広告営業でがっつりサラリーマンをされながら、登山サークル『やまくっく』の代表やYouTuberとしても活動されているやぎさん。
今回はそんなやぎさんに、動画制作を始めたきっかけや思い出に残る山行、登山サークル『やまくっく』への想いなどいろいろと聞いてみました。
–はじめまして!マウンテンシティ編集部です。簡単に自己紹介をお願いできますか?
はじめまして!やぎちゃんです!
お仕事で静岡や広島と各地を転々として、現在は東京で広告の営業をしています。仕事の傍ら、趣味で山に毎週登っていて、その様子を2月からYouTubeで投稿しはじめました。動画に関してはまだまだ初心者ですが、よろしくお願いいたします♪
–いつもやぎさんの運営されているチャンネル、拝見しています…!登山についてのコンテンツが多いですよね。どうして登山動画で投稿を始めようと思ったんでしょうか?
誰かの特別を残せる人になりたいな…と思いまして。きっかけとなるエピソードがあるんです。
–そのエピソードというのは…?
以前、知り合いのカメラマンにお願いして、友人夫婦のマタニティフォトの撮影企画を立てたことがあったんです。撮影した写真は友人にとても喜んでもらえて、「家族の宝物にする!」とまで言ってもらいました。
2人のために色々と考え、早朝から準備して時間をたくさん使いました。そして自分の得意なことを生かして、幸せを感じてもらう…私が写真を撮ったわけではないですが、そんな出来事を目の当たりにして、素敵すぎる!!!と感動してしまって。
それがきっかけで、私もいつかは誰かの特別を残せたらいいなと感じたんです。
ご友人のマタニティフォト撮影企画
–とても素敵なエピソードですね。それで、やぎさんの特別が「登山」だったと。
そうですね。私は写真が上手いわけでもなければ、知名度があるわけでもない。なのでまずは自分の特別を誰かに伝えるところから始めようと思ったんです。あとは父から「お前は写真よりも動いていた方が面白いよ」と言われて、思い切って動画投稿をはじめました。
–まずやってみようというチャレンジ精神!そのお考えもとても素敵です。登山はいつから始められたんですか?
大学1年生のときに登山を始めました。けっこう前でなぜ登山を始めたのかは忘れてしまったのですが、どこかで見た山の景色に憧れて始めたんだと思います…
–登山を始めた当初のエピソードをぜひ聴かせていただきたいです。
20歳で登った富士山ですね。海から山頂まで(海抜-1mから3776m)の3777mを2泊3日で登るというチャレンジです!
20歳のときに登った富士山のお写真
–標高差3777m…!5合目からの登山が標高差1400mくらいなので…3倍近くありますね。
自分が登るために必要なギアを選び、背負える重さを考えてザックに詰め込む。そして歩んだ分だけ進む。登り始めると「辛くてもう嫌だ!」と思うのですが、いつしか体が軽くなって、楽しめているんです。自然の中にいたらなんだか生きてるだけで幸せだなって思えます。
これがきっかけで、現在ではできるだけ長く山にいる山行(テント泊縦走など)スタイルに落ち着きました。
–「山に長くいる」というスタイルいいですね。テント泊縦走など思い出に残っている山行はありますか?
思い返してみると、今までに北海道、九州も四国も行って、たくさん登ってきました。
昨年行った山行で特に印象的だったのが5泊6日の裏銀座縦走(水晶岳・鷲羽岳・双六岳など)と2泊3日の白馬三山縦走(白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳)です。
ともに2〜3日歩いてやっとたどり着く温泉、高天原温泉と白馬鑓ヶ岳温泉があるんです!山の中の温泉は初めてだったので、印象的でした。山奥、秘境にあって徒歩でしかいけない温泉ってワクワクしますよね!
夜中にテントを抜け出し、裸で星を見ながら真っ暗な中、秘湯につかる。言葉にできないんですけど、その瞬間はすごく素敵で、「地球に生まれてよかった」と感じました。
他にも秘湯がある山はたくさんあるので、今後ぜひ行ってみたいです。入浴シーンはYouTubeには載せられないですけどね笑
白馬三山縦走時のお写真
5泊6日裏銀座縦走の一枚
–いずれも最高の縦走登山ですね。秘湯…行ってみたいです!今後の動画化を楽しみにしています。お話を聞くと、自然の中にいて感じられる何か。やぎさんはそこに登山の魅力を?
