火打石とは?アウトドア初心者におすすめの4つと使い方

焚き火を起こす。アウトドアでの楽しみ方を問われれば、焚き火と答える方は大勢いることでしょう。焚き火で暖をとり食材を調理し、なおかつ自由に燃える炎は見る人に安心を与えてくれます。

ただしコンロのよ うにスイッチ1つで着火という訳にはいかないですよね。通常はライターやマッチで火口に着火しますが、あえて火打石を使ってみませんか?

水に濡れても問題なく、数千回も火花を飛ばせ、故障が無いので非常用にも最適。コツを掴めばあなたにも必ず火を起こせます。今回は火打石の使い方とおすすめの火打石4選をご紹介します。

そもそも火打石とは?

火打石とは、特定の鉱石と鋼を擦り合わせ火花を飛ばす着火道具です。まだマッチが普及する以前、江戸 時代から明治の初期頃までは日常の火起こしで使われていました。

現在では主にアウトドアや防災用品として、様々なメーカーから「ファイヤースターター」や「ファイヤースチール」として販売されています。原理 は火打石と同じようなもので、マグネシウム合金とスチールを擦り合わせ火花を飛ばして着火します。

マッチやライターではなく、なぜ火打石を使うのか?

現在では100円ライターからアウトドア用途に特化したライターやマッチがあるにもかかわらず、なぜ火打石を使うのでしょうか? その3つの理由をご説明します。

高い防水性

引用:pixabay

筆者が屋久島トレッキングに出かけた時のこと。ひと月に35日雨が降ると言われる屋久島では、やはり雨のトレッキングになりました。そのルートは東屋もほとんどなく、雨に打たれながらの休憩に。お湯を沸かす為に、濡れてしまったシングルバーナーと火打石を取り出し着火を試みました。

少し心配でしたが、タオルで火打石を拭き数回こすれば問題なく火花が飛びます。おかげで暖かい食事で冷えた体を温められました。

火打石最大のメリットは高い防水性です。ライターやマッチに限らず、通常のアウトドアギアのパッキングに防水の悩みはつきものです。しかし火打石は本体が金属製の棒とプレートという、極めてシンプルな道具で水を吸収しませんから、防水を考える必要がありません。

高い耐久性

ガスバーナーに付属している圧電着火装置。メーカーにもよりますが、耐久性に乏しい印象です。スイッチを押してもなかなか点火できず、そんな時に限ってライターを忘れるんですよね。

さらにライターを持っていたとしても、ライターのガス欠や故障も考えられます。そもそも標高が上がるにつれ、圧電着火装置や電子 式ライターは気圧の影響で使いものにならないこともあります。

その点、火打石は忘れさえしなければ、いかなる状況でも火花を飛ばせます。標高ももちろん関係ありません。前述したように単純な金属の棒ですから故障しないのです。

また後で紹介しますが、筆者愛用のファイヤースチールスカウトでは約3000回の火花を飛ばせ、他社の火打石でも数千回から1万回以上、発火可能なものがほとんどです。高い防水性と耐久性から、筆者は焚き火からシングルバーナーの着火まで常に火打石を使用しています。

単純に面白い

自然を楽しむ≒便利な生活から距離をおくことだと考えています。あえて不便な自然の中での衣食住を楽 しむわけですから、なるべく文明の利器には頼りたくありません。そこで火起こしにもこだわり、火打石を使 うのはどうでしょうか?

火打石の使い方は慣れれば難しいものではありませんが、始めのうちは苦労するものです。ライターで一 発着火のところを、スチールの削り方や火口の材料など、色々試行錯誤しながら着火するのはとても面白い。 そうして身についた火起こし術は、万が一の災害時にも役立つかもしれません。もっとも、火打石を使わざる をえない状況には陥りたくはありませんけどね。

火打石で火を起こす方法

さてここからは、焚き火を想定した具体的な火打石の使い方をご紹介します。火打石を使ってバーナーに着火する方法もありますが、焚き火を起こせればバーナーの着火など造作もないことですので、是非焚き火をマスターしましょう。

燃料を集める

焚き火が成功するか否かは、燃料集めや下準備にかかっています。まずは良く乾いた薪や小枝、火口や焚きつけになる枯れ草などを沢山集めましょう。焚き火の基本は小さい火から大きな炎へ順番に大きくすることです。いきなり太い薪には着火できませんから、枯れ草から数種類の太さの小枝や薪が必要です。

キャンプ場などで乾いた薪を購入できればベストですが、自然の中で調達するには立枯れした木を探すのがおすすめです。地面に落ちている木は湿気を含んでいる場合があるからです。また集めた燃料は太さごと、種類ごとにまとめておくと便利です。スギなどの針葉樹は燃えやすく焚き付けに最適、クヌギなど広葉樹は長く燃えおき火に最適です。

