有名なクラシックルート「北鎌尾根」から槍ヶ岳へ!

ちょっとハードな山行がしたい。という私のリクエストで行くことに決まったのが、

槍ヶ岳へと続く、日本で有数のクラシックルートの一つ、北鎌尾根。

今回は3人パーティ。

小さいトラブルはありましたが、大きなトラブルもなく笑いありのよき山行でした。

【日程】2019年8月10日~13日  3泊4日
1日目:上高地~横尾
2日目:横尾~槍沢大曲り~水俣乗越~北鎌沢出合~北鎌のコル
3日目:北鎌のコル~北鎌平~槍ヶ岳~ババ平
4日目:ババ平~上高地

1日目

横尾までなので、のんびり昼頃都内を出発。

上高地まではマイカー規制があるため、さわんど駐車場(1日700円)に車を止め、タクシーで上高地バスターミナルまで向かいます。

小トラブル①
本当は前日の夜出発したのですが、車内のライトが全部光って消えないという謎の車トラブルで、翌日出発になる。
小トラブル②
出発が翌日になったのでメンバー宅に宿泊。私が使った布団を干したまま取り込まずに出発してしまう。

徳澤も小梨平も数百張はありそうなテントの数です。

おサルさん100頭以上。子ザルかわいいです。

19時横尾IN。軽く食事を済ませ早めに就寝です。

今回少しでも体力を使わず登りに集中できるように、荷物も極力最小限。

テントは一番軽かった私のニーモタニ2Pを採用。そこそこ大きな大人3人で寝ます。

猛暑に加えくっついて寝たので、これが本当に本当に暑かったーー

2日目

今日は北鎌のコルまで行きます。

5時に出発し、槍沢大曲を目指し歩きます。

槍沢ロッヂで「槍見えるよー」と。望遠鏡からの槍ヶ岳。

槍沢大曲の標識が見つけられず行き過ぎてしまい、30分以上ロス。序盤に余計な体力を使ってしまった…下山したときはすぐに見つけられたのになんで気が付かなかったんだろう。

下山時に撮った標識。こんなに分かりやすくありました!

大曲標識から水俣乗越に向かう入口、草が生い茂っていて初めての人はちょっと見つけにくいかもしれません。

そしてここから400Mの登り詰めが地味につらい。登る人より降りてくる人が多い印象。

3人それぞれのペースで登りました。

水俣乗越到着!

滑り落ちそうな急なザレ場を下り、北鎌沢出合へ向かいます。

結構下ってから、迂回路的な道を見つけたのだけど、間違えた?そんな道あったかな?

私は雪渓が不慣れで、15M幅の雪渓をメンバーに見守られながら恐る恐る渡る。

北鎌沢出合まではゴロゴロ岩場をひたすら歩きます。

北鎌沢出合はこのケルンが目印。

ひたすら同じ景色なので左に出てくるケルンを見落とさないように…

体力があるメンバーは、ずんずん先に進んて行ってしまい、大声で呼び戻します。

もし体力がもたなかったら、出合に泊まって翌日北鎌コルに行く予定でしたが、当日に登ってしまって正解。出合は小さなテントを張れそうなスペースが数か所程度でした。

ちなみにお盆だったからか、たくさんパーティがいて周囲は大トラブルだらけでした。

・北鎌沢出合手前ですれ違ったパーティ。
北鎌のコルを登っていた時に、1人腕を骨折してしまい敗退だそうです。

・左俣を間違って登り、雪渓が出てきて間違いに気づき4時間ロスして二俣に戻ってきた若者2人パーティ。

・北鎌沢中盤に、右へと間違った方向へ誘導されてしまう「クライマーホイホイ」に入ってしまい、朝北鎌沢出合を出発して、14時間かかって北鎌コルに到着した4人パーティ。
1人骨折してしまったとのことで、翌日は出合に降りることにしたとのこと。
(コル上ではツエルト張れずにビバーク)なんだかたくましい人たち。

