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無雪期のテント泊はしたことがあるけれど、雪山でのテント泊はしたことがない、という中級者ハイカーは意外に多いもの。それもそのはず、無雪期と積雪期の山は、同じ山でも全く違った表情を見せることがあるのです。特にテント泊をするとなると、悩みどころはどんなテントを選べばいいのかということでしょう。今回は雪山で使用するためのテントの選び方をまとめました。
テントを買う前に知っておくべきこと
雪山用に限らずテントを購入する前に、知っておくべきことが一つあります。それは、テントに保温性はあまりない、ということです。前提として、雪山に限らず登山のテント泊では、シェラフとマットで保温性を確保するのが基本です。テントの保温性に頼ってはいけません。シェラフやマットをおろそかにすると、最悪命を落とします。選べる幅としても、シェラフやマットのほうが幅広く、シーンに適したものが選べるでしょう。特にマットの保温性は見逃しがちなので、きちんと山域の気温に合わせたものを購入しましょう。雪の冷たさが伝わらない断熱性の高いマットを選ぶことが重要です。筆者はマットの選択を間違えたせいで、雪から伝わる冷気で底冷えし、一睡もできなかった苦い経験があります。
4シーズンテントのメリットとデメリット
テントには、主に4シーズン用と3シーズン用が存在しています。基本的には、メーカーが4シーズン対応と謳っているものを購入すれば間違いありません。 4シーズン用テントのメリットとしては、丈夫であること、悪天候に強いこと、凍結に対する工夫がしてあることなどが挙げられます。凍結の工夫とは、「ジッパーが凍って外に出れない」という事態が起きないよう、素材などが選ばれているということです。また、雪が室内に入りにくい仕様であることも特徴の一つでしょう。 デメリットとしては、重さや通気性の悪さなどが挙げられます。これは、雪山にも対応するように作られているため、ある程度は仕方ありません。寒くてほとんど寝られなかったり、風でテントが倒壊したりして、翌日の縦走に支障をきたしては危険ですよね。ただでさえ通常の登山に比べ体力を使う雪山でのテント泊では、必ず睡眠を確保したいところ。 とくに重量は、睡眠だけでなく命にも関わります。冬の山は、天気が荒れると想像以上の強風が吹きます。そのような悪天候にしっかりと耐えられるという意味でも、4シーズン対応のテントを選びましょう。
外張りが必要なタイプとそうでないタイプの違いは?
4シーズン用のテントとしては、3シーズン用のテントにオプションで外張りを購入し使用するタイプと、GORE-TEXなどの透湿防水素材を使用して外張りを不要にしているタイプがあり、それぞれにメリットがあります。
外張りが必要なタイプは、不要なタイプよりも多少ですが保温性があります。また換気時に風や雪が直接吹き込みません。逆に外張りが不要なタイプのテントはそれらの点では劣りますが、設営が楽というメリットがあります。
設営が楽か否かは意外に侮ってはいけないポイントの一つです。なぜなら、設営中に手が凍結したりする恐れがあるからです。せっかくテントを持ってきたのに、設営に手間取って怪我をしてしまった、なんてことは避けたいですよね。
だからこそ、初めてテントを購入したら、山で使用する前に必ず設営の練習をしましょう。手順を完璧に頭に入れ、何も考えなくともスムーズに設営できるまで何度も繰り返してください。このひと手間が命を左右することもあるのです。
外張り要/不要別!雪山でおすすめの登山用テント3選
外張りが必要なテントのおすすめとして、モンベルの「ステラリッジテント」があります。重量は2人用で2.32kg(外張りとの合計重量)です。
もう一つのおすすめはアライテントの「エアライズ」です。重量は2人用で約2kg(外張りとの合計)と軽量で、フレームスリーブ仕様なので設営が非常に簡単なのも魅力です。外張りが必要なタイプの利点としては、換気時に雪や風等が直接吹き込まないこと、フライシートと外張りを使い分けることで気候に合わせた環境を作れることが挙げられます。
総重量:1.5kg(テント+ポール=1.28kg)
サイズ:208×123×107cm(奥行き×幅×高さ)収納サイズ:15×23cm
フロア面積:2.5平米