火口を用意する

焚き火の燃料の中でもっとも大事なものが火口です。一番最初に着火する火口は、火打石の火花を受け止め確実に着火するものを選びます。身近なものではティッシュペーパーや新聞紙がおすすめです。慣れないうちは市販の着火材を利用するのも手です。それだけ火口は大切で、自然の中で適した材料を探すのは少し難易度が上がります。火口に最適なシラカバの皮や乾いたスギの葉、繊維状の枯れ草などが簡単に見つかればいいのですが、場所によっては見つけにくいこともあります。

余談ですが、着火用のオイルを含んだ木片が、アウトドアショップの店頭に並んでいるのを初めて見た時 は、「わざわざ火口用の木片が販売されているなんて」と必要性に疑問を感じたものです。しかし火打石を使うようになり、火口の大切さを痛感。そうした確実に着火できる材料を、お守りとしてザックに忍ばせておいても良いかもしれません。

本体を削り着火する

火口と燃料が用意できたらいよいよ着火します。その前に確認しておきたいのが、本体を削るプレート (ストライカー)の向きです。プレートには表裏があり、しっかり角が立っている面を使い削ります。向きを間違えると火花がほとんど飛びません。向きを確認したら、本体を火口にそえプレートでギュッと削ります。勢い良く火花が飛びましたか?

なかなか一発での着火は難しいですから、途切れないよう連続して火花を 飛ばし続けます。火口の準備が適切なら数回のスパークで発火します。何度やっても着火しない場合は、もう 一度火口の準備をやり直しましょう。

小さな火から大きな炎へ

うまく発火すれば焚き火の半分は成功したようなものです。炎を殺さないように、細かい枝から順番に投入します。少しずつ太い枝を加えますが焦ってはいけません。燃料を入れすぎると不完全燃焼で煙ばかりでます。

上手に太い枝を燃やすテクニックとして、フェザースティックという方法があります。これはナイフを使い枝の表面をささくれ立たせることで、火着きを良くする方法です。ナイフを使う良い練習にもなりますので、あらかじめ何本か枝を加工しておくと良いでしょう。手首の太さぐらいの木が燃えれば炎は安定します。あとは料理をするも良し、のんびり焚き火を眺めるのも良しです。

初心者におすすめの火打石4選

もし火打石に興味を持たれたら、是非これからご紹介する火打石を試してみてください。確実に着火できるおすすめの4選です。

LIGHT MY FIRE(ライトマイファイヤー)ファイヤースチールスカウト2.0

ファイヤースチールスカウト2.0
・素材 マグネシウム
・重量 45.4 g
いらないアウトドア用品を売るならマウンテンシティ!

筆者も愛用している定番火打石です。マグネシウムの本体はもちろん、プレートが良くできており僅かな力でもしっかり火花を飛ばせます。またプレートにはホイッスルが付属しており、緊急事の装備としてもおすすめです。

LIGHT MY FIRE(ライトマイファイヤー)ファイヤースチールスカウト2.0 アーミー

ファイヤースチールスカウト2.0
・素材 マグネシウム
・重量 40.8g
いらないアウトドア用品を売るならマウンテンシティ!

先程紹介した火打石のアーミーバージョンです。ファイヤースチールスカウト2.0との違いは本体のサイズです。アーミーモデルの方が大きく、ファイアースチールスカウト2.0 の発火回数約3000回に対して、約12000回と4倍の発火が可能です。またサイズが大きいことで保持が楽になり、特に手の大きい方はこちらのモデルがおすすめです。

Bush Craft(ブッシュクラフト) オリジナル ファイヤースチール2.0

オリジナルファイヤースチール2.0
・素材 マグネシウム
・重量 54.4g
いらないアウトドア用品を売るならマウンテンシティ!

ブッシュクラフトやサバイバル用品を販売している、Bush Craft Jpから販売されています。こちらも本体 サイズが大きく約12000回の発火が可能。マグネシウムの本体と金属プレートのみのシンプルな火打石です。

SOL(ソル) マグストライカー

SOL(ソル)
・素材 マグネシウム
・重量 99.8g
いらないアウトドア用品を売るならマウンテンシティ!

今回の記事で実際に使用した火打石です。エマージェンシーシート等で有名なSOLの火打石です。前述した3件と の違いは発火用とは別にマグネシウムがセットされていることです。まずマグネシウムをプレートで削り火口 に振りかけます。その上でフリントをスパークさせることで、より着火しやすくなります。

火打石を使いこなし焚き火名人に

火打石の使い方とおすすめをご紹介しました。始めは難しく感じるかもしれませんが、慣れれば簡単に扱えます。火を操る楽しさを是非味わってみて下さい。くれぐれも火の始末にはご用心を!

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