登山での睡眠をより快適に スリーピングマットどう選ぶ?

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2017.04.12

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登山などのテント内に敷くマットのお話しです。 セルマットなど比較的安価なものから高価なエアーマットなど、数多くの商品があり、価格帯もさまざま。 高価なものは確かに快適かもしれませんが、実は知らなかった欠点もあったり。 せっかくの登山をより快適で楽しいものにするために、マットの果たす役割やそれぞれの特徴をしっかり把握し、本当に自分に合うマットの後悔しない選び方について紹介します。

スリーピングマットが持つ2つの役割とは

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スリーピングマットが持つ2つの役割と特徴について、改めて整理してみましょう。

①快適さ(平らで心地よい寝床をつくり出す)
スリーピングマットがつくり出す快適さは四季を問わず、マットの最も本質的な特徴と言えます。山ではなくてもテントを張る場所は、いかに整地された地面でもいくらかの小石やデコボコがあるものです。テントのシートだけでは到底解消するものではありません。スリーピングマットの弾力性のある素材や、空気のクッション層は、山での快適で心地よい休息を提供してくれます。素材、厚み、弾力性などによっても違いが出てきますが、どれが一番快適かという事の判断は実際のところ難しい課題です。最後は実際に店頭などで体験してみることをおすすめします。

②保温性(冷えた山の地面の上でも暖かく寝られる)
夏季などでは大して気になりませんが、スリーピングマットのもう一つの大きな特徴は、山の冷えた地面と横になった体との間に断熱層をつくり、就寝時に体温を奪われないようにすることです。地面に接している身体の一部分の熱は、熱い方から冷たい方へと逃げていきます。空気で膨らんだマットを敷いて寝るのと何も敷かずに寝るのとでは、後者の方が20倍もの量の熱が奪われてしまいます。それ故にスリーピングマットがつくり出す断熱層が寒い山での睡眠にとっては欠かせないアイテムであると言えます。

タイプは3つ マット選び方と厳選おすすめアイテム

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マットの特徴と役割が分かったところで、選び方についてのポイントをみていきましょう。各3つの各タイプのおすすめアイテムと共に紹介します。

・はじめての登山など初めての購入の場合、安価で丈夫なセルマットがおすすめ。
クローズド・セルタイプのおすすめ: THERMAREST RidgeRest SoLite
軽量で保温性に優れ(R値2.8)、価格も安心なマット。かさばるのが欠点ですが、あえて軽量化が必要な場合は自分の好みに合わせてカット出来る気軽さも人気。

・一般的な登山で快適さを重要視する場合、エアーマットタイプがおすすめ。
エアーマットタイプのおすすめ: THERMAREST NeoAir XTherm
他のマットと比較しても、断熱性と保温性は非常に高く(R値5.7)、熱を逃がさないだけでなく、まるで発熱しているかのよう。コンパクトで軽量、注入用スタッフサック付、価格相当の価値のある商品。

・冬の登山など寒冷地での利用の場合、セルフインフレーティングタイプエア式のマットがおすすめ。
セルフインフレーティングタイプのおすすめ: NEMO ZOR 20R
多くのブランドが手掛けている人気の自動膨張式のマット。このマットは、ひときわ軽くコンパクトでありながら快適さ・保温性も兼ね備えている。快適性とコンパクト化、どちらも重視する登山家に人気。

何より重要なのは温かさ R値のチェックを忘れずに

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保温性は夏季の登山にはさほど問題視されませんが、冬季の山でのテント泊で地面からの冷えで寝付けない夜を体験した事がある人なら、この問題の必要性は十分実感していると思います。それでは、一体どの程度の保温性あれば十分なのでしょうか。

その判断をするための目安の一つがR値(R-VALUE)という数値です。R値とは、製品の熱伝導を数値化した各メーカー共通の基準数値です。この数値が高いほど熱が伝わりにくい=断熱性と保温性が高いという事になります。現在、1.0から10.0位まで幅広くに細分化して表示されている商品が主流になっています。寒冷地域などの厳しい寒さの中での使用が多いならば、R数値が高い商品の必要性が高まります。

