引用:noboru13.exblog.jp
ここ数年の登山用雨具の進化のスピードには目を見張るものがあります。特に最近の技術の進歩は軽量化はもちろん、肌触りや蒸れにくさという快適性やストレッチ素材などの使い勝手の面でも驚くほどの進歩が見られ、まさに防水透湿シェル軽量化戦争とでも言えそうな状況です。今回は登山用雨具の進化に伴う、用途や場面に合わせた最適な選択について考えていきたいと思います。
レインウェアが必要な理由と選びかた
レインウェアとは雨具のことなのですが、タウンユースでいう雨具とは全く違って、登山では命を守るための道具なのです。体が濡れると体温が急速に奪われていきます。サバイバル3の法則というものがあって、人は適切な体温を保持できなければ3時間程度しか生きられないと言われています。そのくらい体温の保持が生命に関わる大事であり、登山においては体を濡らさないためのレインウェアが命を守るための道具であるということなのです。
したがって、レインウェアを選ぶときに大事なことは、外からの雨や風を防ぐための防水性と内部からの汗を発散させるための透湿性を兼ね備えていることなのです。この機能を持った素材がゴアテックスです。簡単にいうと、ゴアテックスという素材には水の分子よりも小さくて水蒸気の分子よりも大きな穴があいているので、水は通さず水蒸気は通すということなのです。
ところが、近年はゴアテックスばかりでなく、各メーカーが防水透湿性を兼ね備えた素材をどんどん開発して市場に投入していますから、それぞれの特質を見極めて選びたいものです。そうはいうものの、初めての1着であれば、信頼性で頭一つ抜けている感じのゴアテックスを選ぶのが無難と言えます。しかし、登山経験者で、ある程度場数を踏んだベテランなら超軽量素材など特色のある素材を選ぶこともありでしょう。自分の経験値と合わせて考えることが大事です。
超軽量レインウェアのオススメのわけ
進化し続けるレインウェアのなかでも超軽量レインウェアは、びっくりするほどの軽さとコンパクトさで私たちの前に現れてきました。しかも十分な防水透湿性能を持っているのです。登山の出発時点では晴天で、天気予報も晴れだけで、山の天気はいつ変わるかわからないので念のためにレインウェアを持って行こうというような場合、レインウェアに要求されるのは軽さと折りたたんだ時のコンパクトさであることはいうまでもありません。
しかもその軽さたるや半端ありません。200gはおろか100gを切るような軽さのものまで登場しています。それが畳めば手のひらに乗るサイズになってしまうのです。それでいて防水性能は耐水圧20,000mmもあり、日帰りや低山の登山では十分使える実力です。ただし、長期縦走や2000m級以上の山での暴風雨に対しては必ずしも十分とは言えないので、そこは注意が必要です。
また特筆すべきは、その着心地です。ごわつきがなくしなやかな着心地や、サラサラとしたべたつき感のない裏生地の肌触りなどは、超軽量レインウェアとしては従来の期待値をはるかに超えたレベルの高いものになっています。さらに、人は動けば必ず汗をかき、その汗を水蒸気として外気へ発散しない限りベタベタ感は解消できませんが、それを担保する透湿性能も高い水準を確保しています。こうしたことが超軽量レインウェアの人気の秘密となっています。
素材以外の登山用雨具の選定ポイント
登山用雨具については防水透湿性能や素材の軽さ以外にも選定するときに考慮すべきポイントがいくつかあります。まず、サイズについては、重ね着をすることを念頭に置けばやや大きめのサイズが適当だと思われます。さらに動きやすさも考え合わせると、ストレッチ素材もおすすめといえるでしょう。次に雨具の形については、ジャケットとパンツのセットが防水や動きやすさからも妥当だと言えるでしょう。また、色は万が一遭難した時のことを考えると目立つ色が安心です。
意外に見過ごされがちなことが、雨具のベンチレーションです。ベンチレーションは蒸し暑さに対しては対処しやすいのですが、重くなってしまうという背反が起こるので快適性と軽量性のトレードオフになってきます。また、フードも実は大切で、雨よけと視界の確保という点では非常に重要で、特にメガネをかけている人の場合はさらにその重要度は高まります。これは帽子をかぶって、帽子のつばで代用するという方法もあります。
ポケットの位置と数も気になります。登山用雨具の場合、ポケットの位置はザックのハーネスと干渉しない位置についているので、実際にザックを背負って確認しておきたいですね。ポケットの数は多い方が機能的なのですが、やはり重くなりやすいのでそれもトレードオフになります。また細部の止水性能を確保するために、止水ジッパーや止水テープなども織り込まれていると安心です。
登山用雨具の最近の進化と最適な選択
登山用雨具は近年どんどん進化しており、防水透湿性能のレベルアップとともに超軽量化や着心地のよさや動きやすさなども進化しています。それぞれの登山の場面や用途に合わせて、登山用雨具を選択していくことが大事です。