・骨折したらしく、ヘリコプターでホバリングされてた人。

・別パーティで骨折した人が出たようで、連絡を頼まれどこかのピークで無線連絡をしていた人。

・北鎌尾根上に謎の放置ザック、近くにビニールシートをかけてある何か、、、

一寸先は我が身、気が引き締まります。

出合から北鎌コルまでひたすら登り詰めます。

ここで重要なのが最後の給水ポイントで水をどこで補給するか。

事前情報だと二俣の少し先以降はポイントがないようだったので、左俣を少し進んだところで給水することにしました。実際は結構上の方でも補給できました。

「左俣は水、右俣に進む」と右に行く右右…と思っていたのに、分岐を見落とし左俣を進んでしまった私。呼び戻されます。

この時点で疲労困憊、5キロの水が重すぎる上にミスルートをして、テンション一気に下がりました。

ここを登れば今日は終わり。景色を見て気分を上げながら休み休み登り切りました。

ここで小トラブル③

メンバーの寿命を迎えたプラティパスから水が漏れ、防水ザックの中が浸水状態。

シュラフは防水袋に入れてあって助かったけど、財布も充電器も水に浸かってしまう。

防水ザックが故に漏れに気が付かず、無駄な筋力を使ってしまったメンバー。

そして我々は2.5リットルの水を失いました。

北鎌のコルは大混雑で、「これから来る後続のために」と先に進んでくれたパーティのおかげで一番にテントを張れましたが、どんどん来る後続の方々。

スペースが足りずツェルト被って寝ているパーティも。

しかし暑くて眠れない…

普段は1人でのびのび寝ているテントに、今回は3人交互で密着状態。足くさくさマナーとしてシュラフは脱げません。

眠れない時じっとしていられなくて、一晩中ごそごそと動いてしまい2人には申し訳なかった。

3日目

やっと本番の北鎌尾根に行ける! 体力ないから時間勝負で4時出発。

1番の出発でしたが、最終的にはほとんどみんなに抜かされていった感じです。

早朝出発特典のこの景色は、「来てよかった。」といつも思わされます。

北鎌のコル先にもビバークポイントはありましたが、小さいスペースが多め。


昨日暗い中を先に進んでも、3人が休める幕営ポイントは探せなかったと思います。

コルでテントを張れてよかったと、昨日先に進んでくれた先行パーティには心の底から感謝です。

 

小さなピークをいくつか超えた所でそびえたつ独標(標高2,899m)登場。

槍ヶ岳を隠す程の迫力ある姿に、「今北鎌尾根に登ってるんだ」とやっと実感が湧いてきます。

何度も登ったり下ったり、ハードな岩稜縦走が延々と続きます。登り返しは精神的にも体力的にも消耗しますが、尾根やピークを巻いたら稜線に行くように、なるべく高度を下げないようにルートを選んで進みました。

稜線から下りすぎると、西鎌尾根に行ってしまうらしい。

途中から仲良く進んだお兄さん方。ルート情報など交換しながら。

切り立った岩壁を張り付くようにトラバースをしながら、ルートに復帰しようとしているパーティもいて、ルートファインディングを間違えるとああなるのかと、身が引き締まります。

ピークを越えるごとに、じわじわとそして確実に槍の穂先が近づいてきます。

 

近そうで遠い。

けどゴールが視界に入っていると、見えないときより頑張れる。

 

ロープを使っていないパーティもいましたが、我がパーティは危険が予想される箇所はすかさずロープを出し、懸垂下降で安全に通過しました。

 

近くなる本峰。

その1時間後。

その1時間後。

その1時間後。

いきなりですが、北鎌で私気づいてしまったことがあるんです。

前々から薄々とは思っていたのですが、認めたくなくて。

岩稜があまり好きではないことに…

気づいてからは、右側に見える鷲羽岳、水晶岳の稜線を次は歩くんだ!のモチベーションで岩稜をやっつけていきました。

 

あと少し!

北鎌平に着くと、小槍のクライマーもカニの爪もはっきり見えます。

 

チムニーは意外と登りやすく(チムニーではなかったのかも)、ここまでくると自分でルートを見つけ、危ないけれど自由に好きな場所を登れる北鎌尾根に楽しさと喜びを感じるようになっていました。

チムニーを過ぎた当たりから、槍ヶ岳山頂にいる人たちの視線が分かる程の距離になり、最後のひと踏ん張り。

14時頃山頂に着くと、拍手とお疲れ様の声をかけていただき、気恥ずかしかったけど、なんだかとても嬉しく誇らしい気持ちになりました。

水分も3人で分け合ってギリギリ足りてよかった!

 

山頂からババ平まで一気におりて河原にテントを張る。足が棒すぎて気力だけで歩いた感じ。夕食の棒ラーメンがへとへとな身体に染みわたります。

棒ラーメンの美味しさに気づき下山後、早速楽天で色んな種類の棒ラーメンを注文してしまった。

4日目

上高地まで下り、タクシーでさわんど駐車場へ。

松本インターチェンジのスーパー銭湯「湯の華銭湯 瑞祥」で汗を流しました。広くてきれいな銭湯で、高温サウナもありサウナーにもおすすめです。

メンバーはそこで「整えて」長時間ドライブを乗り切ったそうです。

今回は天気に恵まれ、初心者には大変運が良い山行でした。

岩稜が好きではないと思ったくせに、また北鎌に登りたいと思っている自分がいる。

それほど素晴らしい山行ができた自分は幸せ者です。

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