しかし現在、スリーピングマットのR数値の表示は義務付けられておらず、全ての商品に表示されているものではないのが現状です。R数値の表示がない場合は、スリーピングマットの保温性についての基本をいくらか知っておくと、自分でもある程度の判断ができます。
・同じ中身であれば、厚みのあるマットの方が保温性が高く快適である。
・ダウンなどの羽毛や化繊等、断熱性のある素材が多く含まれたものほど保温性が高い。

最優先すべきは?自分にピッタリなマットを選ぼう!

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近年ほとんどのメーカー各社において同じシリーズ内で数種類のサイズ(長さ)展開をしています。登山時には、荷物を最小限にしたい、就寝時には最低限の寝心地が確保出来れば良いなら、スモールサイズが最適な選択です。この場合では、マットがカバーできる範囲は肩から腰くらいまでとなり、頭上にサックに衣類等を詰めたものを枕にし、足元シュラフの上からバックパックをはくなど工夫することである程度防寒対策が実現、最小限のサイズに軽量化することも可能です。

とはいえ、このようなサイズの軽量化も冬以外の季節限定のこと。冬山の厳しい寒さに耐えるためには、全身をカバーできるレギュラーサイズ以上が必要となってきます。オールシーズン荷物を軽量化する必要性がないという方、より快適な寝床を重要視する方には、薄くても最低限全身をカバーするものがベストな選択。

マットの形や広さは自分の肩幅と腰の体重がかかる部分が入っていればクリアです。マミー型や、体重がかかる部分以外をくり抜いたチューブ型のものは、必要ない箇所を極力排除し、軽量化を図りながら必要最低限の寝心地を確保した形と言えます。
コンパクト性を重視するのであればマミー型やチューブ型のもの、寝返りが打ちやすいなどの快適さと安定した寝床を重要視するのであれば、幅が広く長方形のものを選択しましょう。

意外と面倒なエアの問題。新化するポンプにも注目!

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セルマット以外のタイプのマットでは、空気を注入することで高い断熱性を得ています。何より時間が大切な登山時においては、この空気を注入するのは意外と手間のかかる作業なのです。セルフ・インフレーティングタイプのマットはバルブを開放するだけで自動的に空気が入り、楽に空気を注入できるとあって、価格も高価ですが人気があります。しかし、実際使ってみると待つ時間の割りに膨らむ量は少なく、結局は口から吹き込むという悲しい事態も。そういった意味では、この自動膨張タイプと普通のエアー式マットタイプと比較しても、価格差の割りに大きな差はないのが現実と言えるでしょう。

より迅速に、また簡単に空気を注入できると注目されているのが、エア注入ポンプです。これを使用することで注入にかかる時間は半分以下になります。人の呼気に含まれる湿気などがマットに入る心配もありません。

マットには大きく分けて3つのタイプしかありませんが、素材や表側の構造などの違った商品が多様化しています。実際、店頭で体験して比べてみると、それぞれのモデルでは寝心地としての体感はさまざまな特徴があります。その違いは快適な睡眠に大きな影響を与えます。特に表面の触り心地などは実際に横になってみたり、一度、確かめてみることがベストでしょう。

じっくり選んで快適な登山ライフを楽しもう!

このようにマットは他の登山用アイテムを選ぶ際と比べて、正確な選択の基準がとても重要であるといえます。選択を間違えたときの経済的なリスクを回避するためにも、使用目的を出来るだけ具体的に明確にしておくことが必要です。残念ながら、温かく快適、軽くてコンパクト、丈夫で安い、という全てを網羅した製品は存在しませんが、自分が最優先、最重要視するものをじっくり考えてから、自分にピッタリな後悔しないマット選びをして、快適な登山ライフを楽みましょう!

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。