山小屋宿泊の登山に慣れてくると、次に興味が沸くのがテント泊の登山。テント泊登山ができるようになれば、登山者としては間違いなく中~上級者の仲間入りです。
ただし、テント泊登山は、団体で行う場合、個人で行う場合ともに、レベルが1つ上がります。非常に融通が利く登山計画を立案できる反面、求められる体力や技術もレベルが上がるのがテント泊登山。こちらではテント泊登山に際して求められる事項をまとめました。
個人のテント泊登山か団体のテント泊登山か?
引用:写真AC
テント泊登山を行う場合、個人で行うか団体で行うかが、まず問題となります。個人のテント泊の場合、レベルが一気に2段階上がります。個人用テントとはいっても、相当な重量になるため、通常の山小屋泊登山に比べて荷物が1.5~2倍の重さになります。テント泊の場合、食事も必然的に自炊となるため、食料の重量も山小屋泊と比べると重くならざるを得ません。よって、個人のテント泊登山は、よほど体力に自信のある方のみができる領域です。多少登山に慣れたからと言って、簡単に手を出してはいけない領域と言えます。ただし、本当に山が好きなら、目指すべき方向ではあります。
次に、団体登山の場合ですが、コチラも山小屋泊登山以上に体力が必要となります。複数人が寝泊まりするテントとなると、テント本体・ポール・ペグ・ザイル・シートなど、テント泊を行うための装備が非常に多くなります。当然、各装備を手分けをして山に運ぶことになりますが、誰かが一番重いテント本体をザックに入れる必要があります。
団体のテント泊の場合、一番体力のある人がテント本体を運ぶケースも多いのですが、いつ誰がテント担当になっても文句は言えません。ダメですよ、自分だけ楽してテント泊登山しようと思っては。それに、4~5人用のテントは、テント本体以外もそれなりに重量があります。よって、団体でのテント泊登山と言っても、山小屋泊以上の体力は必要不可欠となります。
団体でのテント泊登山はチームワークが必要不可欠
引用:写真AC
団体でのテント泊登山の場合、登山の体力や装備は当たり前。テント泊登山を行うのであれば、団体であっても事前のトレーニングによる体力作りは必要不可欠です。そして、体力に加えて、チームワークも非常に大切となります。
テントの立て方から始まり、食事の準備と片付け、そして撤収の方法まで、すべてメンバーの協力なしでは成り立ちません。団体でのテント泊登山の場合は、経験者をパーティーリーダーに定めて、リーダーの下で行動を行うことになりますが、リーダーのリーダーシップはもちろんのこと、メンバーがリーダーの指示に従うということも非常に大切です。基本的にはすべて手作業となるため、担当者が一人ですべてを行うことはできません。作業を割り振るリーダーの能力、そして自主的に仕事を手伝う積極性、リーダー及びメンバーのそれぞれが、テント泊登山成功のために協力しなければ、テント泊登山はうまくいきません。
それに、登山の最中は四六時中メンバーと寝食を共にするので、多少嫌なことがあってもお互い辛抱する忍耐力がなければ、テント泊登山は何も楽しくありません。登山テクニックとは別の部分で、テント泊登山はメンバーの人間関係が重要になります。よって、日頃の人間関係に疲れて登山をするような方は、そもそもテント泊登山はお勧めしません。
単独でのテント泊登山は登山の究極的スタイル
引用:写真AC
登山を本気で行うのなら、最終的に行きつく先は単独でのテント泊登山。経験が求められる単独登山の中でも、テント泊登山は最上位に位置付けられます。テントを担いでの単独登山は、体力面が最大の課題です。1人用テントも以前と比べるとずいぶんコンパクトになり、重量も軽くなりましたが、それでも山小屋泊登山と比べると段違いに荷物が多くなります。荷物が多くなると、当然体力の消耗も速くなるので、自らの体力を加味した綿密な登山計画が必要不可欠となります。ただし、単独のテント泊登山は、一度慣れると病みつきになります。登山の醍醐味はココにありという方がおられるくらいです。
登山に本当に魅了されて、実力も付いて装備も一式揃えられるようであれば、ぜひチャレンジしたい領域となります。ただし、いきなりアルプス級の山にチャレンジするのではなく、徐々に山のレベルを上げていくというステップも必要不可欠。何かあった場合、すべて自ら対応する必要があるので、単独のテント泊登山はハイリスク・ハイリターンということは忘れてはなりません。
まとめ~好き嫌いが真っ二つに分かれるテント泊登山
テント泊登山は、登山愛好家の中でも、好きか嫌いか真っ二つに分かれます。登山の世界は、登山観が人によって大きく異なる世界なのですが、テントについてはその世界観が見事に表れます。とはいえ、アルプスをはじめテント泊登山ができる山域において、テント泊登山は行動が非常に自由になるため(ただしテントは指定の場所以外設置できません)、上級登山を行う場合、必要不可欠とも言えます。
自分の求める登山がどこにあるのか?という哲学的な部分まで関係してくるのが登山のテント泊となります。テント泊に興味があるなら、一度自分は登山で何を目指したいのか、考えてみてはいかがでしょうか? それを踏まえた上で、それでもテント泊登山を行いたいというのであれば、まずは団体のテント泊登山から始めることをお勧めします。