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一口にレインウェアといっても、人によって使う用途はさまざまですよね。バイク、登山、釣りなどなど…。ワークマンなら、比較的安価にレインウェアが手に入ります。しかしたくさん種類があって、どれを選んだらよいか分からない人も多いはず。そこで今回は、用途別のレインウェアの選び方と、ワークマンのおすすめ商品をご紹介します。レインウェアを評価するポイントや、長持ちさせるお手入れ法についても解説しますので、参考にしてください。
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ワークマンでレインウェア?
「ワークマンのレインウェアって作業用でしょ?」と思った方もいるでしょう。確かに作業用もありますが、それだけではありません。まずはワークマンと、ワークマンのレインウェアの概要からお話していきます。
ワークマンとは
ワークマンといえば、言わずと知れたガテン系ショップ。工事現場や工場用の作業服を販売している、全国展開のお店です。しかし、近年高まっているアウトドア人気に合わせて、ワークマンでも最近、スポーツやアウトドアで使えるオリジナルウェアのブランドを立ち上げました。立川を皮切りに、スポーツウェアやアウトドアウェアに特化した店舗『ワークマンプラス』を続々とオープン。「高価な専門ウェアが安価に手に入る」と人気が高まっています。
ワークマンのレインウェアはストレッチ
ワークマンのレインウェア最大の魅力は、その価格です。アウトドアブランドやバイク用品ブランドよりずっと安価に購入できます。しかし当然ながら、それらの専門ブランドと同等スペックのレインウェアをリーズナブルにはできません。どこかを削り、何かに特化しているからこその低価格なのです。
ワークマンのレインウェアは、防水性・透湿性・耐久性・携行性などの性能を一部削って、ストレッチ性に優れ、動きやすさに特化した展開となっています。どの性能をどの程度削っているかは商品ごとに異なるので、用途に合わせて上手に選べば、価格のわりに十分使えるアイテムとなるでしょう。
レインウェアの構造
レインウェアを選ぶには、その構造を理解する必要があるので、ここからレインウェアの基本的な構造についてご説明します。
レイヤー
レインウェアの生地を細かく分けると、「ナイロンやポリエステルでできた表地」+「防水透湿膜」+「防水透湿膜の保護層」の3層構造になっています。しっかりと保護層が付いて3層になっているものを3レイヤーといい、保護層が全くないものは2レイヤー、プリントや加工で薄い保護層が付けられているものが2.5レイヤーです。保護層の厚みはレインウェアを重くしますが、防水透湿膜を守るとともに、ウェア内が結露した際の不快感を軽減する役割があります。
多孔質と無孔質
防水透湿膜には、多孔質膜と無孔質膜があります。多孔質膜とは、目には見えない非常に小さな穴が空いていて、水滴は通さず、水蒸気のみを通過させるという優れた膜です。この機能によって、外からの雨を防ぎながら、同時に内側からの湿気は外に逃がし、蒸れにくくしています。一方、無孔質膜は、ウェア内の水分をスポンジのように吸い上げてから、じわじわと外へ蒸発させていく膜です。スペック上で、両者の膜の透湿性を比較することは難しいですが、体感では、多孔質膜の方が無孔質膜より蒸れにくく感じる傾向があります。
フッ素膜とポリウレタン膜
防水透湿膜の素材には、フッ素系の素材とポリウレタン系の素材があります。フッ素系の防水透湿膜の代表はGORE-TEXメンブレンで、防水性が非常に高く、寿命が長いのが特徴です。GORE-TEX以外の防水透湿膜は、ほとんどがポリウレタン系の素材でできています。ポリウレタン膜は防水性や寿命の面でフッ素膜にはかないませんが、比較的安価で、加工法によってストレッチ性を高くしたり、透湿性を高くしたりすることが可能です。
コーティングとラミネート
防水透湿膜を表地に付着させる方法には、コーティングとラミネートの二つの方法があります。コーティングは、防水透湿膜を表地に塗り付ける方法で、劣化してくるとペンキのように剥離してくることがあります。ラミネートは、防水透湿膜を表地に接着によって貼り付ける方法で、コーティングに比べ価格が上がりますが、防水透湿膜が長持ちします。
レインウェアをどう評価する?