魅力と改まって言われると、とても難しいです…笑
でも思い返してみると、大切な時間も大好きな友人との出会いも山にありました。もし登山に出会っていなかったら、今どうしてたんだろうな…って思います。山にいくと、なぜか「生きよう!」って思える、そこに魅力を感じていますね。
–『やまくっく』というサークルを立ち上げた理由も、新しい出会いや繋がりを求めて…ということだったんでしょうか?
登山仲間を増やしたかったのはもちろんなんですけど、一番大きな理由は「誰かの居場所となるところを作りたいな」と思ったからです。
新卒で入社した会社では、たったひとりで広島に転勤することになってすごく辛かったんです。仕事にも慣れず、職場の先輩はみんな男性、友人も知り合いもいない…。ひとりで山にいったら野犬に追いかけられ、たぬきを避けてガードレールに激突し、頑張って購入した車も大破する始末でした…今振り返ると悲惨すぎますね。
今だからこそ笑ってネタにできますが、当時は「なんで生きているんだろう」、「何しに広島まできているんだろう」って毎日泣いてばかりでした。
–そんなエピソードがあったんですね…
そんなとき広島で立ち上がったばかりの登山サークルに入って、自分の居場所ができたような気がしたんです。2年後、東京に転勤して「過去の私みたいな人がいたら、心の拠り所にしてほしい」そう思ってサークルを立ち上げました。
料理が好きで、ご飯をつくる口実で友人たちに登山を布教していたこともあり、そのまま「やまくっく」という登山サークルを作ったんです。
やまくっく、サークルメンバーと奥日光の切込湖へ
–「やまくっく」の設立には生き方を見失ってしまった方の拠り所にしてほしい、そんな想いがあったんですね。登山サークル設立は大きなチャレンジだと思いました!
–やぎさんからは「好きなことでやっていきたい」という想いが伝わってきます。何かきっかけはあったんでしょうか?最近「好きを仕事に」といったことがトレンドですよね。
人生で胸を張って「好き!」と言えるものにやっと出会えたからですね。正確には本業は普通のサラリーマンで山のお仕事をしているわけではないのですが…。
今まで野球やテニスなどスポーツをやっていましたが、どれも続けるほどではなくて。趣味もやりたい職業もなかったんです。
でも登山は9年も続いているんですよね。気がつくと毎週山に足を運んでいたので、「きっと私、これが好きなんだな」と。
また私がきっかけで登山を始めた友人に「やぎちゃんに出会えてよかった」、「山の魅力を教えてくれたのはやぎちゃん」って言ってもらえたことが嬉しかったです。それで自分が楽しむだけではなく、他の人にも山の魅力を伝えたいなと思うようになりました。
過去の私のように何か理由をつけて好きなことをあきらめて、行動できないでいる方にもきっかけを与えられるような存在になりたいですね。
–限られた人生だからこそ、自分の好きなことに時間を使える方が増えていくといいですね。ぼくも山が好きで会社を辞めた側の人間(笑)なので、とても近しいものを感じました…!
–最後に、今後挑戦していきたいことについてぜひ教えてください。
しばらくは都内できちんと働いて自立しながら、登山とYouTubeを続けるつもりです。YouTubeは私を知ってもらうため、そして山を身近に感じてもらうための手段としてもっと本格的に取り組んでいきたいですね。
山に登っている人、山を守っている人、山小屋の人、登山ギアを作っている人などいろんな想いをもった方がいるので、動画で伝えていきたいです。そうすると、登山の楽しみ方もカラフルになって、もっと身近になるような気がしています。
また将来的にはアウトドア関係のお仕事に携わって、ログハウスに暮らすのが夢です。そこが山好きのアジトになったら、楽しいだろうなと。
あとは日本のロングトレイル、いつかはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラやニュージーランドのテ・アラロアに挑戦したいなーと思っています。
–お仕事もアウトドアで、ログハウス暮らしですか!夢が広がりますね。いいなあ…。本日はお答えいただきありがとうございました!
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誰かの特別を残していく、伝えていく。そのためにまずは自分の特別である登山を伝えていきたいというやぎさん。明るいお人柄の中にも、その決意には強い信念と意気込みを感じました。そんなやぎさんのチャンネル、「やまくっく」もチェックされてみてくださいね。
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