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登山にとって朝食は大切です。登山というのは実は膨大なエネルギーを必要とするのです。普段は朝食抜きという人も多いかもしれませんが、登山では途中で体力切れになってしまって、最悪の場合、生命の危機ということにもなりかねません。登山という運動でのエネルギーの消費パターンを知って、それに備えられるような一日の食事の取り方をしたいものです。朝食はその始まりの食事ですから、きちんと計算された食事をしましょう。
登山に出かける日の朝食の役割は?
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人は睡眠中でも体は新陳代謝などにエネルギーや栄養素を使っています。したがって、朝には必要なエネルギーや栄養素が少なくなっていて体温も下がっています。体を目覚めさせるためには、体温を上昇させて体を活性化する必要があります。この役割を担うのが朝食です。食事によって口、食道、胃、小腸、大腸、そして肛門まで続く消化管全体が筋肉運動を開始して熱を発します。こうして発した熱が、寝ている間に低下した体温を上昇させるのです。そして眠っていた体を目覚めさせ、体内の働きを活性化させる役割が朝食にはあるのです。
さらに、睡眠中は脳も休んでいます。この脳を活性化させるためには大量のエネルギーが必要です。そのエネルギーの源はブドウ糖なのです。このブドウ糖は血液中から供給されますが、それには肝臓に貯蔵されているグリコーゲンが利用されます。しかし、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンはおよそ12時間分くらいしかないので、食事によってブドウ糖を供給する必要があるのです。
また、体と脳が目覚めても、少なくとも昼食までの活動エネルギーを朝食によって確保する必要があります。登山では一日でおよそ4000kcalくらいを消費すると言われています。しかし、4000kcalを全て食事で摂る必要はなくて、6割程度を食事でまかない、残りは体内蓄積脂肪などを分解して消費します。食事では、朝食の後は行動食で摂る場合が多くなっています。
登山に出かける日の朝食のオススメメニュー
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和食派の朝食のオススメメニューの一例を考えてみると、まず、朝食ではゆっくりとエネルギーに変わる米などの複合炭水化物で糖質を摂るのが良いと思います。そして、和食ならば味噌汁がつきものなので、味噌汁の具として野菜や海藻をたっぷり入れることがオススメです。そこに卵料理や牛乳やヨーグルトを加えるとよいでしょう。
それでは、洋食派の朝食のオススメメニューはどうなるのかというと、やはりゆっくりとエネルギーに変わる複合炭水化物としてパンで糖質を摂るのが良いと思います。そして、和食と同じように卵料理としてスクランブルエッグとか卵焼きを入れると良いでしょう。また、野菜はサラダでもいいのですが、できるだけ温野菜にして体を冷やさないようにしたいものです。
その他に流動性のあるものやシリアルなどもありますが、消化器官の活動も促すという狙いがありますので、これらは朝食としてではなく行動食として摂る方が良いでしょう。
登山に出かける日の朝食のさらなる効用
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朝食はもちろん体や脳のエネルギー源であったりするのですが、朝食をとるということは他にも色々な効果があります。例えば、食物を摂ることによって胃から大腸へ信号が行き、大腸がぜん動運動を始めて排便のリズムが出来てきます。登山の場合、いつでもどこでもトイレに行けるとは限りませんので、出発前に排便を済ませておきたいものです。朝食はその助けにもなるのです。
朝食もただ食べればいいというわけでなく、バランス良く食べれば、集中力が高まり、疲労感も少なく、空腹感も少なくなるという調査結果も出ています。そのバランスとは何かというと、「炭水化物+タンパク質+脂質」なのです。これをバランス良く摂れば、登山では理想的な食事と言えるでしょう。間違っても、「時間がなかったのでおにぎりだけかじりました」ということは避けたいものです。
また、人の体は誰もが体内時計を持っていて、それは24時間よりも少し長いのです。それを毎日24時間にリセットするのは、朝の日光を浴びることが有効なことは知られています。もう一つの方法は朝食をとることです。朝食をとることによって、生体リズムが正しく整えられるのです。さあ、体内時計をリセットして、心身ともにシャッキっとして、体と脳に必要なエネルギーを蓄えて登山に出発しましょう。
登山には胃と腸を整えて朝食をしっかりとることが大切
胃や腸などの消化器は食事の時間を学習し、その時刻になるとあらかじめ消化の準備を始めるんです。しかしこの反応は一定期間体験しなくなると消えてしまうんです。これまで、登山における朝食の重要性について書いてきましたが、結局のところ「朝は食欲がなくて・・・」ということでは何もならないのです。したがって、登山をするのならできるだけ普段から規則正しい生活をして、胃と腸を整えて朝食をしっかり摂って、山に臨みましょう。