レインウェアの基本構造が分かったところで、実際にレインウェアを選ぶ際に、どのように評価すればよいのか解説します。レインウェアを評価する基準は、以下の5つのポイントです。しっかり理解して、レインウェア選びに役立てましょう。
防水性(耐水圧)
レインウェアの防水性は、耐水圧と呼ばれる指標で表されます。耐水圧とは、その生地がどの程度の水圧まで耐えられるか測定した値で、単位はmmです。数値が高いほど、防水性が高いといえます。雨の程度によって、レインウェアに必要とされる耐水圧の目安を、下の表にまとめました。ちなみに、市販されている布製の雨傘の耐水圧は、250~500mm程度です。
雨の程度 | 必要な耐水圧の目安 |
---|---|
暴風雨 | 20,000mm |
大雨 | 10,000mm |
中雨 | 2,000mm |
小雨 | 300mm |
また、濡れた場所に座ったときにかかる水圧は2,000mm程度、膝をつくなど瞬間的に力が加わる際にかかる水圧は11,000mm程度です(体重75kgの場合)。このことから自転車・ゴルフ・釣りなど一般的なスポーツの場合、暴風雨の中あえて運動するのでない限り、レインウェアの耐水圧は10,000mm以上あれば十分でしょう。
ただし、バイクや登山で使うレインウェアは注意が必要です。バイクの場合、通勤でチョイノリする程度であれば大して速度が出ませんが、長距離のバイクツーリングとなると速度が速くなります。時速80km以上で走行するバイクは、台風に相当するほどの風速を受けるので、暴風雨と同じ状態になるのです。また登山の場合、森林限界以上では雨を遮る逃げ場がないうえ、数日山に入れば、予報に反して暴風雨に巻き込まれる可能性が否定できません。このような理由から、バイクツーリングや本格的な登山で使うレインウェアは、耐水圧20,000mm以上がおすすめです。
透湿性(透湿度)
透湿性とはレインウェアの蒸れにくさのことで、透湿度という数値で表されます。透湿度は、その生地が内側の湿気を外側へ透過できる水分量を測定した値で、単位はg/㎡24hrです。
人間は特に何もしなくても汗をかいていて、身体からは常に水分が放出されています。一般的な大人が1時間あたりにかく汗の量を、下の表にまとめました。
運動量 | 汗の量 |
---|---|
安静時 | 50g |
軽い運動時 | 500g |
激しい運動 | 1,000g |
このように人間はたくさんの水分を放出しているので、透湿性の低いレインウェアを着用すると蒸れて不快なだけでなく、レインウェアの内側が結露することがあります。ではレインウェアの透湿度をどのように評価すればよいのかというと、それは非常に難しい問題です。
JIS規格では透湿度の測定方法が定められていますが、その方法にはA-1法、A-2法、B-1法…と5種類あります。そして、ある商品をA-1法とB-1法で測定するとほぼ同じ値が出るのに、別の商品ではA-1法とB-1法の測定結果が2倍も違うことがあるのです。つまり透湿度は、商品の特性と測定方法の相性による要因が大きく、別の商品と単純に比較できません。開発段階で商品の性能が上がったかどうか見るなど、同じ特性の生地を同じ方法で測定してこそ比較になります。まして、全く異なる基準で算定された発汗量と比較することは、もはや意味がないでしょう。
透湿度は消費者の誤解を生みやすいので、あえて公表しないメーカーもあります。一般の消費者が透湿度から読み取れることは、「その商品には透湿性があり、蒸れにくいらしい」ということだけです。どの程度蒸れにくいのかは分かりません。ただし同じメーカーが出している同じ特性の生地なら、比較の参考にはなります。
耐久性(防水膜の寿命)
ワークマンのレインウェアを含め、多くの防水透湿製品で使われているポリウレタン系膜は、フッ素系膜に比べて寿命が短いという弱点があります。ポリウレタンは、空気中の水分と反応して「加水分解」を起こすからです。放置された輪ゴムがいつの間にかボロボロになっているのと同様に、使わなくても劣化します。ポリウレタン膜の寿命は、おおむね製造から5年前後。ラミネートではなくコーティングの場合はもう少し短くなりますが、ワークマンほど低価格で購入できるなら、十分な寿命といえるでしょう。しかし使用頻度が高い、手入れが悪い、高温多湿の場所で保管するなど悪条件が重なると、2年程度でダメになることもあるで注意してください。
運動性(動きやすさ)
雨の中で自転車、登山、釣り、ゴルフといった運動を快適に行うには、レインウェアの動きやすさが重要です。一般的なレインウェアは、生地の立体裁断と、シルエットに余裕を持たせることによって動きやすくしています。しかしシルエットに余裕がありすぎると、余った生地がゴワつく、風を受ける、引っかかるなどデメリットが大きいです。ストレッチする防水透湿生地なら、無駄なシルエットを省いて、しかも動きやすいレインウェアとなります。
携行性
レインウェアは着ている時間より、持ち運んでいる時間の方が長いウェアです。製品の重量や、たたんで収納したときの大きさなども考慮しましょう。特に、ザックに入れて背負わなくてはならない登山では、レインウェア選びの重要なポイントになります。
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