メチルアルコール
- 重量:110g
- 収納サイズ:φ7.5×H4.5cm
- 公式価格:¥2,500(税抜)
発売から半世紀以上が経過するロングセラー商品です。現在世の中に発売されているアルコールバーナーの原型となりました。
TR-B25 アルコールバーナーに必要なゴトク
アルコールバーナーは単体では使えません。クッカーを乗せる台、ゴトクが必要です。
TR-B25用ゴトク
- 重量:50g
- サイズ:φ9.7×H6.3cm
- 素材:アルミ製
- 公式価格:¥1,000(税抜)
アルコールバーナーを中央に置くシンプルなゴトクです。
TR-P302 トライアングルグリッドⅡ型
- 重量:58g
- 素材:ステンレス製
- 公式価格:¥1,900(税抜)
ステンレスのプレートを組み合わせて使います。使わない時はコンパクトに収納できます。
TR-27-3UL ストームクッカーS・ウルトラライト
- 重量:740g
- 収納サイズ:φ18×H10cm
- フライパン(Φ18㎝):アルミ製(ノンスティック加工済)
- ソースパン(1.0ℓ×2):アルミ製(無垢)
- 公式価格:¥10,500(税抜)
アルコールバーナーの弱点をシステム化することで克服し、格段に扱いやすくなりました。1人〜2人用途であればSサイズが、それ以上の人数ではLサイズがおすすめです。
TR-28T ミニトランギア
- 重量:320g
- 収納サイズ:Φ15cm×H7cm
- 0.8ℓソースパン:アルミ無垢
- フライパン(Φ15cm):アルミ製(ノンスティック加工済)
- 公式価格:¥4,600(税抜)
バーナー本体とゴトク、クッカーを組み合わせた最低限のセットです。アルコールバーナーを手軽に使いたい人、少しでも荷物を軽くしたい人におすすめです。
アルコールバーナーと一緒に使いたいトランギアの銘品
トランギアは、アルコールバーナー以外にもアウトドア用調理器具を多数販売しています。その中から、アルコールバーナーと一緒に使いたい銘品をご紹介しましょう。
TR-325 ケトル0.6ℓ
- 重量:140g
- サイズ:φ13.5×H7.5cm
- 素材:アルミ製(無垢)
- 公式価格:¥2,300(税抜)
ソロ用におすすめのケトルです。ストームクッカーに重ねて収納でき、ストームクッカーと、ぜひ一緒にそろえて欲しい道具です。
TR-210 メスティン
- 重量:150g
- サイズ:17×9.5×6.2cm
- 容量:750mℓ
- アルミ製(無垢)
- 炊はんの目安:約1.8合まで
- 公式価格:¥1,600(税抜)
トランギア社の飯盒で、約1.8合までの炊飯が可能です。飯盒として以外にも、弁当箱として、小物入れとしてなど幅広い用途に活用できます。
TR-506003フューエルボトル0.3ℓ
- 重量:95g
- サイズ:Φ6.5×H11.9㎝
- 燃料容量:300mℓまで
- 公式価格:¥2,700(税抜)
アルコール専用の燃料ボトルです。燃料キャップが秀逸で、アルコールバーナーに燃料を注ぎやすい形状を取り入れています。
まとめ
アルコールバーナーは火力が弱く、長らくサブバーナーとしての位置付けでしたが、近年魅力が見直されてきています。
扱いに工夫がいるものの、慣れれば軽量・コンパクトなメリットを享受できるでしょう。アルコールバーナーの弱点を克服したストームクッカーは、初心者にも扱いやすいトランギアの銘品ですね。
トランギアのアルコールバーナーが気になる人は、この記事を参考にぜひ手にしてみてください。